1拍目の頭、ダウンビートから開始するフレーズがたくさんあります。
何処にたくさんあるかというと、教則本の中にたくさんあります。拍頭から、休符なしで開始する4分音符や8分音符のフレーズ。こういう教則本的なフレーズ(これはこれで大切なのは言うまでもないですが)をそのまま練習していると、実戦で困ることがあります。
例えば複数の人間でソロを回しているとする。この時、自分の前のプレイヤーがきっちりコーラスの終わりの小節でソロを終わらせるとは限らない。次コーラスの頭にずれこんでくることがある。もし1拍目からはじまるフレーズしか弾けないと、その場合対応できません。
また、前奏者がソロを終えた直後にフレーズをはじめないほうが良いことが多々あります。少し間を置いたほうが効果的だったりするし、また聴いているお客さんが前奏者のソロに拍手を送っているのなら、その拍手が少し収まってから自分のソロを開始したほうが、音楽全体が良くなるでしょう。
勿論4 bars, 8 barsでの会話的な演奏等、必ずしも「フレーズの間隙」が存在しないこともありますが、実際に色々な人の演奏をコピーしていてもソロのピックアップは圧倒的に2拍目以降に開始するものが多いと思います。
1拍目ウラから開始するものも結構あります。が、1拍目の頭から開始するソロというのがあまりない。というか、多分統計を取ったら少数派になるのではないでしょうか。
1拍目の頭から入ることも表現としては大事だと思うので、それはそれで練習しておく必要はあるとして、特に入門レベルの方は1拍目の頭以外からフレーズを開始する練習をしておくとセッション等で役立つと思います。
そしてこの話題の延長なのですが、フレーズの終わりも解決先のトニックの頭以外で終わらせる練習をしておくと表現の幅が広がります。
1拍目の頭以外からフレーズを開始し、1拍目の頭以外で終了する、という考え方をすると、「このコードではこのフレーズ!!」という、垂直方向への呪縛から少し解放されます。
IIm7-V7のIIm7で既にV7フレーズを開始し、そのままIに食い込む(ディレイド・リゾルヴ)ような練習を積極的にするのもホリゾンタルな演奏に繋がります。
私はこれを私の先生から教わったのですが、こうしたことは市販されている「ジャズギター教則本」にはあまり書かれていないような気がします。豆知識的な内容ですが、他人と演奏して初めて「わかる」タイプの知識なのかもしれません。