Quantcast
Channel: Jazz Guitar Blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

大友良英氏の圧倒的なソロギター演奏

$
0
0

大友良英氏のソロギター演奏に圧倒されました。昨年アメリカ・オハイオ州クリーブランドのギャラリーで記録されたようです。最初の曲はオーネット・コールマンの”Lonely Woman”で約20分の演奏。万人にオススメはしませんが、好きな人にはたまらないと思うのでお時間のある時に是非チェックしてみてください。

何がすごいと思ったかというと、やはり五線譜に書くのが難しいリッチな音楽である点。「ジャズギターでジャズ・スタンダードを弾けるようなりましょう」という時、普通はピッチとリズムとダイナミクスのコントロールくらいしか俎上に載りません。それはそれで良いのですが、こういう演奏に触れると音楽はもっと広い世界なのだ、と気付かされます。

  • 音叉を近づける
  • ボディ表面をピックでひっかく
  • ピックアップ・セレクターを唐突に切り替える
  • 表情のない棒みたいなフィードバック音を伸ばして空間を塗りつぶす
  • ピックをリズミックに投げ捨てる

こういう選択肢が当たり前に存在していて、しかもこれらの技法が十分にコントロールされた上で実行されているように感じます。いい音色で、いいリズムで弾くためにベストを尽くすのと同じように、ベストを尽くして「最高のボディ表面ひっかき」や「時の流れに楔を打つようなピック投げ」が実行されているような感じ。

外に出した音をよく聴いてその音を観察して、対話というか遊んでいるようにも見えます。彫刻家がノミで木材をガツガツ削っていっているような感じもします。うーん、すごい。本当に魅力的な演奏。

YouTubeのコメント欄に、「彼はギターの使い方を知らない。ただ単に耳障りな音を弾いている。むかつく」という感想をみかけます。私の感想は、全部その反対でした。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>