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いま「来ている」のは誰なのか。ギター・マガジン10月号の特集「我が心の新3大ギタリスト」は必読の内容

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ギター・マガジンの10月号が素晴らしい。「我が心の新3大ギタリスト」という特集記事があるのですが、「いろんなギタリストに好きなギタリスト3人挙げてもらいましたー」という「なんとなくやってみた企画」を超えています。何というか、時代状況が見える内容なのです。えっこの人がこの人を聴いているのか、この人もあの人が好きなのか、と驚き連発の優良企画。

いま注目のギタリストは誰なのか。ギター・マガジン10月号の特集「我が心の新3大ギタリスト」は必読の内容

回答者には(敬称略)ジャズ系ギタリストの小沼ようすけ、宇田大志、大友良英はじめ、ラウドネスの高崎晃、SUGIZO、ジム・オルーク…と錚々たる顔ぶれ。幅広い。さらにジョン・スコフィールドへのインタビュー記事もあります。

今回、かなり多くの人が共通して推しているとあるジャズギタリストがいました。私もその人は大好きですが、これほどまでに推されているのを知って少し驚きました。面白い。

ギター・マガジン 2018年10月号
リットーミュージック (2018-09-13)

この特集の中で個人的にいちばん面白かったのは、西田修大・井上銘両氏の対談。これから通用するギタリストには何が求められてくるのか、需要に応えることと自分の音楽性を深めることをどう両立させるのかといった話題や、「インスタグラム的ギター表現」の話は抜群に面白かったです。他にマーク・リーボウやジョン・マクラフリンへのインタビューもあり、ジャズ好きもかなり楽しめるはず。

このギター・マガジン10月号ですが、私はKindle Unlimitedに入っているのでなんと0円で読むことができました。過去にKindle Unlimitedを使ったことがない方は30日間無料体験できるので、このギター・マガジン10月号で使い勝手を試してみてはどうでしょうか。

Kindle書籍は、私は主にFire HD 8で読んでいますが、PCは勿論、iPhoneやiPad、Androidでもアプリで読めます。ギタマガがKindle Unlimitedに入ったのは本当にありがたい話。バックナンバーも何年分も読めるのがすごいです。


ジョン・スコフィールドがブルースマンにならなかった理由

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下の記事でも紹介した「ギタリスト現代地図・未来予想図」とでも呼べそうなギター・マガジン10月に、ジョン・スコフィールドへの良質なインタビューが掲載されています。その中で彼が口にしていた言葉で胸に突き刺さったものがありました。この人は何を喋ってもポロッと深い思考が出てくるな、と思いました。

いま「来ている」のは誰なのか。ギター・マガジン10月号の特集「我が心の新3大ギタリスト」は必読の内容
ギター・マガジンの10月号が素晴らしい。「我が心の新3大ギタリスト」という特集記事があるのですが、「いろんなギタリストに好きなギタリスト3人...

ジョン・スコフィールドはブルースを愛しており、「心の3大ギタリスト」にB.B.キングを挙げているほどです。しかし彼が例えばエリック・クラプトンのようにブルースの世界に入って、ブルースを歌うブルースマンを志向しなかったのには、ある理由がありました。それが、いいんですよ。ずいぶんはっきり言ったな、と思いました。でもそこには愛があるので、清々しくもあるのです。

ジョン・スコフィールドがブルースマンにならなかった理由

具体的にどんな言葉だったかは、誤解を呼びそうだし、プライドを傷つけられてしまう方もいると思うので、ここではちょっと書けません。ジョンスコは誠実な人だな、とあらためて深く共感しました。

日本人がジャズをやることについても色々言う人がいるけれど、ジャズはもっと懐の広い音楽だと思います。様々な対立を対立として、複雑な現実を現実として、ネイティブも外国人も差別なく受け入れてくれるような魅力がジャズにはあります(あ…それはつまり…アメリカの理念、ということなのだろうか)。黒人も白人もアジア人も中に招き入れてくれる音楽。とりあえず入れてくれる。チャンスをもらえる。

ジェロという米国出身の演歌歌手がいました。私は彼の歌、好きでした。「海雪」はとても良かった(歌も、宇崎竜童の曲も、ギターもカッコいい。ギター誰なんだろう…)。いま聴いても、いい。ただジェロ氏、演歌歌手はやめて、IT関連の仕事をするため米国に戻ったそうです。彼は、もっと売れても良かったんじゃないかと思います。

ブルースの起源に関する過酷な歴史を思うと、演歌と一緒にすることはできないのですが、ふとジェロのことを思ったのでした。彼はどこか誠実な感じがする。スコフィールド氏も、もしブルースマンになっていたらきっとすごくいい音楽をやっていたに違いないと思います。というか、本当はああした考え方を持てる人だけがブルースマンになる資格を持てるんじゃないか。

ギター・マガジン 2018年10月号
リットーミュージック (2018-09-13)

ギターマガジンはKindle Unlimitedで無料で読めます。過去にKindle Unlimitedを使ったことがない方は30日間無料体験できるのでジョンスコ先生のぐっとくるインタビュー、ぜひ読んでみてください。

あなたは何ギタリストですか?と問われて即答できるか

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テニス全米オープンの優勝でお茶の間の話題をさらっている大坂なおみ選手。最近の来日時インタビューにおけるとある質問が大変不躾だとして話題になっていました。

Naomi Osaka

Photo by Peter Menzel / CC BY-SA 2.0

「自身のアイデンティティについてどうお考えですか?」

という、ほとんど「あなたは何人ですか?」という意味の質問に対し、20歳の大坂選手が「私は私。」と答えた、という記事を読み、ひどい目にあったな、それにしっかりした人だな、と思いました。

大坂なおみ選手は大阪生まれ。4歳の頃にアメリカ東海岸に移住。現在はフロリダ州在住。母は北海道出身の日本人。父フランソワ氏はハイチ生まれのアメリカ人。するとおそらく父親の母語はフランス語。これだけ見ても相当ややこしい出自であることがわかります。さらに現在の専属コーチはドイツ人。

こういう人に対して「自身のアイデンティティについてどうお考えですか?」(≒「あなたはアメリカ人ですか、それとも日本人ですか?」というワイドショー的好奇心の婉曲表現)という愚鈍な質問をしてしまう人が信じられない。多分そのインタビュワーさんは、日本以外の外国で異文化に十分触れた経験がない。なら、その人にはインタビューする資質がない。

例えばギタリストのレイル・ミシッチ氏にはじめて会ったとしていきなり「あなたはセルビア出身ですか?」と聞くのは、良い考えだろうか。マイルス・オカザキ氏に、あなたは日本にルーツがあるのですか、とか、カート・ローゼンウィンケル氏にあなたはドイツ語を話しますか、と唐突に聞くのは、良い考えだろうか。

場合によるとは思うのですが、原則としてそういう話題は親密な関係になってはじめて可能になるものであって、見ず知らずの他人がマイクを向けて「あなたは自分が日本人だと思っていますか、それともアメリカ人だと思っていますか」という主旨のことを聞くのは基本的にマナー違反。

アメリカには根深い人種差別・人種問題は存在するものの、アメリカ人という人種は存在しない。アメリカ人とは概念で、今ならアメリカで生まれた人か後に米国籍を望んで取得した人だけがアメリカ人になる(大統領になれるのは米国で出生した人に限るという縛りがあるけれども)。そして人種や出自というバイアスを超えたパフォーマンスの中身で評価されるのがアメリカという国の原則であるはず。

大坂なおみ選手は数年内にアメリカ国籍か日本国籍かのいずれかを選択しなければならないけれど、初対面の人間が「で、あなた何人?」とマイクを向けてくるようなメンタルの国の国籍を選択して彼女にとって良いことがあるだろうか。余程の理由でもない限り、彼女は米国籍を選択するのではないか。

あなたは何ギタリストですか?

ここで音楽の話に戻ると、あなたは「何ギタリストですか?自身のアイデンティティについてどうお考えですか?」などと聞かれたら、それはやっぱり面倒臭いと思う人が多いんじゃないか。この時代(というか本当は昔からだけど)もう「ジャズギタリスト」などという定義が通用しなくなりつつあります。

勿論ジャズというカテゴリーの音楽は大きい価値を持っているし、多様なスタイルを包含してくれるところがあるので、マーケティング的な理由で自らを「ジャズギタリスト」と称されている方はたくさんいると思います。でもそうした方々にも「ジャズギタリストと名乗ってはいるが、特に自分をジャズギタリストとして定義しているわけではない」という人も多いのではないか。

外側から見ても、例えばベン・モンダーのような人を「ジャズギタリスト」と呼ぶのは難しい。ベン・モンダーはベン・モンダーとしか言いようがない。大坂なおみが大坂なおみであるように。ギター・プレイヤー。テニス・プレイヤー。以上。

Ben Monder

Photo by Topfive / CC BY-SA 3.0

人はわかりやすい表現を好むので「あなたは何ギタリストですか?」と聞かれた時に「えーとロックに触発されジャズに学びテクノを通じて云々…」と説明されるよりも「ジャズギタリストです。」という答えをスパーンともらったほうが安心する。大坂なおみ選手についても「私は日本で生まれましたが人生の大部分をアメリカで過ごし日本語は云々…」ではなく「ココロハ、ニホンジン。」みたいな答えを求める。

一概に「日本人は〜」という表現はしたくないけれども、日本人は欧米人に比べるとこういう「複雑な現実を複雑なまま受け入れる」ということに慣れていない。複雑な出自と多様な価値観が一人の個人の中で共存していることがある、ということが想像できないことが多い。「要は〜だよね?」とまとめたがる。

