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全てを知る必要がある。そして考えずに使えないといけない - Pat Metheny

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1981年のGuitar Player誌のインタビューによると(当時パットは28歳)、パット・メセニーは18歳頃フロリダ大学で教えるようになるまで理論的な用語をほとんど知らなかったそうです。例えば「ディミニッシュ・スケール」という用語は知らず、「半音・全音スケール」として覚えていたとのこと。

また「II-V-I」というコード進行があるという話は聞いていたものの、それが何を意味するかは知らなかった。でもそれが入っている曲はすでに演奏していた。名称は、後になって覚えたのだそうです。

Pat Metheny

Image source : Pat Metheny Facebook

そのメセニー氏、同インタビューの中で「演奏中に何を考えているか」と聞かれて興味深い回答をしています(興味深いというか、またしても耳が痛い話ではあるのですが)。

Q: ギターソロの最中は何を考えているのですか?

A: どんなアイディアを使うかとか、そういうことは演奏中には考えない。音楽を演奏できている自分は何てラッキーなんだろうとは考える。どんなことでも考える、自分の演奏以外のことなら。

Q: いま構築しつつあるソロのことは考えないのですか?

A: 無意識的には、それは全部発生している。うん、そういう感じのことは確かに考えてはいると思う、でもそれは分析的なプロセスじゃないんだ。もし素晴らしいソロを構築しようとするなら、僕の内なる職人はそれをやれるけれど、インプロヴァイザーとしてそれは僕が最もやりたくないことだ。僕はただそれが生まれてほしいんだ(I just want it to be)。それが発生してほしいんだ(I want it to happen)。

Q: ソロが、多かれ少なかれ、それ自身を構築していくという…

A: まさにその通りだよ。僕はいま、プレイヤーとしての自分のエネルギーのほとんど全てを、自分の思考を放棄(let go)できるような地点に到達するために費やしている、それはインプロヴァイザーである上で最も難しい部分なんだ、放棄する(なるがままに任せる)プロセスが。「小指をここに置いて、あとこれとこれを…」みたいなことを言うよりも、そう言うほうがずっと適切だと思う。

Q: あるソロのことを振り返って、自分がやっていることを理論的に分析することはできますか?

A: いつも誰かが僕にこんなふうに言うのがヘンだなと思っていた。「あなたはどんなモードを使っているんですか?」とか「何スケールを使っていますか」とか。僕にとってそれは「どんな動詞を使っていますか」と聞かれるのと同じことなんだ。

大切なのは音楽を演奏するということだ。もし君が良いミュージシャンだと仮定するなら、音楽の文法を学ぶために君は多大な時間を費やしてきた。そして音楽の文法には、(モードやスケールのような)こういうもの全てが含まれる。いくつかのモードだけを知っている、いくつかのスケールだけを知っている、ということはありえないんだ。それらは全て知っていないといけないし、次から次へと考えることなく使えないといけないんだ、瞬きさえすることなく。

インプロヴァイザーとして大成した多くのプレイヤーと同様に、僕はこれらのモード全てを理解しているし、即興の全ての技術的な詳細を完全に理解している、そして完全に理解してから数年が経った。それは奇跡的なことだとか、何か特別なことだとは僕は思わない、即興の文法を学ぶために時間は費やしたけれどね ー ちょうど作家が英語の文法を学ぶために時間をかけないといけないように。だからといってその人が良い作家だとは限らないけれど、少なくとも使えるツールは持っていることになる。

Q: でも、例外的なケースはありますよね。

A: 勿論さ。技術的な意味で、文法のことを説明できないけれど、何をやったらいいか本能的にわかっている人たちはいる。僕も含めて、立派な英語を話せないけれど、意味のある考えを伝えられる人々がいる。大切なのは良いミュージシャンになることなんだ。そして僕はかなり複雑なハーモニーを扱うことが多いから、僕の場合はハーモニーを理解することが重要なんだ。

でも自分が演奏しているときに何が起こっているかという点では、僕はもう考える必要がない。ちょうど小説を書いている人が、どんな時制を使ったらいいか悩んで5分おきに辞書を取り出す必要がないのと同じさ。彼は単にそれを使う、何をやったらいいかわかっているからだ。

