良いプレイヤーになるためには、ある人はコピーが必要だと言い、ある人はコピーなどしなくても良いと言います。
これはどちらが正しいのでしょうか。多分どちらも正しいのかもしれません。ただ、コピーなどしなくても良い、と言う人でも、トランスクライブ(採譜)してフレーズを練習したことがなくても、聴いたものを弾く、ということは(少なくとも無意識のレベルでは)やっているはず。
歴史上有名なプレイヤーで、自分は誰それのコピーをしたことなど一度もない、と言っている人を確かに何人か知っています。同時に、私が尊敬するプレイヤーや、実際に知り合った人でこの人はなんでこんなにうまいんだ、という人は例外なくコピーに励んだ・励んでいる現実があります。
コピーしないでいいわけがない。コピーするのが一番の近道だ。そう彼等は言います。私も同意見です。この記事でも書いたのですが、人は誰でも生まれながらに強烈な個性を持っていて、それは他人の演奏をコピーする程度では失われない、と私は思います。だからどんどんコピーして良いのだ、と思っています。
ジョー・パスはギタリストのコピーはしなかったけれど、パーカーのコピーはした。メセニーはウェスの演奏を完全コピーし、ジョンスコはビル・エヴァンスとデクスター・ゴードンを(良い意味で)つまみ食いし、マルティーノは10歳の時にジョニー・スミスのソロを全部コピー。マイク・スターンは「コピー愛好家」と呼んでもいい程にいつも採譜・コピーしているのは有名な話。
何が正解かはわからないのですが、私の直接の知り合いには、コピーせずにうまくなった、そして耳コピーをせずにうまくなった、という人が一人もいません。市販のタブ譜だけ買ってそれを練習して上手くなったという人もいません。上手い人はみんな過去に耳コピーをしたことかあるか、いまもそれを続けている。
私自身はコピー推奨派(必須派)ですが、それはやはり人によって違うのかもしれません。