特定の何かでないといけない、どれか一つでないといけない、と信じこむ。どこに属しているのかを決めなさい。誰の派閥に与するのか、言いなさい。曖昧な態度は、許さない。それに、そのへんはっきりしてもらわないと、商品として流通させる際のラベリングに困るんだよ、君。はっきりしてもらえないなら、私達の仲間に入れることはできない。

そんな面倒くさいことを言う人が支配的な国の国籍を、彼女は選択するだろうか。それは多分、テニス・プレイヤーとして日本国籍を取得することが職業的に有利に働く場合を別として、多分ないんじゃないかな、と思います。

ギターのナット付近に巻いてあるあのモフモフが欲しい

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YouTubeのレッスン動画で有名なイェンス・ラーセン氏。アイバニーズの古いセミアコを愛用されていますが、いつもナット付近に何かタワシみたいな、いやモフモフした感じのものを巻いているのが気になっていました。素材はガチャピンの友達のムックみたいな感じです。

この手のアクセサリー、タッピングする方はよく使われていますよね。先日、右手を一切使わずに左手のタッピングだけで基礎練習から曲まで一日中練習していたら(これはホントいい練習。これでちょっとでもリズムがヨレずにいい音で弾けないといけないんだと思った)、ラーセン氏のモフモフが欲しくなりました。でも楽器屋さんやamazonを探してみても、ガチャピンの友達みたいなモフモフのがない。

いまいちばん流通しているのは「FretWraps」という製品らしいです。内側はタオル地ですが、私が本当に欲しかったのはラーセン氏が使っているようなガチャピンの…何処で売ってるんだろう…

Gruv Gear FretWraps

でも、これ自体は良いものです。普通に開放弦を使いたいときはサッとヘッド側にスライドさせれば良いだけです。

Gruv Gear FretWraps

私の場合は特殊練習用ですが、これ便利ですね。ハンマーオンとプリングオフだけで弾く練習、オススメです。ピッキングの練習も大事だけれど、左手だけでやってみるとフィジカルな弱点がよくわかります。あと同じ指を2回以上続けて使うような動きは、俊敏性が鍛えられるだけでなく、運指を見直すきっかけになったりしますね。音を出すことについての意識も変わってくるので、面白いです。

私が買ったのはこのGruv Gear FretWrapsというのもの。サイズが色々あるのですが、6弦のギターならスモールで問題なさそうです。色も黒とか赤とかいろいろあるので、ギターに合わせて選ぶのも楽しいです。

だがしかし…あのガチャピンの友達みたいなモフモフが欲しい…そっか、自作すればいいのか!

【ミルミルのCM】最初の5秒であの人かなと思わせ次の5秒で確信に至らせる アントニオ・サンチェスの強烈な個性 

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欅坂46平手友梨奈さん主演の「ミルミル」のテレビCMをはじめた見た時、最初の5秒で「もしや?」と思いました。次の5秒を聴いて、確信しました。これはアントニオ・サンチェスが叩いているのだと。

その後すぐにヤクルトの公式サイトをチェックしたのですが、この音楽に関する情報は見当たらず。しかし同じように思った方が多かったのか、ヤクルトに問い合わせたところやはりアントニオ・サンチェスが叩いているという裏が取れたという情報を目にしました。彼は2年前もキリン「生茶」のCMでドラムを叩いていることが明らかになり、大変話題になりました。

キリン「生茶」のCMのドラムがすごいと思って調べたらびっくりした
今年よくテレビで流れているキリン「生茶」シリーズのCMがずっと気になっていました。ドラムを聴いて、このひと誰だろうすごいな、ライブ観に行きた...

メイキング映像にサンチェス氏は登場しませんが、制作側が彼にどのような内容の依頼をしたのか大変気になるところ。もう映像見て自由にやって下さい、という感じなんだろうか。ただのBGMじゃなくインプロヴィゼーションの提供なのかもしれない。

しかしすごいですね。普通の16ビートの、普通のパターンでこの強烈な個性ですよ。最初の5秒であの人かな、と思わせ、次の5秒で確信に至らせる。音色、そしてタイム。でも誰でもこうじゃないと本当はいけないのかもしれない。頑張ろっと。

Fender Mustang GT40 スマホ前提の新時代ギターアンプを徹底解説

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Fender Mustang GT40というアンプを使いはじめました。Bluetooth接続でほぼ全ての機能をスマホから操作可能な新時代のギターアンプです。というか、アンプ単体では設定が難しい項目さえあります。スマホ前提のアンプなのです。さらに世界初のWi-Fi機能搭載。でも箱から出してすぐに様々なフェンダーアンプのモデリングを含め、160種類にも及ぶ「プリセット」から基本サウンドを選び、微調整して使えます。

Fender Mustang GT40 アンプ本体

まずハードウェア、アンプ本体を見てみましょう。これは40WのGT40というモデルですが、上位機種にはGT100やGT200という大出力のものもあります。どれもすごく安いので一瞬GT100あたりを買おうかと思いましたが、このGT40でも爆音なので結果的にこれでOKでした。集合住宅だとGT100は持て余すかもしれません。

Mustang GT40 アンプ本体

上の写真のGT40の上にちらっと見えているのは、YAMAHA THR5Aです(記事)。GT40の横幅は40cm。奥行きは20cm。コントロールノブはGAIN, VOLUME, TREBLE, BASS, MASTERの4つ。ミドルやリバーブがないと不便かなと心配だったのですが(※上位機種のGT100/200にはMIDDLEノブあります)、杞憂でした。というのも、これらのハードウェアノブはMASTER以外ほとんど触ることがないからです。

アンプ上面にはカラーの液晶パネルがあります。ここにいろいろ表示されている項目には、すべてスマホからアクセスできます。というかスマホからのほうが断然早いのでそちらから操作するのがオススメです。

Mustang GT40の液晶画面

液晶の右側にある3つのボタンは上から1)プリセット・レイヤー、2)シグナル・パス・レイヤー、3)コントロール・レイヤー。1)プリセットで基本アンプを選び、2)シグナル・パスでエフェクターの順番を変更し、3)コントロールでトレブルやミドルといったツマミを操作します。右端にある丸いハードウェアボタンは、ジョグダイヤル。中のボタンはパソコンのエンターキーのような役割。

Wi-Fi & BLUETOOTHという項目では、自宅のWi-Fiルーターを一覧から選び、ボタン操作でWEPキーを入力してアンプをネットワークに接続することができます。アンプにSSIDがずらっと表示されているのを見て、一瞬これ何の機械だろうと不思議な気分に。

後述しますが、アンプとWi-Fiネットワークへの接続はスマホアプリからやったほうが断然ラクなので、アプリ経由での接続に失敗してしまう場合を除いてこれを使う必要はなさそうです。私の場合、最初アプリでうまく繋がらずこれを使うハメになりましたが…

Mustang GT40でWi-Fiネットワークを選択

下はプリセット(セットリスト)からアンプを選んだ時の液晶画面。最初のプリセットはBASIC ’65 TWIN。これでもう弾きはじめられます。本体のTREBLE等のノブを回すと液晶内のノブも連動して動きます。さらに後述のスマホアプリ内のノブを動かしても液晶内のノブがシンクロしてニューッと動きます。

Mustang GT40でBASIC '65 TWINを選んだ時の画面

いろいろあって一度アンプを工場出荷時に戻したのですが、するとプリセットの内容が変わってしまいました。が、アンプのファームウェアをアップデートすると最新のプリセット状態に戻りました

チューナーも内蔵しています。いちばん右側にあるMENUというハードウェアボタンからアクセスできます。が、これもスマホから選択したほうがラクです。とにかくスマホから操作するのがラクなアンプなのであります。

Mustang GT40のチューナー表示

Mustang GTアンプの司令塔・スマホアプリのFender Tone

アプリは「Fender Tone」というものをダウンロードします(iOS/Android対応)。当然、無料です。GT40を買ったら、アンプの電源を入れ、このアプリをゲットしてアカウントを作成します(作成しないと使わせてくれませんw)。その後画面の指示に従っていくとアンプをWi-Fiネットワークに接続できます。

事前にスマホのメモ帳などにご自宅のWi-FiルーターのWEPキー(パスワード)を貼っておくと便利です。後でコピペで使えます。

アプリを使ってアンプをWi-Fiに接続するのは何のためかというと、ファームウェアを新しくする必要があったり、様々なプリセットをネットから直接アンプにダウンロードするためです。スマホとアンプは、Bluetoothで通信します。これはアンプを操作するため。つまりアンプを操作するためには、Wi-Fiは不要なのですが、ファームウェアが最新でないとBluetooth接続できない場合があります(私がそうでした)。

このアプリ、残念ながら日本語化されていません。全て英語です。スマホとアンプがBluetoothでペアリングできてしまえば、以後はアプリを立ち上げるだけで自動的にアンプに接続してくれます。下の画面がその様子。「アンプとの同期中です。同期完了するまでアンプ側のツマミをいじらないで下さい」という意味のメッセージが表示されます。

Fender TONEの同期中画面

さて、アンプに繋がったらアプリ左下の”My Presets”を見てみましょう。ここにとりあえず160種類ほどのプリセットがあります。01〜30まではBasic〜という基本的なアンプ・設定シリーズ。とりあえずBasic ’65 Twinをタップしてみます。

