いま自分は良い演奏をしているだろうか? 「良い」の定義は様々でしょうし、本番中には(セッション、ライブ、録音等)誰もあれこれ反省はしないものだと思いますが、その時その時で、「うまく行っているような感じ」を持つことは誰にもあると思います。
この記事で紹介した教則動画で、John Abercrombieは、あ、そうだ、という感じで唐突にこういう言葉を口にしていました。
サウンドが良くてフィールが良ければ、それはたぶん良いものだ。
If it sounds good and feels good, it probably is good.
良いこと言うなあ、と思ったと同時に、Mick Goodrickも著書で同じようなことを書いていたように思い、私が無人島に持って行きたい本の1冊である ”Advancing Guitarist”(英語版・日本語版)を見るとやはり次のような言葉が。
忘れないように:サウンドが良く、そして・あるいはフィールが良ければ、あなたは何か良いことをやっているに違いない。
Remember: if it sounds good and/or feels good, you must be doing something right.
ほとんど同じ内容です。アバークロンビーはミックの著書を読んでいると思いますし、2人は旧知の仲ですからよくこういう話もしていたのかもしれませんね。
それにしても良い言葉だと思います。例えば2音からなる小さい小さいモチーフがあるとして、それを良いサウンドで、良いフィールで弾けたら、それで最高の音楽になっていると思います。本当に優れたプレイヤーなら、1音ポーンと弾くだけでもそれができるでしょう(私はそういう自信、まだまだありません)。
シンプルなフレーズでも、複雑なフレーズでも、音数が少なくても多くても、1音1音が明瞭に、良いサウンドで、良いタイム、フィールで発音される。こういう時「今日は何かうまく行っている、今日の自分は調子が良い」と思うことがあります(演奏中に言葉でそのように考えるわけではないにしろ)。
勿論、自分でサウンズ・グッド、フィールズ・グッドと感じるものを、共演者やリスナーが同じように感じてくれる保証は全くないにしても、少なくとも自分自身でそう感じられるかどうかは大事なことではないでしょうか。
成長が伸び悩んでいたり練習がうまくいっていない時など、とりあえず何か弾いてみて、それがサウンド・グッド、フィールズ・グッドかどうかを自分に聞いてみるのもセラピー的な良い効果があるのではないでしょうか。自分でそれが良いと思ったら、そう感じた自分の感覚を信頼する。
自分を信頼してはじめて他人に届く演奏が演奏ができるのではないでしょうか。