先日、エレクトリック・ギターのゆるやかな死:ギブソンとフェンダーの経営戦略から見えてくる風景という記事を書いたのですが、それを書くきっかけになったワシントン・ポストの元記事に対しては、様々な異論・反論もあるようです。有名YouTuberのTyler Larson氏が次の動画で意見を述べているので、主だったところをご紹介します(長いので抜粋。あと若干とりとめないところも)。
- ワシントン・ポストの記事は視点が偏っている。小売店の視点、50歳以上のベビーブーマーの視点しか入っていない
- ベビーブーマーが若者について「お前らは本当の音楽をわかっていない」と見下しているようなトーンを感じる
- ギターが売れなくなったのはインターネットのせいだ
- かつてのギターヒーローは神々のような存在だったが、現在はネットでいつでもその演奏を見たり聴いたりできるようになった
- 現代の人々はネットのおかげで様々な情報を得られるようになって、2〜30年前の人々より賢くなった。彼等は昔よりも洗練された顧客層なのだ
- それなのに小売業者は昔と同じ方法でそういう顧客層にギターを売ろうとしている
- 記事では「もっとギターヒーローが必要だ」という声が紹介されている
- ギターヒーローが現れていないというのは嘘だ。現在のギターヒーローは昔とは違う姿で存在している。ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ、ガスリー・ゴヴァン…
- 僕だってギターヒーローだ
- YouTubeの人気ギタリストはギターヒーローと同じマーケティング上の役割を担っている。僕はいろんなメーカーと提携している…
- 看板や雑誌広告やコマーシャルみたいな方法はもはや有効なマーケティング手段ではない
- 若い世代のギターへの興味が著しく低下しているとは僕は思わない。音楽のジャンルや情報が増えたことも原因
この動画に対してコメント欄では様々な反応が。個人的に目についたものを抄訳でご紹介します。
- YouTube上のグッドなギタリストを「ギターヒーロー」と呼ぶことには全く同意しかねる
- あの記事は自分たちだけが良い音楽を経験してきたと考えているベビーブーマーの一部の意見。自分たちより前の世代を糾弾してきた世代が今度は若者を糾弾している。皮肉なことだ
- ギターは受け継がれていくからね、維持できるんだ…
- 人々が20年前、30年前より賢くなったって? 人々は文字通り電子機器の奴隷になっているのに何をバカなことを
- 1月のクルマの売上は低迷した。クルマの死かもしれないね
- ロックとそれに関連する音楽がかつてのような人気を失っただけであって、マーケティングやYouTubeは関係ない。エレクトリックギターはなくなりはしないが、ピアノと同じように少しづつニッチなものになっていくだろう
- ギターを弾きたいという欲求は減少しているかもしれないが、人々は今でもギターは最高だと思っている。ラジオから流れてくる低級な音楽を聴いている人々でも誰かがギターをひっぱりだしてくると感動する。だからギターをマスターすると決断したマイノリティがこれからギターヒーローになって人々をインスパイアするんだ
- 音楽自体は衰退していない。人々が楽器を演奏したがらなくなったのはスマホをいじるようになって、才能のない「アーティスト」が垂れ流す低級な音楽を聴くようになったからだ。奴等は自分の頭で考える力がない
- ギターの売上が落ちているのは俺がいまあまり金を持っていないからだ
- ギターを何本も持っている人の可処分所得は高い。過去10年の経済はひどいものだから人々はお金の使い方に慎重になったんだ。中古市場はどうなんだ、新品ギター市場の売上減に比例するように上向きなんじゃないのか?
どの意見もそれぞれ説得力があって面白く感じます。どうも複数の要素が複雑に絡み合った結果の現状ということになると思います。インターネットによるカリスマの消失。より多くの情報に触れられるようになったこと。中古のギターがたくさん存在しているし親から子にも受け継がれる。スマホに夢中で練習する時間がない。そして経済不況…
皆さんはどう思われますか。是非ギター仲間と議論してみてください。