Fender TONEのセットリスト

すると左下の画面が表示されます。’65 Twin Reverbの後に’65 Springというリバーブが接続されているという図です。画面下の「FX」というボタンをタップすると、エフェクトのON/OFFができます。この画面を左にスワイプすると、まずアンプのコントロール画面が出てきます(下の画像中央)。さらに左にスワイプすると、スプリングリバーブの設定画面に入れるわけです(画像右)。

'65 Twin Reverb

一説によるとフェンダー系アンプはTREBLE 0, MIDDLE 10, BASE 0がフラットな設定らしい。ミドルはカットするもので、トレブルとベースはブーストする仕様。ただしどれも12時の設定にした場合、同じだけカット・ブーストされているとも言えるので結果的には同じという話もある。私の場合は0-10-0からスタートして音作りをすることが多いです

上のBASIC ’65 Twinという左の画面の下に、「…」という3点リーダーみたいなものがあります。これをタップすると、左下の画面に移動します。ここではプリセットの名前を変更したり、アンプとエフェクターの接続順を変更したりできます。新たにエフェクターを追加することもできます。これがもう山ほどあってですね、家で使う分にはコンパクトエフェクターがなくても困らないくらいの勢い。

アンプ設定画面

Pre-FXはアンプの前にエフェクターを繋ぐの意。Post-FXはアンプの後に繋ぐという意味です

ディレイだけでも相当なプリセットがあります。これで細かい音作りもできます。ただディレイの入った使いやすいプリセットもいくつかあるので、最初はとにかくプリセットを色々試してみるのが良いと思います。ジャズっぽいクリーントーンとしては、私は42番の”Ethreal”がお気に入り。変わり種としては118番の”Octobot Lead”もギターシンセみたいで楽しめます。

102番地には”Sco’s Field”などというものが。これは…ジョン・スコフィールド!フェンダー、あんた最高だぜ!その中身は下の画像右側のような構成になっています。ちょっとクランチした感じ。こういうプリセットだけでも相当楽しめます。”Hold’s Worth”というホールズワース風プリセットなどもあります。

Sco's Field

で、こうした様々なプリセットが日々どんどんアップロードされていて、アプリ画面下の”Download”をタップすると下のような画面がでてきます。ジョー・ボナマッサやウォーレン・デ・マルティーニ本人作成のプリセットが見えます。TC ElectronicsのTone Printのような感じですね。ツェッペリンのBlack Dog風とか、ジミヘンのLittle Wing風とか、ポリス風とか、アンプとエフェクターで作り込んだ音を選べます。

プリセットのダウンロード

プリセットは最大200まで登録可能らしいです。初期状態で160個使用されているので、それ以外に40のセットをダウンロードして使えます。ちなみにこのプリセットリスト、バグがあるらしくたまに数や名前がおかしくなります。アプリなのでそのうち改善されていくでしょう

アプリに関しては主にこんなところです。デジタルものというと機能が多くて煩雑なものに思えるかもしれませんが、使ってみると意外にシンプルでした。基本プリセットを選び、アンプ画面で基本的なイコライザー調整をし、エフェクト画面で設定調整。あとは興味があれば新しいプリセットをダウンロード。よく使うプリセットは”Setlists”で管理できます(「お気に入り」的な機能)。

Wi-FiやBluetoothとの接続がうまく行かなかったら右下の”Settings”からあらためて接続できます。私が実際に使ってみて最初つまづいたのはアンプをWi-Fiに繋いでやる時でしたが、それ以外は特に難しいところはなく、問題なく使えています。

まだ使い始めてから日が浅いのですが、これ、いいですよー。かなり気に入っています。電源を入れてから音が出るようになるまでちょっと待たされること以外は特に不満なし。そうそう、Bluetoothでアンプに接続していると、YouTubeでもiRealでもスマホの音は全部アンプに飛びます。バッキングトラックを使った練習をする時などにも便利です。スマホなしでもアンプは最後に使ったプリセットでそのまま使えます。

小さい音でもすごくいい音。ヘッドフォンでもわりといい音なので夜間練習にもぴったりです。

このアンプ、私はamazonで買いました。楽天でも大体同じ値段。これで約27,000円は正直、価格破壊です。アンプをネットに繋ぎ、スマホで操作する…すごい時代になりました。推測ですが、シェアを取るためにかなり無理をしている価格設定のような気が。あとMGT-4というフットスイッチがオプションで用意されていて、それがあるとプリセットの切り替えやルーパー機能を利用できます。

Fender フェンダー ギターアンプ MUSTANG GT 40
Fender(フェンダー) (2017-05-23)
売り上げランキング: 5,628

最後までお読みいただいてありがとうございます。お役に立ちそうな内容でしたら、是非いいねボタンなど押していただけると幸いです。またJazz Guitar Forumにこのアンプに関するスレッドがあるので、そちらでの情報交換も歓迎です。お気軽に遊びにいらして下さい。

FenderスケールときつめのR 弾きにくいけどそれがいい

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最初に弾いたエレクトリック・ギターは、弦長24 3/4インチ(628mm)・指板が12”Rに近いギブソン系のギターでした。そのため最初のギターが弦長25 1/2インチ(648mm)・指板が7.25”のフェンダー系のギターだった、という方には、この記事の内容は伝わりにくいかもしれません。

ミディアムスケールで指板が平たいギブソンのほうが、私には弾きやすいギターです。手も大きくありません。押さえにくいコードに遭遇するとショートスケールに憧れることもたまにあるほどです。いま持っているフェンダーやスクワイアのギターは、第1フレットだけ長さを測ってみても、ギブソンのそれより2mmほど幅が広いです。ギブソンよりも少し指を開く必要が出てきます。

FenderスケールときつめのR 弾きにくいけどそれがいい

指板のR(カーブ)にしても、フェンダー主流の7.25”Rはギブソンほど弦高を低くできないし、そもそも親指を出してコードを押さえるような弾き方はしないのでメリットがない。正直、弾きづらい。運指能力がやや落ちます。9.5”Rのギターも持っていて、これはだいぶマシなのですが、それでも私にとっては無意味に大きいカーブ。

だがそれがいい

でもそれが最近いい感じなんです。指板が広々としていて、開放感があります。ほんのちょっとの違いですが、感覚に与える影響は大きい。弦高も高めにはなるけれど、あらためて、しっかり押さえていい音を出すのが大事なんだ、と思わされるのです。何というか、感覚のリセット、「感覚の整体」のような効果があるように感じています。

最初、よそよそしい感じがするネックであり、指板です。でもずっと弾いていると、面白くなってくる。指の移動に少し負荷がかかるので、テクニック向上的にも良いです(フェンダーやスクワイアで数日弾いた後にギブソンを弾くと指が速く動くので驚きますw)。

ストラトやテレキャスターを使うようになってから、ミディアムスケールで12”Rのネックなどがあれば探して交換しようかなとも思ったのですが、するとそれはもう私にとっては意味がないギターかもしれない。それならギブソン系でいいかなと思ってしまう。だからその方向での改造はしないような気がします。

フェンダーのギターでもマスタングやジャガーなどはショートスケールです。また稀に指板が12”Rのものもあったりします。ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスターの大部分はフェンダースケール(=別名レギュラースケール、ロングスケール)。

最後にミディアム・スケール、12”R指板のギターしか弾いたことのない方に、一言書いておきましょう。

フェンダーは、いいぞ…(スクワイアもな…)

ところで今年1月のギター・マガジンの特集はメイド・イン・ジャパン・フェンダーで、これまた読み応えがあります。「ねごと」のギタリスト沙田瑞紀さんはフェンダーの魅力について「扱いづらいところですね(笑)」などと語っています。やはりそういうことかw

Kindle Unlimitedで無料で読めるので未読の方はぜひ。

ギター・マガジン 2018年1月号
リットーミュージック (2017-12-13)

過去にKindle Unlimitedを使ったことがない方は30日間無料体験できます。

心の3大ギタリストを選んでみると、自分のことがよくわかる

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つい最近こんな記事を書きました。ギター・マガジンで様々なギタリストが「心の新3大ギタリスト」を選ぶという特集をやっていて、その紹介です。

いま「来ている」のは誰なのか。ギター・マガジン10月号の特集「我が心の新3大ギタリスト」は必読の内容
ギター・マガジンの10月号が素晴らしい。「我が心の新3大ギタリスト」という特集記事があるのですが、「いろんなギタリストに好きなギタリスト3人...

すると嬉しいことにJazz Guitar Forumでも心の3大ギタリストという同じ趣旨のスレッドを立ててくださった方がいました。私もあなたも3大ギタリストを選んでみよう、という面白いご提案。私も早速、参加!

