jazz guitar bookの最新号(vol.38)に「プロのウォーミング・アップ・フレーズを一挙公開!」という特集がありました。8ページでカート・ローゼンウィンケル、マイク・スターン、リー・リトナー、ウォルフガング・ムースピール、パット・マルティーノ、ジョン・アバークロンビー、ヨタム・シルバーステイン、ビレリ・ラグレーン、ラリー・コリエル、矢堀孝一、田辺充邦、菅野義孝の12氏のフレーズが掲載されています。
予約した時点で楽しみにしていたのですが、やはりとても参考になる内容でした。憧れのあの人が本番前の楽屋でどんなフレーズを弾いているのか、朝起きてどんなふうにはじめるのか、気になりますよね。以下、紹介されている譜面を弾いてみて思ったところを書いてみたいと思います。
カート・ローゼンウィンケル
「ローからハイまで、指板の構造を把握するアルペジオ」ということですが、指板の構造というか、Ex-1はネック全体の長さや指板の間隔の変化に身体と意識を慣らす感じのウォームアップなのだろうか、と思いました(というか、それが構造という意味なのか)。3度音程のアルペジオもカートらしくて面白いです。いただきます。
マイク・スターン
ホールトーンのリックが紹介されているのですがフレーズとしてもきれいです。弦飛びがマイク・スターンらしいです。決まったウォームアップがあるのではなく、その時々で採譜したものからエクササイズになりそうなものをピックアップしているとのことですが、私も最近ずっと同じ方法なので「やっぱりそれってオススメの方法ですよね!?」とちょっと嬉しくなりました。実際に使える音楽的なフレーズで、その中の難しい部分を繰り返しやるのがテクニック強化的にはいちばん効果的だなーと感じています。ウォームアップのつもりがスパルタ練習に突入してしまうこともありますが…
リー・リトナー
ちょっと意外なほど地味な内容でした。以前マイルス・オカザキが耐久力を付けるために延々とオルタネイトピッキングする動画を見たことがあるのですが、同じような意図でしょうか。本番前のウォームアップというより朝起きたら毎日こういうことやってます、という感じでしょうか。力の保全、省エネで弾けるよう脱力加減を思い出すという意味もあるのかなと思いました。
ウォルフガング・ムースピール
セブンスコードやトライアドのアルペジオによるウォームアップが紹介されているのですが、これ好きです!いただきます。指板を広く使っていて、ネックの長さを感じつつレガートなアルペジオも楽しめる、弾いていて気持ちの良いフレーズ。シンプルなパターンだけれど音楽的に感じます。このままアドリブの練習に入りたくなります。
パット・マルティーノ
オクターブ・ディスプレイスメントを使った有名な弦飛びクロマティック・フレーズが紹介されています。ウォームアップというか本気で訓練しないと弾けません(汗)。マルティーノは本番でもこのフレーズ、時々弾いていますね。右手にも左手にも良いフレーズ。同一ポジションの中でのこういう指使い、テクニック強化的に最高ですね。
ジョン・アバークロンビー
1種類だけなのですがこのメジャー・ナインス・アルペジオきれいです。ムースピールと傾向が似ているなと思いました。このアイデア、いただきました!アバクロ先生らしいです。これだけでも嬉しいけれどあと2〜3個知りたかった…でも嬉しい…
ビレリ・ラグレーン
マヌーシュ特有のピッキング(6弦→1弦への弦移動は全部ダウン、逆は全部アップ)を使ったアルペジオが紹介されています。この人とかフィリップ・カテリーヌとかこういうのでバリバリ弾きますよね。そして僕はそっと本を閉じた
ラリー・コリエル
普通のディミニッシュ・アルペジオなのですがこれも練習になります。ディミニッシュ・アルペジオは普通に弾けないといけないと思うのですが、個人的にはアドリブ中の登場頻度が少ないのでなおさらきっちりやっておかないとなーと思いました。シンプルなパターンですが、フルピッキングでどれだけ速く弾けるか挑戦してみたくなりました。頭が疲れたら体育会的にゴリゴリこういうフレーズやるのも楽しいですよね。
田辺充邦
田辺さんは弦飛びフレーズを紹介されています。これはすごく難しくてやりがいがあります!弦飛びの間隔が広がっていったり、狭まってきたりと右手に弦の間隔を覚えさせるのに最適ですね。この練習、いただきます!
今回のjazz guitar book vol.38は手に取った時びっくりするくらい薄くなっていて(いつも100〜130ページくらいあるのが今号は80ページ)少し驚いたのですが、このウォームアップ・フレーズだけでも十分元が取れた感じです。テクニック強化やウォームアップのために自分でフレーズを作るヒントにもなると思いました。
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