最近Trufire.comで販売されているTim MillerとOz Noyの教則動画を観ました。
以下の2つです。どちらもとても刺激を受ける内容でした。
Creative Arpeggio Design By Tim Miller
Tim Millerのレッスンでは、様々なスケール(アルペジオ)を高速かつ不思議な響きで弾くための、独自の3つのフィンガリング(彼はこれを「テンプレート」と呼んでいます)が紹介されています。6弦で2音、5弦で1音、4弦で2音、3弦で1音、2弦で2音、1弦で1音というルールで弾きます。
右手にも特殊なルール。というかTim Millerおすすめの動きが紹介されています。特殊なハイブリッド・ピッキングなのですが、かっこいいモダンなサウンドを高速で弾くためのテクニックと言っていいです。ではそれを演奏中どこでどんなふうに使えるのか。勿論それについても解説されています。
Oz Noyのこのレッスンは、My Music Masterclassで配信・ダウンロード販売されている “Unlocking the Neck” と一部内容が被っているところもあるのですが、やはり面白かったです。彼は「右手のピッキングのことを考えない」ための、2 notes per 1 string, 3 per 1, 4 per 1… というフィンガリングを説明します。
例えばペンタトニックでは誰でも知っているあの2 notes per 1 stringが便利だし、コンディミだと4 notes per stringが便利かもね、とかそういう話です。
この2人にはある共通点があるように思いました。それは「ギターという楽器の性質について素直になる」ということだと思います。ギターという楽器は結局ギターであって、ピアノでもサックスでもない。ギターには弾きやすい音型・弾きにくい音型がある。楽器の構造上、得意なフレーズとそうでないものがある。
速弾きをする、速く弾く、ということに音楽的な価値はない、という人もいるかもしれないけれど、やっぱり速く弾きたい時に速く弾けることは大切なわけです。そしてどれほど音楽的な要請があったとしても、それがギターで弾けないものであれば話にならない。ギターで弾けるようなものでなければならない。
むかしビバップを牽引し続けてきたホーン・プレイヤー達の演奏をコピーしていて痛感したのは「ギターだと最終的には彼等のような自由な表現には辿りつけない」ということです。勿論大いに参考にはなるのですが、そのまま真似したって仕方がない。楽器が違う。制約が違う。そこは認めないと、と思ったのでした。
ピアニストやサキソフォニストにとってはどうということのないフレーズでも、ある速度域に達するとギタリストには異様なほど難しかったりするものがあります。勿論練習はするんだけれど、発想を変えて、ギターでやれる方法をもっと積極的に追求してもいい。この2人からはそういうことを学べそうな気がします。