心の3大ギタリストを選んでみると、自分のことがよくわかる

これがですね、やってみるとすごくおもしろい!ものすごく悩むのです。どんな基準でもいいから、自分にとって重要なギタリストを3人だけ挙げてみる。すると、それ無理だよ、とまずなるのです。3人とか絶対無理。かといって「存命中の…」とか「ジャズに限って言えば…」という縛りを設けてみても、自分の場合は何かモヤモヤしたものが残ったのでした。どうやってもうまく選べない。

ジミー・ペイジを外すなんてありえるだろうか。あんなに大好きなパット・メセニーやジョン・スコフィールドは、3人の中に入らないのか。ウェスはどうなんだ。等々、あれこれ考えます。この過程で、自分は何が本当に好きなのか、自分にとって何が重要なのか、現在の自分が渇望しているものは何なのかということをあらためて考えることになりました。ほとんど練習のような感じです。

それは自分自身を定義しなおす作業でもあるのでしょう。とはいえ、自分を定義するということは、自分を縛ることではないと思っています。むしろ、そのスレッドで現在の自分にとっての3大ギタリストを選んでみたことによって、私は少しスッキリした気持ちになれました。その3人と自分の方向性の違いも同時にわかったからです。

そして他の方々が選ぶ3大ギタリストを見ていると、その3人に突然不思議な共通点が見えてきたりして、それがまた面白い。いつも投稿されている方のご回答などを見ると、なるほどわかる!と思ったりします。これ、本当に面白いので皆さんもお時間のある時に是非「心の3大ギタリスト」選んでみてください。飲み会で友達とそういう話をしてみるのも、面白いと思います。きっと一晩中話題が尽きないことでしょう。

ギター・マガジン 2018年10月号
リットーミュージック (2018-09-13)

ジョージ・ベンソンのサービスに満足しなかったロンドンのお客様たち

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今年の6月末、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのジョージ・ベンソンのギグにはこの伝説的なミュージシャンの音楽を体験しようとイギリス中から多くの観客がやって来ていたそうです。このためにロンドンのホテルをおさえた人もいた。特別な夜になるはずなので、ドレスアップしてきた人もいた。らしい。

しかし御年75歳のジョージ・ベンソンはこの日、喉の調子が悪かった。そこで彼はまず名曲”Breezin'”からはじめ、次いでインストゥルメンタルを2曲演奏した。そのあたりでスキャットも交えはじめた。そしてもう1曲インスト曲をやった後、氏は観客に「今日は声の調子が悪くてうまく歌えないんだ、もう数曲インストをやった後に再挑戦させてほしい」と伝えた。

That Great George Benson We All Love
Image source : georgebenson.com

何人かの聴衆がこれに対してブーイングした。ブーイングした客に対して怒鳴りつける客もいた。大多数の客は最後まで残ったが、数百人が会場を去った。らしい。そしてこの夜のショーは予定より早く切り上げられた(ソース:George Benson: When concert goers pay to see a singer who doesn’t sing)。

この悲しい出来事について、海外掲示板Redditである人が次のように語っています(Very sad situation at the George Benson gig in London last night)。

私は幸運にもジム・ホールのライブに行くことができました、しかも1回ではなく、3回です。亡くなる前の最後のライブも含めて。私は若く、2011年にNYCに引っ越したので、自分の演奏に影響を与えた人のライブはできるだけ観に行くようにしていたのです。

ジムは年を取っていました。彼は間違いなく、ピーク時の能力で演奏してはいませんでした。正直なところ、彼はパット・マルティーノ的な意味では、テクニック的に流暢では全くありませんでした。しかしそれでも、彼が演奏したもの全てに、本当に多くの意味が込められていました。彼は常に何か興味深くて特別なものを生み出そうとしていました。同じようなことを、私はサキソフォニストのリー・コニッツについても言えます。彼はまだ存命中ですが、ライブではうろうろして様子がおかしかったりします。でもものすごく面白い瞬間があるのです。

こうした人々のコンサート会場を後にする人々が、もっと演奏を聴きたかったとか、あれはひどい演奏だった、などと不満を述べているのを耳にすることがあります。これに対する私の回答は常に同じです。こういう時、人は彼らが人生で最高の演奏をするのを観に行くのではないのです。そうではなく、彼らがもたらした巨大な影響に対して敬意を払うために観に行くのです。こういうミュージシャンやジョージ・ベンソンのような人々に対してクレームを付けたり、ブーイングをするような人たちは、キンタマを蹴られるべきだと思います。

一連の記事を読んだ後の私の気持ちも、上の方と同じです。実際に6/26-27にロイヤル・アルバート・ホールにいたわけではないので、滅多なことは言えないのですが、ジョージ・ベンソンという人がその時その時のベストを尽くさない人だとは考えられません。どんなミュージシャンにも調子の悪い時はあるし、その中でも最善を尽くすのがプロ。そしてベンソン氏ほどエンターテイメントを理解しているジャズ・ミュージシャンもそうそういないはず。

海外掲示板の意見を眺めていると、この日の出来事については、大きく2つの意見が存在するようです。

1. どんなミュージシャンにもピークはある。波はある。年齢もある。しかしその時々での演奏を楽しむべきなのだ。歌わないジョージ・ベンソンに価値はない、だって?ジョージ・ベンソンのギターを1時間も聴けるなんて夢のようなことなのに、一体何を言っているんだ?

2. 高齢のミュージシャンは引き際を理解すべきだ。レジェンドのショーは利益を生む。プロモーターも放ってはおかない。しかし聴衆の期待を満たせないことがわかったら、ショーをやるべきではないのではないか。

皆さんはどう思われるでしょうか。ジョージ・ベンソンのチケットは、確かに日本でも安くはありません。でも私はギターを弾く人間ということもあり、たとえ彼が1曲も歌わなくても3万円を払っても全く惜しくない気持ちはあります。ベンソン氏を観られるなら、それでいい。ギターにしても、速いフレーズが聴けなくても構わない。いまベンソン氏を聴きに行くとしたら、私が興味があるのは彼の超絶技巧ではない。

ただベンソン氏自身がどう思っているのか、気になるところではあります。というのも彼自身がジャズ・ギタリストという狭い世界を超えた1流のエンターテイナーだからです。エンターテイナーとしての彼は、その夜の自分、観客の反応をどう思ったのか。

ちなみにロイヤル・アルバート・ホールはこの夜のジョージ・ベンソン公演について、希望者には返金する旨のメッセージを出していました。実際にどういうステージだったのかを観ないと何とも言えないところはあります。でも、どんなに高いチケットでも、どんなにひどい声だったしても、仮にギターもあまり指が動かなかったと仮定しても、ブーイングする気にはなれないし、お金返してとか言わない。考えられない。

そういう夜は、帰りにバーに寄って黙ってウイスキーを2〜3杯飲んで、帰って寝る。

ジョージの歌を聴きに来たのに、ジョージは歌わなかった。お金返して。か…

ジョージ・ベンソンのギターは、リリックのある歌にひけを取らない歌なんだよ!などと主張しても、クレームを付けた方々には理解してもらえないのかもしれない。

その2ヶ月後の8月、ジョージ・ベンソンはこんなふうに歌っていました。なんだ、まだお元気ではないですか!

動画の投稿者はこんなふうに自分でコメントしています。

これは人々がコンサート中に会話をすべきでないことを示すいい例です。私達はミュージシャンが歌うのを聴きに来ているのであって、あなたが歌うのを聴きに来たのではない。

思い出を、記憶を、かつてのあれを聴きにいく。自分が聴きたいものを、聴きにいく。そういう行為は、あってもいいのかもしれない。でも私にとってそれは、やっぱり違う。記憶の中のジョージ・ベンソンは、もうどうでもいい。ジョージ・ベンソンを観に行くとしたら、現在のジョージはどうなのか。それ以外に聴くべきものはない。

人っていうのはそういうもんじゃないかね。音楽家のライブに行くことは、サービスを享受しに行くことではない。思い出にひたりたいだけなら、期待していた欲求を満たしてもらいたいだけなら、何百回も読み聞かされた同じ絵本でも読み聞かせてもらえばいい。レジェンドのライブを観に行くということは、そういうことではない。

良い練習ができるようになるためにはそれなりの年月が必要である

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毎日一緒にいると対象の変化に気付きにくいことがあります。特に自分は自分自身と24時間一緒にいるので、客観的に観察するのが難しい。ひと月前より自分はギターがうまくなったか。半年前と比べたらどうだろう。一年前と比べたら。うーん、あまり変わってないかも…と思うことが多いのではないでしょうか。

これは今年の春、3/30に撮影した我が家のサボテンです。淡い緑色の新芽が出始めた頃です。

4/21撮影。上の新芽、ひと月も経たないうちに異様なひょろ長い姿に成長しました。ていうか伸びすぎだろ…たまにこんなふうに短期間で急激に伸びる時もあります。

今日あらためて観察したら、違法5階建て建築に成長していました。果たして彼は震度7の揺れに耐えられるのか…そして、これは良い成長なのか…いやそもそも、成長に良いも悪いもあるのだろうか…

1年前から様々な植物を育てていて、緑に囲まれて暮らしているのですが、植物に学ぶことは本当に多いです。特に成長すること、育てることについての学びが多い。音楽や楽器の練習は自分を育てることなので、共通点が多いのです。水や肥料をやりすぎてもいけないものもあれば、2日以上放置できないものもあります。同じ種の植物でも、個体ごとに個性があり、対応の仕方は気候によっても変わってきます。

これをやっとけばいい、というマニュアルは、ある程度はあるのですが、基本はやはり個体ごとの様子を観察し、環境に合わせて育てます。植物栽培の世界には「水やり3年」という言葉があるそうです。適切に水を与えるスキルが身につくまでにそれだけ長い時間がかかるという意味です。ということは、自分にとって効果的な練習法が身につくまで3年はかかる、とも言えるのではないか。

練習は、間違いなく必要なものですが、やみくもに練習しても効果はないでしょう。自分にはいまどんな練習が必要なのか、何が余分で何が足りていないのか。定期的に振り返って内容を修正していく必要があるはず。いい先生に習っている方なら、外側から何かアドバイスをもらえるはず。水をジャブジャブかけるだけの練習なら、あまり良くないと思います。

