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Not “Old school” but “Swing style”

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ジョン・アバークロンビーが教則動画で良いことを言っていたのを思い出しました。ビバップ風の、ダブル・スラーの入ったマイナー・ツーファイブ的なフレーズ(初期ロリンズやグラント・グリーンっぽいノリ)をハネ気味の8分音符で弾きながら「これはオールド・スクールなノリだが…」と言った後に、こう訂正したのでした。

オールド・スクール (Old school) っていうのは適切な言葉じゃないな。スウィング・スタイル (Swing style) って呼ぶことにしよう。

オールド・スクールというのは、古い流儀、古い派閥、みたいな意味ですが、自動的に「既に乗り越えられた過去の遺物」のようなニュアンスを持ってしまうことがあると思います。アバークロンビーは多分話しながらそのことに気付いて、そう訂正したのでしょう。ホントいい人だなぁ、と思いました。歴史へのレスペクトを感じたのです。

コンポンポラリー・ジャズから聴き始めた人にとって、バド・パウエルやハンプトン・ホーズやオスカー・ピーターソンのグルーヴはもしかすると古臭く感じられるのかもしれないし、最近のスウィングの8分音符は当時のそれに比べてかなりイーブン気味になっているけれど、何か決定的な断絶があるようには個人的には思えません。

「スウィング・スタイル」は古臭くてかっこ悪い、俺には関係ない、さよなら、という感じで安易に「乗り越え」られるものかというと、そういう類のものではないだろう、と。私も「オールド・スクール」という言葉を使うのには抵抗があります。

スタイルの一つとして意識的に「スウィング・スタイル」を選択しているミュージシャンは現代でも少なくないと思います。ギタリストではパット・メセニーがこの記事で絶賛していたイタリア出身のパスカレ・グラッソもそうかもしれないし、イスラエル出身のヨタム・シルバーステインもそういうタイプのミュージシャンかもしれません。

日本にもたくさんの「スウィング・スタイル」のジャズ・ギタリストがいます。重鎮の方は勿論、中堅の方から20代の期待の新人まで「スウィング・スタイル」を選択されている方、たくさんいますね。私もそうしたスタイルの方々の中に大好きなギタリストが何人かいます。

何かこう、コンテンポラリー・ジャズなんか認めん!とか、ビバップなんかもう古い、みたいなつまらない喧嘩のような風景を時々目にすることがあるのですが、なんでどっちかじゃないといけないんだろう。私はチャーリー・クリスチャンもカート・ローゼンウィンケルもどっちも楽しめるので、そういう諍いとは幸い無縁です(笑)。

格好悪くもないし古くもない。単にスタイルが違うだけ。いまこのスタイルでやるかどうかは別として、真面目に追求したら一度はここに至るはず。パット・メセニーは最近こういう世界に夢中らしい。ジム・ホールも確か言っていました。枝を切って、幹を切っていったら、残る根っこはフレディ・グリーンなのだ、と。

「スウィングしなけりゃ意味ないね」という曲がありますが、カート・ローゼンウィンケルもジョナサン・クライスバーグもマイク・モレノも私にとってはスウィングしているミュージシャンです。反対に「スウィング・スタイル」だから「スウィング感」が保証されるのかというと、そんな甘い世界でもないらしい。

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