周囲で話題になる機会はあまり多くないのですが、シェリル・ベイリーという女性ギタリストがいます。この方は現代的ビバッパーという感じで、私のマインドマップの中ではピーター・バーンスタインやマイルス・オカザキの近くにいます。勿論、好きなギタリストの一人です。
Photo by Kergourlay / CC BY-SA 4.0
動画も一つご紹介。McCurdyの小さめのセミアコで、ピッキングはジョージ・ベンソン的逆アングル。明瞭で確信のある音色でバリバリと弾きます。この動画ではパット・マルティーノ的なフレーズも聞かれますね。あとエミリー・レムラーに習っていたことがあると聞いたことがあります(エミリーもマルティーノフレーズが多かったですね)。
シェリル・ベイリー、教えるのもすごく上手なのです。数年前にたまたま “Sheryl Bailey’s 50 Essential Bebop Guitar Licks You Must Know” というDVDを手に入れたのですが、これがすごく良い内容。単にリックをずらずらと紹介するのでなく、このフレーズはこのコード以外にもこんなコードでも使えるよ、と教え方がすごく上手なのです。
そのフレーズもジョン・コルトレーンやデクスター・ゴードンからマイク・スターンやピーター・バーンスタインまで至るもの。2〜4小節のフレーズを1度弾いて、解説して、最後にもう1度ゆっくり弾く、という構成。この小さいアイデアを自分なりに育ててみてね、という感じ。ジョー・ヴィオラとかこれではじめて知りました。
本当に良いDVDです。ただ問題があるとしたら、まず英語版であることと、日本では今のところ入手困難らしいこと。私はたまたまUS amazonで他の書籍等と購入したのでした。US amazonでは今でも在庫あり。あと輸入が面倒という方はTruefireにもあります(Truefireは使いづらくて個人的にはあまり好きではないのですが…)。
英語といってもものすごく難しいことを言っているわけではないので、英語アレルギーでない方なら大丈夫だと思います。私は今でもDVDを持っているので、もしここで何を言っているか聞き取れなかった、ということがありましたらコメント欄からご質問いただければわかる範囲でお答えします。
シェリル・ベイリーは下の教則本も持っています。よくあるii-V-Iの教本なのですが、ベイリー先生は「シェイプ」を重要視されていて(発想がバーンスタインに似ています)、この本はボイシング(シェイプ)とフレーズの関係がかなり面白い本。Two-Fiveやりなおしてみようかなー、などという方には良いかもしれません。私も時々ランダムに開いてみるのですが、発見があります。
Mel Bay Publications, Inc.
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DVDを見るとわかるのですが、ユーモアがあって笑い方が素敵な女性です。本当に楽しそうに笑うんですよね。彼女はとにかくコピーして、コピーしたフレーズ・ノートを作って、それがどんなハーモニック・シチュエーションで使えるかを記録していたそうです。伝統的な習得法。ビバップのいい感じのフレーズもたくさん出てきて、現代的なテイストもある。もっと人気が出ても良いギタリストではないか、と思ったりします。