たまにインスタグラムに投稿しています。お暇な方、たまに覗いてみて下さい。

ジャズギタリストのピック選び スルーされがちなピックのことを真面目に考えてみる

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凄いステージを見てしまった後、ギタリストに「すみません、ピックは何を使っているんですか」などと聞くと「そんなことより音楽の質問をしてくれよ!」と返されそうですが、でも気になりますよね。誰がどんなピックを使っているかという情報は、調べてみると本人による正確な情報は決して多くありません。ピックなんて些細なものにこだわっていてはいけない、という思い込みが皆の頭にあるのではないか。

海外ジャズギタリストの使用機材をデータベース的に紹介しているサイトでも、ピックについては省略されることが珍しくありません。使用ギター、弦、アンプ、エフェクターについての情報が省略されることはまずない。ピックの情報がまったくないないことは、よくある。考えてみれば少しおかしいことであります。

というのも、前に下の記事でジャズギタリストの定番ピックとも言えるJIM DUNLOP JAZZ IIIについて書いたのですが、この中の「ULTEX JAZZ III 2.0と」いう製品はどうやってもスーパーブライトな音しか出ないので、例えばウォームでファットな音を出すためにGIBSON ES-175やL5を買った人がこのピックを使っていたら無意味なのです。

JIM DUNLOP JAZZ IIIとその仲間たち:速弾きと音色の悩ましい関係
ジャズ系ギタリストの定番ピック・JIM DUNLOP JAZZ IIIとその仲間たち。音色的な問題から私自身は現在別のピックをメインで使って...

新しいギターを買う時お店で試奏すると思いますが、その時アンプの上に置かれている「ご自由にお使い下さいピック」をなんとなく使ってしまう人は、まだギターを選ぶ準備が出来ていないか、相当な達人かのどちらか。手に取ったピックが仮にULTEX JAZZ III 2.0だとしたら、試奏するギターのことなんて何もわからない。試奏時はまず自分が愛用しているピックを使うべし。これに異論を唱える方はまずいないはず。

ピックを特徴付ける4つの要素

さて自分の好みのピックと出会うためには、実際に様々なタイプのものを買って試してみるしかないのですが、ピックを選ぶ際には大きく4つの要素を観察すると良い結果が得られるのではないかと思っています。それは、

  • 材質
  • 形状
  • 厚み
  • 大きさ

この4つ。この4つで「音色の傾向」(自分にとっていい音かどうか)と「演奏性」(弾きやすいかどうか)が決定されると思います。

材質には、べっ甲、ウルテックスやデルリン等のエンジニアリングプラスチック、金属、石、木、珍しいところでは骨など、様々あります。材質が違えば音も違ってきます。ただスタンダードなべっ甲や樹脂系素材のピックについては、素材よりも形状(シェイプ)が音質を左右する傾向が大きいと私は感じています。特に、ピックの先端、弦をはじく時に当てる部分の形状。下の写真の赤丸で囲った部分。

Jim Dunlop ULTEX JAZZ III 2.0, BlueChip Jazz60

ここが異様に尖っていたりすると、音は大体ブライトに、明るい音になる。それは、別に悪くはないけれども、もしウォームでメロウで太い「いわゆるジャズギター的な」サウンドが欲しい場合、こういうピックだと実現するのは難しい。それよりも先端が丸いもののほうが、ジャズギター的なサウンドは作りやすい。上で挙げたULTEX JAZZ III 2.0などは先端が尖りすぎているのでブライトな音なのです。

音質に大きく関わってくるのは、あとはピックの厚みでしょう。これも薄ければ薄いほど、線の細いブライトな音に近付きます。ただこれは一概に言えないところもあります。例えばパット・メセニーは20代のインタビューで「太い弦を薄いピックで鳴らすのがいいんだよ」などと語っていました。薄いピックでも弦が太ければ、太い音を出せるのかもしれない。ただし先端が尖りすぎていたら、やっぱり難しいでしょう。

パット・メセニーはティアドロップ形状のピックの丸い肩の部分で弾くことで有名です。現在はどのメーカーの何を使っているか不明ですが、ある時期はD’addario Delrin super lightというピックを使っていたという情報があります(0.8mm説あり)。メセニーが少年の頃、彼が住んでいた町では薄いピック1種類しか売っていなかったのでそれを使うしかなかったという話は有名です。

メセニーは以前タモリが司会のテレビ番組「音楽は世界だ」に出演したことがあり、その時の映像がYouTubeに残されています。5:23頃から、自分のピッキングスタイルはオススメしない、ヘヴィピックを正しく持ったほうがいいんだ、と語っています。

メセニーには「薄いピックに親指で力を加えてややベンドさせることにより硬さを与えている」という情報があります。薄いピックでもウォームで太い音を彼が出せているのは、ピックのラウンド部分で弾いていることに加え、柔らかいピックであっても強くホールドすることでピックに剛性を与えているからではないかと推測します。

次にピックの「大きさ」について考えてみます。大きいサイズのピック、小さいサイズのピック、様々あります。これは演奏性、弾きやすさに大きく関わってくるところだと思います。大きいピックはつまり質量が大きいので、撥弦時の抵抗は小さいピックのそれよりも大きいでしょう。つまり速く弾くのが難しくなる、ということです。

ピック先端の形状も「速く弾けるか」に大きい影響を与えますが(尖っていればいるほど弦との接触面積が少ないので抵抗も少ない)、音色にも大きい影響を与えてしまうピック先端の形状とは違い、ピック全体の「大きさ」は音色にはそれほど大きい影響は与えないと私は感じています。

ここまでをまとめると、

ウォームでファットなトーンを得るためには、まずピック先端の形状が極端に尖っていてはいけない。そして厚みがあったほうが良い。さらに速度のあるピッキングを求めるのであれば、ピック全体のサイズは小さいほうが良い。

ということが言えると思います。

では、これらの条件を満たすピックは、果たして存在するのでしょうか?

D’Andrea Pro Plec Teardrop 1.5mm

ダンドレアというメーカーに、 Pro Plec Teardrop 1.5mmというピックがあります。これを使っているジャズ系ギタリストには、ベン・モンダー、ジョナサン・クライスバーグらがいます。このピックの愛用者は多く、日本でも超絶技巧系のジャズギタリストが愛用されていると聞きます。これは音色が素晴らしいので、私も愛用しています。こういうピックです。

D’Andrea Pro Plec Teardrop 1.5mm

1.5mmと、まずまずの厚み。これ以上厚いと抵抗が増大します。そして先端の形状はいい感じに丸まっています。では、大きさはどうでしょう。普通のティアドロップ形状です。しかし…このピック、私には少し大きすぎます。このままではあまり速くひけません。そしてジョナサン・クライスバーグも同じように感じたのか、彼はこのPro Plec 1.5mmの上側1/4を切り落としているようなのです。下の写真を見てみましょう。

Johnathan Kreisberg's pick

D’Andrea Pro Plec Teardrop 1.5mmというピックは、気持ちが良い音がする。でもちょっと大きくて弾きにくい。なら、カットしてサイズダウンするのはどうだろう? という発想は、論理的な帰結でしょう。クライスバーグの上の写真を見た時、驚きました。というのも私がここ数年メインで愛用しているこのピックも、気がつけば自分でサイズダウンしていたからです。上の部分をハサミで切ってヤスリで削っています。

D’Andrea Pro Plec Teardrop 1.5mm

ちなみにジョー・パスもピックを切り落して使っていたという情報があります。彼はフェンダーのミディアム・ピックだったらしいのですが、半分にカットしていたそうです。やはり小さいほうが演奏性は良いとは思います。小さすぎてもホールドが安定しなかったりしますが。あとは慣れもあるんでしょうか。ダンドレア・プロプレックを無加工で使って速く弾ける方もいます。

自分でピックを加工する人は少なくないようですね。ケニー・バレルもそうだと聞いています。

BlueChipというソリューション

ところでピックの先端がシャープになれば抵抗が減るので、速弾きしやすいということは上でも書きました。問題は音色がブライトになりすぎること。このジレンマを解決しているのが、個人的にBlueChip Jazzだと思います。1枚$35もするこのプレミアムピックについては過去に記事を書いています。

1枚の高級ピック・BlueChip Jazz60を使ってみた(1)
久々に機材レビュー系の記事です。高額なこととジュリアン・ラージの愛用で有名なBlueChip Picksをしばらく使ってみたので印象を書いて...
1枚の高級ピック・BlueChip Jazz60を使ってみた(2)
先日記事を書いた1枚の高級ピック・BlueChip Jazz60ですが、その後使い続けているうちに印象が変わってきました。このピック、...

