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近現代音楽に学ぶ (1):クロード・ドビュッシー

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シンメトリック・スケールと呼ばれるものがあります。ジャズで使用される主なシンメトリック・スケールにはホールトーン・スケール、コンディミ(英語ではHalf Step/Whole Step Diminished Scaleと呼ばれます)、シンメトリック・オーグメント・スケール等があります。

この記事ではホールトーン・スケールについて少し書いてみたいと思います。6個の音が全音間隔で均等に配置されているスケールで、2種類しかないのが特徴です。これを本格的に使いはじめたのはフランスの作曲家クロード・ドビュッシー(1862-1918)。「月の光」や「亜麻色の髪の乙女」で有名な人です。

彼の作品に「映像」(Images)という2巻組の曲集があり、第2集に「葉ずえを渡る鐘」 (Cloches à travers les feuilles)という曲があります。ホールトーンのサウンドを理解できる良い例だと思います。YouTubeにアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの演奏画像があったので下に貼ってみます。

譜面上、キーは一応Cで途中でEに転調し再びCに戻っています。調性はほとんど意味がないように聴こえますが、インターバリック・ストラクチャー的な、「色彩」を意識した調性感の希薄なアプローチですね。この流れは後にオリヴィエ・メシアンをはじめとする現代音楽に受け継がれていったように思います。

私が最初にこの曲を聴いたのはまさにミケランジェリの演奏だったので、YouTubeでこれを発見できて良かったです。この人は相当な変わり者だったようですが(キース・ジャレットとは比べ物にならないほど)、動く映像を見るのは初めてなので嬉しいです。

さて、ホールトーンをはじめとするシンメトリック系スケールはジャズでも多用されるものの、かなり意識的に使わないと身につかないし、油断すると「スケールに使われる」ことがあり、手強いものだと感じます。ただやはり自分のパレットには加えておきたい。

ホールトーンの一番簡単な使い所はドミナントの箇所だけれども、勿論トニックで使ってもいい。これはディミニッシュも同じ。とはいえ演奏の連続性を破壊せず流れの中に自然に組み込むのは難しい。指板上の音の配置自体はあまり難しくないのですが、非マッスルメモリー的に弾こうとすると運指は難しく感じます。

なんというかこう、シンメトリック系のスケールは「飛び道具」的に使ってもあまり格好良くないように最近感じます。もっとこれらのスケールとそこから派生するコードの「色彩」を味わって、楽しむことが大事だなという気がしています(ギターだとあまり音を重ねられないのが悩みどころなのですが)。

ちなみに過去に読んだホールトーン・スケール関連の参考書で役に立ったのは以下の2冊。Bergonzi本ではマイナー6thペンタトニックからホールトーン・ペンタトニックを生成するという便利な小技が紹介されており、後者の本では実践的なポジションがよくわかるので興味がある方は読んでみても良いかもしれません。


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