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細部まで完璧に、圧倒的な臨場感で思い出す練習

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楽器を持たずにできる練習方法は様々あると思うのですが、「聴くこと」に関してこういう練習をよくやります。非常に良い効果があると思うので紹介します。

この練習の目的は、耳を良くすることです。具体的には、他人の演奏をより精密に聴くことができるようになることです。また、頭の中で鳴ったフレーズ・鳴らしたフレーズを正確にプレイバックする能力を高めることです。

1回あたりの練習の最低所要時間は10分程度。30分もやればヘトヘトです。

練習方法は以下。

  • 自分が好きなミュージシャンによるソロ、そのうち1コーラスだけをループして注意深く聴く。それを最低でも10回聴く(既によく知っている演奏があればそれで可)。時間が許せば数十回聴く
  • 聴き終わったら、そのソロ1コーラスを、細部まで完璧に、徹底的に、圧倒的な臨場感を伴うまでに 思い出す(脳内で再生する)

とてもシンプルな内容です。騒音のある環境の場合、耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォンを使用します。

この練習で大切なのが2番目の「細部まで完璧に、徹底的に、圧倒的な臨場感を伴うまでに」というところです。音程やリズムは勿論、プレイヤーのアーティキュレーション、ギターならピッキングのニュアンスまで全て精密に思い出す努力をします。抽象的な記号で譜面化できない音響的な要素まで思い出します。

自分があたかも「録音機」になったつもりで、ハイファイな音での脳内再生を心がけます。この「ハイファイ」というのがポイントです。

例えばGrant Greenの”I’ll Remember April”のソロ1コーラス目でこれを試す場合、再生時は P-90ピックアップ搭載のES-330を弾くあのおじさんが本当に目の前にいて、その姿が見える くらいの勢いで思い出します。あのリバーブも含めて想起します。そして止まらずに再生します。

きちんと再生できない箇所は、多くの場合自分が苦手なインターバルを含んでいます。この場合何度も聴いてやりなおします。

この練習はかなり強力です。もう本当に目の前でその人がリアルギターとリアルアンプで弾いているくらいの解像感と音量で鳴らします。慣れてくると、次第に輪郭のはっきりした太い音で、大きい音量で聴こえるようになってきます。解像感、もこの練習における大事なキーワードです。

オプションとして、脳内再生する時に小さい声で口でも歌うと音程を本当に聴き取れているかどうかわかります(この場合、声は頭の中で鳴っている音の音量を超えないよう、小さい声でやります)。ただしこの練習の目的は音程だけを聴きとることではありません。

なお大変な集中力を要するのでクルマの運転中など危険を伴う状況ではやらないほうが良いです。電車の中では良いかもしれません(乗り過ごさないように注意しましょう)。

1種のイメージトレーニングとも言えるかもしれません。やってみたことのない方は、目の前にグリーンやバレルやレイニーをどこまで「出現」させられるか、挑戦してみてはどうでしょうか。楽しいですよ。


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