私が使っているBlueChip Jazz 60は、弾きやすさと音色のバランスが良く取れていると感じます。ダンドレアよりはブライトなのですが耳障りではなく、ギターのトーンコントロールで丸められる程度のものです(ULTEX JAZZ III 2.0は何故か何をやってもどうにもならない…)。サイズもいい感じ。

ジュリアン・ラージはアコギではBlueChip TP50というピックを使い、エレクトリックでもそのピックと、もっと薄い同社のピックを使うこともあるそうです。

ジャズギタリストたちが選ぶ諸々のピックたち

ピックといえば面白いのがラーゲ・ルンド。何が面白いかというと、彼は特定のピックに縛られないようにしているらしいです。メインではCool PicksというメーカーのJuratex Jazzというモデルを使っているらしいのですが、しょっちゅうピックを換えるんだそうです。何故だろう。そうすることによってテクニックを見直したり、新しいアイディアが得られるのかな。これは示唆的です。早速真似しよっと。

技巧的にすごいギタリストを見渡してみると、どうでしょう。ビレリ・ラグレーンはJim Dunlop Delrin 500 1.14mm、または1.5mmの丸いほうで弾いているという説があります。これはツルツルした素材で、滑りがいいです。

そうそう、摩擦抵抗は素材によっても違ってきます。ULTEX素材は、ウォームでいい音がするのですが、若干ザラッとした抵抗を感じることがあります。私の場合ですが。透明なULTEX Jazz IIIは、音はすごくいいんですが、少しだけ引っかかりを感じます。

ピッキングが凄い人といえば、後はジョン・マクラフリン。彼はDunlop Jazz III。パット・マルティーノ。彼は石を使っていたという話があります。でも、どんな石だったんだろう?検索しても出てこなかったんですが、とりあえず弦離れの良いツルツルしたものだったのではないかと想像しています。ただマルティーノ氏は近年、デルリン素材の1.5mmのものを使っているという話もあります。

ジョージ・ベンソンはフェンダーの標準的ティアドロップのミディアムを使用。tortexの0.7-0.8mmを使っているという説を目にしました。本当だとすれば、わりと薄めですよね。ピックについてはいろいろ調べても、本人が「僕はこれを使っているよ」と明言している情報が少なく、伝聞だったりすることが多いので、この記事も話半分でお願いします。

ギラッド・ヘクセルマンはStrum-N-Comfort Picking Systemsという聞き慣れないメーカーのシグネイチャーピックを使用しているそうです。ただ、今は売っていないらしく、このピックの詳細スペックは不明。

ジョン・スコフィールドはむかし1mmのピックを使用していたそうです。2010年代に入ってからはDunlop Delrin 2mmを使用しているとの説があります。なるほど、もしかすると厚いピックはテレキャスターと相性が良かったりするのかな?

カート・ローゼンウィンケルはJim Dunlop Jazztone 207を使っているそうです。ただ彼もしょっちゅう機材を変えるので、現在はどうなんだろう。渋谷ウォーキンがカートの来日公演でWestvilleブランドのピックをプレゼントしてくれましたが、形状は違います。ただ、重ねてみると面積はかなり近いです。先端は207のほうが丸い。厚みは、同じくらいかな。

Jim Dunlop Jazztone 207 and Westville pick

最後に一言

ピック選びはとても大事である、ということをお伝えするために、最後に一言、頭を捻って書いてみます。

いいピックに巡りあえたなら、2万円のスクワイアー・ソリッドでも最高にいい音を出せる。まだいいピックに巡りあえていないなら、100万円のGibson L-5を買っても何の意味もない。

どうでしょう。いろんなピックを買いまくっても、合計5000円とか、せいぜい1万円です。自分の求める音色が出ないからといってあれこれとギターを買い換えるよりも、まずピックを試行錯誤してみるのが個人的にはオススメです。まぁ、ギターで100万円使ってはじめて心底わかる話なのかもしれないですが…

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レッド・ツェッペリン「天国への階段」裁判 盗用という言葉は適切か

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レッド・ツェッペリンの名曲「天国への階段」のイントロが「スピリット」というバンドの「Taurus」という曲からの盗用であるとして北米で裁判が起こされたのは2016年。当時ロサンゼルス連邦地裁はこれは盗用には当たらないという判決を下したのですが、つい先日サンフランシスコ連邦高裁がこの判決を破棄し、審理を地裁に差し戻しました(Led Zeppelin to face new Stairway to Heaven trial)。

スピリットというバンドの「Taurus」は、こんな曲です。0:44からはじまるギターのアルペジオ、最初の4小節の部分が「盗用元」ではないかということでモメているようです。AmでベースラインがA→Ab→G→Gb→Dと下る箇所。確かに「天国への階段」に似た発想で、雰囲気も何となく似ています。

ジャズの世界でこの手法は「クリシェ」と呼ばれていて、有名どころでは”My Funny Valentine”のAメロのベースライン。内声が半音で上がったり下がったりする「クリシェ」もあり、スタンダード曲だと”I’ll Remember April”の4〜8小節目もその1種と言えるでしょう。ロックの世界ではビートルズの”Michelle”もクリシェを使っていることで有名。

「天国への階段」は1971年の録音。レッド・ツェッペリンは1969年にスピリットと同じ野外フェスで共演しており、その存在は認知していた模様。ポール・マッカートニー作曲の「ミッシェル」は1965年録音。

コード進行に著作権は存在するか

ところで特定のコード進行に著作権は発生するのでしょうか。基本的には著作権は発生しないと言われています。ジャズのスタンダード曲では同じようなコード進行の曲がたくさんあります。というか、先人へのオマージュとして「有名な誰それの曲のコード進行をそのまま使い、その上にメロディをのせる」という愛のあるイタズラ的な作曲も多数あります。

例:レニー・トリスターノの”327 East 32nd Street”はジョニー・グリーンの”Out of Nowhere”と、ジョン・スコフィールドの”Not You Again”はハリー・ウォーレンの”There Will Never Be Another You”と同じコード進行。ガーシュウィンの”I Got Rhythm”は以下略

ただしコード進行があまりにも独創的な場合は、著作権が発生するケースもあると聞いたことはあります。しかし「天国への階段」のあのクリシェの4小節のコード進行が「Taurus」の上で挙げた4小節のそれに酷似している、というだけなら、原告側が裁判に勝てる可能性は低いのではないかと個人的には思います。

YouTubeでの議論を読んでいると、この裁判については「コード進行に著作権はあるか」というテーマに焦点が当てられることが多いようですが、コード進行だけで判断するなら特殊なものではなく、何の問題もないはず。すると争点はコード進行に加え、アルペジオの順番とか全体的な「雰囲気」の酷似になってくると思うのですが、これは裁判で争いにくいでしょう。やはり原告側の勝機は少ないように見えます。

影響はあったんだろうと思う。でも盗用という言葉は適切なのか

そもそも「盗用かどうか」という聞き方に、少し無理があるような気がします。というのも1960〜70年当時のロックの世界では、今で言う「パクること」と「影響を受けて何かを作ること」の境界線が今よりもずっとグレーだったんじゃないか。勿論あからさまな、確信犯的なパクリでオリジナルに対してレスペクトも感じられないようなものは、現代と同じですぐにわかったとしても。

ツェッペリン大ファンの私が「天国への階段」と「Taurus」の関係をどう思うかというと、ジミー・ペイジとロバート・プラントは「Taurus」をかなり聴いたんだろうと推測します。最初の4小節以外にも、1:34〜と2:28〜の「ジャジャジャーン」というAのコードストロークの特徴的なリズムは、「天国への階段」のギターソロに入る前のブリッジ部分に相当似ているように感じます(D add9 susの「ジャジャジャーン」!)

レッド・ツェッペリン「天国への階段」をめぐる裁判 盗用という言葉は適切か

0:19〜のAmペンタっぽいフレーズもジミー・ペイジのソロと雰囲気が何か似ている。「雰囲気」やちょっとした細部を見ると、個人的には影響関係は確実にあったんじゃないかな、というのが正直な感想。ツェッペリンはカバー曲も多い。ブルースは勿論、”Dazed and Confused”はJake Holmesというアメリカのシンガーソングライターによる曲のリワークとしてクレジットされています。

恐らく「天国への階段」も「幻惑されて」のように”Inspired by…”というクレジットがあれば係争も起きなかったのかもしれませんが、そのクレジットがどうしても必要なほどの類似性や、オリジナルへの依存度があるかというと、そこまではないかな、というのが私の感想です。

しかし、なんともモヤモヤする感じの裁判です。著作権は守られなければならないし、盗用とかパクリといったことは擁護できないですが、どうもスッキリしない内容。最近では「カメラを止めるな!」という映画でも原作者に許諾のない脚本のアダプトが話題になりました。結局お金が絡むというこういう話になってしまうのかな。

「天国への階段」という曲の価値は私の中では何があっても変わらないし、「Taurus」という曲がなければこの曲が生まれなかったとするなら、それにも感謝したい。でもこの裁判は、何か違うな、と思います。ジミー・ペイジとロバート・プラント、ちょっと気の毒。

 

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Fender Mustang GT40 後日談 Bluetoothにやや難あり

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最近愛用しているネットワーク対応型新時代アンプ、Fender Mustang GT40。導入までの経緯は下の2つの記事で書いたのでご興味のある方は是非ご一読下さい。

スマホから逃げようとしても無駄だ。もう諦めろ!Fender Mustang GT 40
練習前にスマホをマナーモードにするじゃないですか。電源を切ってしまえば、さらにいい。電源を切った上で引き出しの中に隠してしまえば、もっといい...
Fender Mustang GT40 スマホ前提の新時代ギターアンプを徹底解説
Fender Mustang GT40というアンプを使いはじめました。Bluetooth接続でほぼ全ての機能をスマホから操作可能な新時代のギ...

