奴等は進化している。と、マイルスが磯丸水産の進化したタブレットを眺めながら呟く。
お前に言っておく…そろそろ本気で奴等、つまり人工知能(A.I.)との戦いに備えた方がいい…その理由は…これを見ればわかる…
ぼくは驚愕した。DOTAMAが…DOTAMAがA.I.に負けた…? チェスと将棋と囲碁はやがてA.I.に勝てなくなることは知っていた。A.I.はいずれある種のジャズっぽい演奏さえも獲得するに違いない。だがしかしDOTAMAをやりこめるA.I.が現れる日が来るとは、ぼくは夢にも思っていなかった。このライム、捨て身のフロウ、この熱量、このディス… これは大変だ!!
かつてA.I.は…この世界を征服し…人間を奴隷にした…そのハマグリのようなものは、うまいだろう…?
かつて? ハマグリのようなもの? マイルスが何を言っているのか、ぼくにはわからない。
お前にはそれがハマグリに見えるのかもしれないが…それは「ホンビノス」と呼ばれるバイナリー・コード、つまり仮想現実だ…
な、なんだって…嘘だ…俺は信じない!
そろそろ目を醒ましてもらうおうか…ネオ…これは現実じゃない…お前はホタテもハマグリも実は食ってはいない…それらは全て幻、お前はA.I.のために発電させられているだけにすぎない…
(続く)