以前、Vic Jurisの教則DVDを見ていてハッとした言葉があります。
確か彼はこんなことを言ったと思います。”Let’s face it, we can only improvise in the positions we’re familiar with.” と。「よく考えてみましょうよ。自分がよく知っているポジション以外でアドリブなんかできないでしょう」という意味です。
この “Let’s face it” という言葉、そしてヴィック・ジュリスが少しシニカルに、少し微笑みながらその言葉を口にする様がとても印象に残っています。”Let’s face it” は直訳すると「直面しましょう」ですが、これは「正直に現実を観察して、それを受け入れましょう」ということだと思います。
自分がよく知っているポジション以外でアドリブなんかできないだろ。と認めることで、何かが起こるか。まず自分が知っているポジションで積極的に、自信を持ってアドリブをする、ということが起きる。次に、まだ不慣れな別のポジションを完璧に覚えていくために練習する、というアクションが起こる。
正直にならないと上達はない。正直になれば上達はできる。目を瞑らない。認めたくないことであっても認める。最近、練習していて何らかの困難に直面するとよく自分に “Let’s face it” と話しかけます。「だってしょうがねぇじゃん。ここじゃこの速さで弾けないんだから。じゃ、どうすっかな。」と。
すると、大体何らかの方針が確立されるのでした。時には「崇高な音楽的要請」が犠牲になることもありますが、それも仕方がありません。音楽のためにギターを弾いているのですが、ギターが弾けなければ音楽もできない。ならギターを弾けるようにしよう、と。目指すのは彼方でも、足元を見て歩く。