さてこのアンプ、全体的な満足度の高さは変わりません。音はすごく良いし、楽しい!楽しいから練習時間も伸びる!でもBluetooth接続にちょっと問題があるように感じ始めました。

Fender Mustang GT40

スマホアプリとアンプのBluetooth接続が失敗することは、あまりありません。90%以上くらいの確率で問題なく接続可能。アプリを起動してアンプとの接続が確立すると、iRealやiTunesやmimiCopyやYouTubeといったスマホ内アプリの音も、自動的にアンプから流れてきます。

でも、たまに出てこない時があるんです。これは練習中だと精神衛生上良くありません。集中が途切れる。

スマホアプリのFender Toneとの通信自体は問題なく、アンプの様々な操作ができても、例えばmimiCopyからの音が出てこないような時があります。そこでスマホのBluetoothを切ったり、再度BluetoothをONにして、今度はアプリを無視して直接”Mustang GT”というデバイスとのペアリングを試みたりしました。

するとスマホにもアンプにもペアリングコードが表示されたりするのですが、これを承認してもスマホ内音源はMustang GTから出てきてくれません。むむむ…

アンプからスマホの音が出てこない時の解決策

様々なパターンを試してみてわかったことがあります。これをやればOK、という確実な解決策は、アンプの電源を落としてもう一度ONにすること。アンプの電源を再投入した後に、スマホのFender Toneを起動してアンプと同期させます。するとスマホ内アプリの音源もアンプに飛んでくれるようになりました。困ったらアンプ側の再起動。これです。原始的ですが確実。起動まで数秒かかるのがあれですが…(パソコンか)

Mustang GT40とのBluetooth接続には他の問題も

これでiRealやmimiCopyをアンプに飛ばせるようになりました。しかし最近mimiCopyでフレーズの採譜をしている時、別の問題に気付いてしまいました。フレーズのコピーは一時停止・巻き戻し・再生を繰り返します。しかしそれをやると、アンプから再生されるまですごいタイムラグが発生するのです。1秒とか2秒くらい。これではちょっと使い物になりません。

スマホのBluetooth設定を眺めてみても通信がうまく行っていない時はMustang GT40が2つ表示されていたりするので、どうも設計がうまく行っていない感じ。ただファームウェアのアップデートで解決できそうな問題だと思うので、今後に期待したいところ。とりあえずBluetooth以外の機能は大満足なので、これがあるからといって使うのをやめようとまでは思いません。

その点、Blackstar FLY 3のBluetoothは優秀なのであった

以前Blackstar FLY 3 Bluetoothというミニアンプについての記事を書きました。これはクリーンがすごいきれいな小型アンプで、Bluetooth経由でスマホの音源も鳴らせるアンプです。是非後で読んでいたければ幸いです。

Blackstar FLY 3 Bluetoothは軽量かつ高音質。ミニアンプ界の優等生だ!
Blackstar FLY 3 Bluetoothを入手しました。最近ミニアンプにハマっておりまして、この記事で紹介したDanelectro...

このアンプは今でも気に入っていて、たまに使います。これのすごくいいところは、Bluetoothの接続が完璧なところです。アンプ本体に、Bluetooth用のハードウェア・ボタンがあるのです。ただのプラスティックのボタンなのですが、こいつがすごい。押すと「プポポポッ、ピー♪」というチャイム音が鳴り、それだけでスマホとの通信が完了します。

Blackstar FLY 3 Bluetooth

成功率100%。繋がらなかったことがない。最初だけペアリングしたかな。以後は、全く何もやっていません。アンプのBluetoothボタンを押すだけ。それで完了。しかもmimiCopyのようなスマホアプリで一時停止・再生を繰り返しても、遅延は一切ありません。Fender Toneだと、たぶん一時停止する度にセッションが切れちゃって、再生時にまた張り直しているんじゃないのかな。

Blackstar FLY 3 Bluetoothはスマホアプリで本体をどうこうするわけではないのですが、その分シンプルなのか、通信はド安定。Mustang GT40もこれくらい通信が安定してくれたらいいなと思います。

でもかなりいいアンプです、Mustang GT40。現在は自宅でのメインアンプに昇格。とにかく楽しい。

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Blackstar Fly 3 Bluetoothも、コンセプトは全く違うけれどこれもすごくいいアンプ。普段の練習場所とは違うスペースに置いてあって、サクッとギター挿して使います。クリーントーンだけなら満足の行くいい音が出ます。

Blackstar コンパクト・ギターアンプ FLY 3 Bluetooth
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トランスクライブするだけならFly 3 Bluetooth、いいと思います。小さくて場所も取らず電池駆動も可能なので、採譜専用アンプにしても良いと思います。

お店によってピックを使い分けるという発想

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ジャズギターフォーラムの「愛用中のピックを教えてください」というスレッドがかなり盛り上がっていて、有益情報が続々と寄せられているのですが、中に岡安芳明さんのシグネイチャー・ピックを使われている方がおられました。

あの芳醇なフルアコの音はどんなピックから出ているんだろうと思い、詳細を調べてみたところ、DaikingCorporationさんのブログで紹介があり、岡安氏はお店によって0.8mm, 1.0mm, 1.2mmのピックを使い分けているのだそうです。

どのように使い分けられているかはリンク先をお読みいただくとして、なるほどこの発想はなかった!と膝を打ちました。

お店によって、あるいはその日使うギターやアンプによって、明らかに音の抜けが悪いと感じることがあります。そんな時はギター側のトーンを全開にしたり、アンプのトレブルとミドルを少し上げたり、ピックアップをミドルにしたり、お店のことを知っていればあらかじめソリッドで行くといったことをやるのですが、ピックを交換するという発想はなかった… 今度試してみよう。

岡安氏のシグネイチャー・ピック、東京の「渋谷ヒカリエ」という超モダンなビルの隣の小さい怪しいビルの中にある「ウォーキン」というお店で売っていますが、遠方の方はamazonからも買えます(ウォーキンさんにも通販ページはありますが、このピックはなかった…)。素材はポリアセタールとのことですが、調べてみたところ「デルリン」と呼ばれているものと同じ素材で、耐摩耗性が高いようです。

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岡安芳明氏のアルバムで私が近年よく聴いたのは”Azure”と”Beautiful Friendship”。前者はCDで買いましたが、現在は在庫切れ。後者はAmazon Music Unlimitedに入っている方ならストリーミングで聴くことができます。没入できる、瞑想的なトーンです。”Azure”はECMかと思うほどの抑制的な美しさでした。未体験の方は是非聴いてみて下さい。

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出川哲朗ジャズギター教室

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ぼくは出川哲朗ジャズギター教室の門戸を叩いた。早速、ぼくは聞いた。

出川先生、ジャズギターってどうやって弾くんですか?

ジャズギター ベリーベリーテイクタイム

メセニー ゴッド マルティノ スパゲッティ

ノーシンキング ジャストプレイ

プレイプレイ ノーストップ シーツオブサウンド

アイアム プレイ エタニティ アイ ノー トレーニング ジャストドゥーイット ナイキナイキ

シーメジャー エーマイナー セームセーム マイナーコンバージョン 

メニーコード メニーメニーコード ノーシンク ムシ プレイ イッパツ アンダスタン? 

ペンタグッド ペンタゴッド

トラブル ペンタ ブレイン ホワイトホワイト ペンタ グッドグッド

オールウェイズペンタ ノーモアミステイク

プレイペンタ シーツオブサウンド

ピープル ワオ ドリンクドリンク!

モアドリンク モアペンタ 

ノーシンク ノーリスン

ノートレーニング ノーノー

ノースタディー ノーノー セオリー ノー

シンク インポッシブル シンク ユー ロスト ブレイン ホワイト フリーズフリーズ

メロディメロディ ダンスダンス レボリューション

アドリブ シークレット ノーティーチング

メニーメニータイム

メニー メニー メニータイム

プレイプレイ プレイ トゥデイ プレイ トゥモロー プレイ

ライフ エンド ユーアー デッド

イエスユーキャン エブリワン イズ ジャズギター

 

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Jazz Guitar Magazineというジャズギターの新雑誌が刊行

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リットーミュージックから「Jazz Guitar Magazine」というジャズギターの新しい雑誌が刊行されるようです。噂は耳にしていたのですが、Jazz Guitar Forumでもう出るよーと教えていただきました。11/19発売で予約受付中です。

jazzguitarmagazine

ギター・マガジンのムックという位置付けのようです。連載は小沼ようすけ氏、宇田大志氏、そして小川隆夫氏による「ギタリスト死亡診断書ファイル」なる面白いタイトルの連載が。この号はヴィンテージ・ギブソンとビバップが大きいテーマらしく、最初はジャズギターの起源を考察しよう、という趣旨でしょうか。高免信喜さんや松原慶史さんら日本人ギタリストへのインタビューも収録。

名手の影に銘器あり 第1回「ジャズマスター」、という連載も気になります。何か来てますねジャズマスター。

以前シンコーミュージックから「Jazz Guitar Book」という素晴らしいムックシリーズが数十冊出ていて、たぶん世界的にも類を見ないほど充実した内容を誇っていましたが、あれは終わってしまったのかどうか気になるところではあります。ともあれ、この「Jazz Guitar Magazine」にも期待したいですね。

Jazz Guitar Magazine Vol.1
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ギター・マガジン編集部
リットーミュージック
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出川哲朗ジャズギター教室(2) アナライズ編

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ぼくはいま、出川哲朗ジャズギター教室にいる。体験レッスンをお願いしに、やってきたのだ。早速、わからなかったことを聞いてみる。

出川先生、採譜したジョンスコのフレーズなんですけど、これはBb7上でコンディミから派生するEのトライアドを弾いていて、テンション的にはb9, #11, #9, b13という理解でいいんでしょうか?

John Scofield phrase

ノー テンション ノー
シンプルシンプル フォゲット

先生、ごまかさないで教えてください!

