円を描き、円周を均等に12分割します。その12の点が1オクターブ内の12の半音に対応するとして、この円に各種スケールを描画していくとどんな形態を取るのだろう。と考え、フォトショップで遊んでみました。
まずチャーチ・モード。C Ionian (=D Dorian, E Phrygian, etc)。一見したところ、少しいびつに見えます。
しかし。首をちょっと斜めにして… Dを頂点に据えると、これ左右に折りたためますね。対称性があります。D Dorianの音の並びは、W-H-W-W-W-H-W (Wは全音、Hは半音の意)。この音列は、中心を境に対称的となっています(頭から始めても最後から逆行しても同じインターバルを繰り返す)。なるほど、図形もわかりやすく対称的に見えるわけです。ドリアンはやはり特殊な何かがあるのかな。
次に全音間隔で並ぶ6音スケール、ホールトーンスケール(Whole Tone Scale)を観察してみます。シンメトリカル・スケール代表選手の1人だけあって、図形もわかりやすく対称的。左右にも、上下にも折りたためます。自然界では雪の結晶と蜂の巣がこの形なんだとか。なんかヤバい。ホールトーンヤバい。亀。トンボの眼。
考えてみると「全音だけ」を繰り返すホールトーンは「半音だけ」を繰り返すクロマティック・スケールと友達なのかもしれない。
同じくシンメトリック系のディミニッシュ・スケールを観察します。これはCディミニッシュまたはBのコンディミ(B HW Diminished, B Dominant Diminshed)。8音スケールです。これも上下左右に折りたためます。頑固そうな雰囲気ですね。何かこう、自分が間違っていたとしても絶対に認めない。謝らない。そういう感じ。
シンメトリック・オーグメント (Symmetrical Augmented Scale) はどうでしょうか。これもわかりやすい形態をしています。左右に折りたためますが、上下には折りたためない。でも何か、本当に人類が扱って良いものかどうか心配になる危険な雰囲気が漂っています。放射能。ベン・モンダー。
C ハーモニック・マイナーはどうでしょうか。むむ…これ、何か変。いびつです。頭をいろんな角度に曲げてみても、折りたためそうなポイントが見えてきません。これは完全に非対称な何かのようです。EbでなくEbとEの間に音があったら対称になりそう。
ハーモニック・マイナー繋がりでハンガリアン・マイナーを思い出しました(Hungarian Minor Scale, Harmonic Minor #4, Double Harmonic Scaleの第4モード)。ハーモニック・マイナーの第4音が半音上がっているもの。ルートCから開始。
ちょっと左に回転させると… これ、左右に折りたためますね。このスケールはあらゆる7音スケールの中で唯一、こうやって描画した時に質量中心が円の中心にやってくる「完璧なバランス」を持ったものだそうです(Double harmonic scale – Wikipedia)。ハンガリーの民俗音楽は半端ないですね。道理でバルトークみたいな人が生まれるわけだ。
そのバルトーク。こういうスケールもよく使いますよね。
同様に左に回転させると… 左右に折りたためます。
いや、ちょっと待った。上のバルトーク・スケール、C Lydian Dominantと同じ音列。ということは、メロディック・マイナーも同じ図形になるはず。下はC Melodic Minor。
少し左に回転させると… 同じ形になりました。G Aeolian Dominant (G Mixolydian b5) を中心に左右に折りたためることが判明。
ところでペンタトニックという5音音階はどうなのか。Cメジャーペンタトニック(Aマイナーペンタトニック)は… やっぱり折りたためた。Cメジャーペンタトニックの第2モード、Dから開始すると順行と逆行が同じインターバルを反復。
と、ここまで色々図形で遊んでいて気付いたのですが、ハーモニック・マイナーがどうも仲間はずれらしいということ。図形にすると折りたためない。非対称。不安定。中心がない。ここには何か秘密があるのかもしれない。もしかすると人類の存亡に関わるような、重大な何かが…これはキバヤシに連絡を入れる必要がある。
こんな時間に誰か来た。誰だろう。