自分の価値観とは相容れないものについては語らないほうがいい。と、改めて思わされた出来事があります。それは映画「セッション」の違和感(一応ネタバレなし)という記事を書いた時のことです。
このブログでは自分の嫌いなものについてはなるべく書かないように心がけているのですが(嫌いなものについて考えると、演奏のために必要な脳神経細胞が減ってしまうから)、上の記事で取り上げた映画は表現手法がどうしても自分には許せない感じのものだったので、つい書いてしまったのでした。
しかし私の友達には、その映画に感動した人が少なからずいたのでした。酒を飲みながら「あんな内容の映画、ひどいじゃないか。しかもカメラワークはダレン・アルノフスキーの劣化版みたいな感じじゃないか。似ててもいいけど、この似方は何か許せないものがあるんだよ!」と私が批判すると、「馬鹿野郎! あの映画の良さがわからないお前なんかとはもう絶交だ!」と言われたりしました。
まあ、たまにあることです。むしろ意見がいつも同じであることのほうが気持ちが悪い。とは言え、やはり嫌いなものについては黙ってたほうがいいな、と思ったのでした。
話は変わって先日、アイバニーズがArtstar Vintageなる新しいセミアコシリーズを出しているのを知って、モニターにブーッとコーヒーを吹いたのでした。いわゆるレリックというやつです。
Image quoted from Ibanez website
これは驚きました。私はレリック加工のギターというものが、よくわかりません。嫌いとか、不快とかは思いません。それ以前に、使い古したような加工を施された新品のギター、という価値観が、私には全くわからないのです。
このトレンドは「履き古したジーンズ」あたりに起源があるのでしょうか。そういうヴィンテージ加工のジーンズならまだわかるのですが(あれはあれで欲しがる人の気持はちょっと理解できる)、ヴィンテージ加工のギター、は何かよくわかりません。
本当に古いヴィンテージのギターに惚れて、それを買う。新品で買ったギターを長年使って、それがやがてヴィンテージになる。というのはわかるのですが、「使い古したような加工を施された新品のギター」はやっぱりよくわからない。
フェンダーもギブソンもこういう感じのギターを出していて、世界的な流行の一つなんだろうけど、世の中いろんな価値観があるな、と思ったのでした。自分がいま18歳くらいだったら、このギターの良さがわかるのだろうか…