ノー ユー ノー アンダスタンド
ディス リアリー シンプル

ルック

dominant 7th #9

ディスイズ ジミヘン
ジョンスコ ジャスト ルック ディス
ヒー プレイ ブルース ブルース オンリー
テンション マックス バット ブルース 

そうか、ぼくは物事を難しく考えすぎているのかもしれない。確かに出川先生の言うとおり、ジョンスコのこのフレーズはジミヘンコードときれいに重なっている。たとえ華麗なトライアドが混ぜこまれていても、ジョンスコはブルースの心を忘れていない、そう出川先生は言っているに違いない。

次にぼくは、前からよくわからなかったジョン・コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」のコード進行について、質問してみた。

ジャイステ アー
ノー
レッツプレイ ブルース

ダメです先生、ジャイアントステップスのコード進行を解説してください!

ジャイアントステップス
ベリーベリーハード 
ベリーファスト 
チェンジ キー スリータイム 
オクターブ カットカットカット スリータイム ローン サンカイバライ 
チェンジ キー ダウン ダウン 
チェンジ キー アップ アップ
ツーファイブ イェス
ノー ベリーハード 
メニー メニー コード
ハート ストップ
ブレイン ホワイトアウト
ユー ダイ
レッツプレイ ブルース

耳から取り入れる情報が気持ちいい

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Audibleという「耳で聴く本」がお試し無料キャンペーンをやっていて早速試しているのですが、これが面白い。だいぶ前に「ラジオが脳に良い感じ」という下の記事で、視覚ではなく聴覚から情報を得ることの不思議な脳トレ効果について書いたのですが、Audibleにも同様の効果を感じます。

ラジオが脳に良い感じ
最近思うところがあり、ミック・グッドリックやトモ藤田さんが推奨されているカセットテープ・レコーダーを使った練習をしています。その詳細は別の記...

視覚に頼る局面が増えすぎていて、脳が退化してきていないか心配になることがあります。視覚経由での情報入手は早くて便利なところもあるのですが、パソコンやスマホのスクリーンばかり見ていると疲れるし、情報吸収の質も実は落ちているんじゃないか。このままだとバカになっちゃうんじゃないか、という気もしていたのでこの「耳で聴く本」には前から興味がありました。

1冊無料でもらえたので、今回は以前から話題のホリエモン著「多動力」を 読む 聴くことに。この本、音楽業界や創作活動について考えさせられるところもあり、オススメです。堀江氏の主張には同意できない部分もあるのですが、これからの時代を生きていくにあたって必要な、納得できるいい話もたくさんあります。

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「多動力」の感想は後日別の記事で書くとして、「耳からの情報摂取」に興味がある方はAudible、面白い感覚なので試してみてはどうでしょう。下の3ステップで簡単にはじめられます。30日間無料です。

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普段使っていない脳が活性化する感じで、疲れるどころか脳がリフレッシュする感覚があります。音楽関連の読みもの(聴きもの?)はまだあまりないみたいですが、小説は勿論ビジネス書や語学講座などは相当充実しています。そのうちお笑いとか落語も聞いてみようかな。

ホリエモンはジャズギターを弾けるようにはならないが、それでいいのである

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ホリエモンこと堀江貴文氏のベストセラー「多動力」というビジネス本をAudibleというオーディオブックで聴いたのですが、これはやはり面白い。これからの10年20年を生き抜いていくために人はどのように仕事するのが望ましいのか、そのためのヒントが満載なのですが、聴いていて私がまず感じたのは、ホリエモンはジャズギターを弾けるようにはならないだろう、ということです。

たとえば、寿司職人が何年も修行を積むのはバカだ、と彼は言います。1人前の寿司職人になるのに10年もかかるのは馬鹿げている。時間の無駄だ。寿司作りに必要な技術や情報は既に門外不出のものではなく、オープン化されている。専門学校に行ってちゃちゃっと基礎を学んだら、あとは自分のセンスで面白い寿司作りをすればいい。

またゴルフで平均スコア80を1年で出せるようになっても、それを平均72まで持っていくにはあと10年かかる。そしてそのレベルになれたとしても、プロになれるとは限らない。堀江氏は飽きっぽいので、80出せるようになったらやめてしまって、次々と他のことに手を出していくタイプのようです。

ホリエモンは興味を持ったものにはどっぷりハマり、何でも80点の成績を出せるくらいまでは追求する。しかしそこから100点に至るためには膨大なコストと時間がかかるため、彼はそこでやめる。他のことをやる。それに飽きたらまた他のことをやる。そのようにして「80点前後を取れる専門家」としての肩書を次々増やしていき、その肩書のシナジー(相乗効果)によって自らの存在価値を高める。

ここで例えばジャズギターのことを考えてみると、堀江氏が言う寿司職人やゴルフの話と少し通じるものがあります。ジャズの場合、お客さんからお金を取れるくらいのクオリティの即興演奏ができるようになるまで、つまり80点を出すためには1年ではとても無理で、そこまで行くだけで10年かかるのも珍しくないでしょう。

超天才で3年、様々なものを犠牲にして頑張った人で6年、地道にべストを尽くしてきた人で10年。それくらいかかるんじゃないか。それに、練習方法を間違えていたら20年経っても80点さえ取れるようにならない。それくらいコストも時間もかかる世界です。

さらにジャズの世界でも80点と100点のあいだには巨大な壁があります。便宜的にジョン・スコフィールドの演奏を100点だとしましょう。彼の演奏を成立させている和声理論やアプローチは、知的に理解するだけなら1年で済むかもしれない。そして10年くらい練習すればジョンスコを彷彿とさせる80点の演奏ができるようになるかもない。でも彼と同レベルのグルーヴに至るためには残りの人生全てが必要かもしれない。

だからもしホリエモンがジャズの即興演奏に興味を持って練習をはじめた場合、勘のいい人だからすぐにバリバリ弾けるようになるかもしれない。ビバップ的なフレーズってこういうのだろ、と2年くらいで相当弾けるようになるのかもしれない。そして、多分彼はそこでやめる。頭のいい人だから、その段階からジョンスコ界に至るまであと20年必要、とかすぐ察するはず。

でも、それでいいのでしょう。それでも音楽の追求を続けている私達は、費用対効果でこれをやっているのではない。音楽をはじめとする表現行為の追求は、ビジネス的な論理とは無縁の、「情熱」という不合理な論理において行われているのですから。

しかしだからといって、堀江氏が「多動力」で語っている内容は音楽愛好家や職業ミュージシャンにとって無用・無縁なものであるかというと、そうとも言えないところも多々あるのが、面白い。これはジャズ・コミュニティーに属する人々も一度考えてみたほうがいい問題ではないか、というテーマが結構あるのです。

例えば、肩書の話。ダイアモンドに価値があるのは、美しいからではなく珍しいからだ、と堀江氏は言います。様々な肩書を持ち、様々な方面で知見を積んできた堀江氏という存在は珍しいカードであり、そこに需要が発生する。株式市場と刑務所の両方のことをかなり知っている人間はそうそういない、という話。

この話を聴いた時、ああ、ジャズの世界にもこういう人がいる、と思いました。グラスパーだ、と。ロバート・グラスパーは伝統的なジャズピアノもうまい。うまいどころか最高水準のピアノを弾く。でも彼は自分をジャズピアニストです、と自己紹介することはないだろうし、実際ヒップホップをはじめとする様々なジャンルのミュージシャンとクロスオーバーな活動をしているあたり、堀江氏とダブります。

勿論誰もがグラスパーのような音楽活動をできるわけではないし、する必要もないのかもしれませんが、ジャズに学んだ人でこれから新しい音楽を作っていこうと考えている方にはヒントになるような話が多いと思います。

例えばビバップだけ一生やっていていいのか。ビバップが大好きで一生かけてそれをやっていくと決めた人なら、それでいいかもしれない。でも80点までできるようになったら、他の音楽に関心を移してみると、いろんなシナジーが生まれたりしないか。簡単な例でいうと、そういう話です。メアリー・ハルヴァーソンがLINE6 DL4を使うようになったのは、「なんか飽きちゃったから」だそうです。そういう話。

堀江氏の「多動力」はAudibleのお試し登録で無料で聴くことができます。是非一度読んでみてください。

多動力
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Audible Studios/幻冬舎
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ヨドバシカメラの歌をジャズ化する

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いまぼくはヨドバシカメラの楽器コーナーにいる。電子ピアノの上にはあの有名な「ヨドバシカメラの歌」の譜面が置かれてある。ピアノの試奏時にまでこの歌を弾かせることによりヨドバシカメラのことを忘れさせまいとする、巧妙なマーケティング手法だ。油断ならない。

ヨドバシカメラの歌をジャズ化する

オリジナルはこういう曲らしい。リパブリック讃歌(The Battle Hymn of the Republic)というアメリカの軍歌である。

「ヨドバシカメラの歌」の譜面を眺めていたらジャズ化したくなった。まずは6小節目をマイナーツーファイブ化する。古き良きジャズ。D7はsus(b9)である。この陽気な曲に、暗い影を持ち込むことに成功した。

ヨドバシカメラの歌をジャズ化する

その時だった。

ぼくの隣で、誰かがこのメロディを弾きはじめた。

だが…妙な感じだ。メロディが、どこかおかしいのだ。

ヨドバシカメラの歌をジャズ化する

メジャーコードにb3が混じっている。半音下のメジャートライアド。これは…Lydian#2!

ぼくは隣を振り向いた。するとそこには、天井を見ながらピアノを弾く、少しぽっちゃりした白人中年男性の姿があった。

Lage Lund

Image: lagelund.com

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