連続する2つの音や同時に鳴る2つの音のインターバルを瞬時に特定できるようになると演奏能力が大きく向上します。しかし「そんなことは知っている!だがイヤートレーニングをしている時間などない!」という方も多いと思います。
実は誰でも(一定数のソングを知っているのなら)あらゆるインターバルを認識し、頭の中で鳴らしたり自分の声で再現できます。まずは自分の知っている色々なメロディの「冒頭の2音」のインターバルを調べ、記録してみましょう。
1度 (unison)
同じ高さの音が連続する1度。1度インターバルで始まる曲は多いです。例えばHere’s That Rainy Day (D→D)。1度の認識は容易ですが、同音を連続で弾くという行為には個人的に強い音楽的な意志を感じます。旋律は上がったり下がったりするだけでなく、足踏みしてもいい。意外に破壊力のある音程だと思います。
短2度 (minor 2nd)
短2度インターバルの曲も多いです。Fly Me to the Moon (C↓B) , Stella by Starlight (Bb↓A)は2つ目の音で半音下がります。全てのインターバルについて上行・下行のパターンをコレクションすると良いと思います。短2度上行ではじまる有名な曲はMy Romanceあたりでしょうか。
長2度 (major 2nd)
長2度の曲もよくありますね。There Will Never Be Another You (Bb↑C)もそうです。長2度にはなんともいえない浮遊感、自由さがあるように感じます。
短3度 (minor 3rd)
いきなり短3度ではじまるのはAlone Together (D↑F)や Agua de Beber (Eb↓C)等。どちらも暗い曲ですが、いきなり短3度ではじまると暗さがより強調されますね。
長3度 (major 3rd)
長3度も多いです。定番ブルースのTenor Madness (D↓Bb)等。楽器を使わずにインターバルを感じ取る時は、頭の中で2つの音を連続して鳴らす以外にも、最初に鳴らした音を持続 (let ring) させ、その上に音を重ねるのも効果的だと思います(ダブルストップ的に鳴らす)。
完全4度 (perfect 4th)
完全4度ではじまる曲は意外に多いです。Someday My Prince Will Come(F↑Bb), All The Things You Are (F↑Bb), All of Me (C↓G), St. Thomas (G↑C), Nardis (B↑E), Softly, as in a Morning Sunrise (C↓G)など。こうして見ると4度ボイシングを積極的に使いたくなる曲が多いですね。
増4度 (augmented 4th, tritone)
メロディの最初の2音が増4度で始まる曲は本当に少ないと思います。私は増4度ではじまる歌ものの曲を知りません。クラシックの世界では「悪魔の音程」と呼ばれるくらいで歌いにくくて有名な音程。歌もの以外でも増4度で始まる曲は、ソニー・ロリンズのBlue Seven (D↓Gb) 以外に私は知りません。
完全5度(perfect 5th)
完全5度ではじまる曲はMy Favorite Things (E↑B) , Afro Blue (F↑G)等。スケール感の大きい音程という気がします。
短6度 (minor 6th)
短6度ではじまる曲はあまり多くないように思います。Black Orpheus (Manhã de Carnaval, E↑C)くらいしか思いつきません。曲中ではTake the A Trainの3小節目(E↓G#)が印象に残っていますが、冒頭では少ないような気がします。
長6度 (major 6th)
長6度ではじまる有名な曲はThe Days of Wine and Roses (C↑A)。トニックの5度と3度ですね。ちょっとカントリー的な雰囲気もある、ギターでは魅力的に響く音程ではないでしょうか。
短7度 (minor 7th)
短7度ではじまる有名曲はセッションでも定番のI’ll Close My Eyes (C↑Bb)。この最初の跳躍が本当に印象的な曲ですね。
長7度 (major 7th)
長7度で開始する有名なジャズ・スタンダードはあるのでしょうか。私は残念ながら知りません。ぎりぎりCole PorterのI Love Youがこれに近く、ユニゾン(1度)の後、C↓Dbへと下降します。増4度と並んで歌うのは非常に難しい音程ですね。
完全8度 (perfect 8th)
1オクターブ上や下に飛ぶ完全8度の曲もあります。Over the Rainbow (Eb↑Eb)は有名な曲ですね。下がるのは何かあったかな。今度調べてみよう…と、こんなふうにメモを取り、通勤電車の中などで頭の中でインターバル・トレーニングをするととても良い効果があると思います。
インターバル感覚を身に付けるには自分の声で任意の音から特定のインターバルを正確に歌う練習も効果的です。
ギターを長く弾いている方なら、ギターの指板上で例えば「4度」や「短3度」や「長7度」がどんな位置関係になっているか既に頭に入っていると思います。つまり、自分のインターバル感覚に自信が持てるようになると、指ですぐそれを弾けるようになってきます。この練習、やらない理由はありません!