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それは焦がれるように希求する何かだ – Pat Metheny

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ジョン・マクラフリンがこの新聞の過去のインタビューで、自分が考えつくものを全て弾く能力がないことにフラストレーションを感じている、と語ったそうです。あなたも同じようなフラストレーションを感じるか、と問われたパット・メセニーは次のように回答しています。

I think that is true for just about everyone. I would say I can get to about 25 percent of what I know I know. But I don’t see it as a frustration. I see it as something to aspire towards and I welcome the challenge of it.

それは誰にもついても言えることだと思う。僕が弾けるのは、自分が知っているものの25%くらいかな。でもそれをフラストレーションとは捉えていない。(その弾けない何かは) 焦がれるように希求する対象 であり、そのチャレンジを僕は歓迎する。

何か弾きたいものがある。それを弾きたいように弾く能力が、まだない。マクラフリンはそれをフラストレーションと捉えた。イライラする。思うように行かない。対してメセニーは「フラストレーション」という言葉ではなく”something to aspire towards”というフレーズを使っています。

この”aspire”という言葉は、熱望する、切望する、希求する、憧れる、という感じの、じりじりとした気持ちで何かを求める、という時に使われると思います。そこで「焦がれるように希求する対象」と訳してみました。

不幸とは期待値(理想)と現実とのギャップのことである、という有名な言葉がありますが、それを不幸と捉えるのでなく、期待値に何としてでも追いついてみせるという感じの「アスピレーション」。彼が目を閉じて頭を振りながらメロディを紡ぐときの様にもそれが見て取れます。苦しそうに見えることはあっても、苛立っていたり不幸そうには見えません。

「フラストレーション」から「アスピレーション」へ。メセニーの言葉にも、彼のメロディの力が宿っているような気がします。


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