よく音楽に理論は必要ではないとか、いや必要だとか、そういう話題で紛糾することがありますが、メセニーは「何言っているんだ、全部マスターするのは当たり前じゃないか。そのために時間をかけるのは当たり前じゃないか。僕は全部やったよ」という感じだったらしい。それでいて彼は、理論書からはじめたわけではなく、手探りで様々なことを試した結果、気がついたら全てを通過していた状態だったらしい。

時間をかける。それがとにかく大切なんだな、と思いました。このインタビューの最後で、あなたがいつか音楽をやめるようなことは想像できるでしょうか、と聞かれたメセニーは、次のように答えています。

もし僕が家族を持っていたりするなら、それもあるかもしれないけれど、それでもやめるとは思わないな。50歳になる頃に、年間300日間ツアーに出ているとは思わない、いまのペースを維持していたら50歳まで生きていられるとは思わない。これはとても負担の大きい、難しい仕事なんだ。僕はずっと前に、音楽家であるためにコミットすることに決めた。それは今でも変わらない。そして音楽であることのプロセスは簡単なものではないんだ、でも僕はそのコミットメントを破るつもりはない。

もし音楽へのコミットメントが、いま僕が費やしている時間を要求するなら、それがその要件だということだ。僕は可能な限り少ない量の時間を費やしながら、そのコミットメントをまだ守っている。そして僕にとってその最小の時間というのは、1日24時間になってるんだけどね(笑)

先の8月12日に64歳になったパット・メセニー。スケジュール表を見ると、10月は21日間の公演予定が入っていました。


パット・メセニーとトランペット的な表現

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最近パット・メセニーとトランペットという金管楽器の関係性をあらためてよく考えるようになりました。パットの長兄マイク・メセニー氏はトランペッターで、パット自身も14歳で歯列矯正をはじめるまでこの金管楽器を吹いていたそうです(ソース)。

僕の長兄が楽譜の読み方を教えてくれた。高校のバンドでは楽譜を読んでいたものだけれど、トランペットの音楽がいつもまわりにあったよ。

そして長兄マイクが家に持ち込んだレコードがマイルス・デイヴィス(”Four and more”等)で、これがジャズとの運命的な出会い。ここでもトランペットつながり。

さらに彼は14歳の頃、カンサス・シティで週に4〜5夜、地元の大人ミュージシャンたちとジャズを演奏するようになるのですが、その中の1人であるゲイリー・シヴィルス(Gary Sivils)というトランペッターに大きい影響を受けたと語っています。

そのゲイリー・シヴィルスというトランペッターは、モードや理論を説明はできなかったものの直感的に何を吹けば良いかをわかっていて、難しいコード進行の曲も吹ける人だったそうです。

さらにパットはギターシンセサイザーのRoland GR300についても次のように語っています(1981年)。

僕のセカンドギターは新型のローランドGR300で、本当に気に入っているんだ。今では3分の1の時間それを弾いている、この楽器には圧倒されるよ。ギターシンセにはずっと夢中だったから出回っている全てのものを試奏して、他のブランドのものを3つ買ったりした。でもどれもこのローランドに出会うまではしっくりこなかったんだ。

このローランドは本当の楽器みたいに弾くことができる。僕が弾いているみたいにサウンドするんだよ。僕の個性が残ってくれるんだ。ギターみたいにサウンドはしないけど、そういう感じ。トランペットかベースか、オーケストラのようにサウンドするんだ。

パット・メセニーの”Roofdogs”という曲(“Unity Sessions”収録)のテーマなどは、私の耳には完全にトランペット的なフレージングに聞こえるのですが、YouTubeにはないのでかわりの下の曲。”Kin”の1:56〜のギターシンセでのフレージングもトランペットのような金管楽器を強く感じます(余談ですがこの演奏、”Roots of Coincindence”にも雰囲気が似ているなと思いました)。

マイルスは勿論、トロンボーンも個人的には感じます。つまり木管というより金管。現代のジャズギタリストはカート・ローゼンウィンケル、マイク・モレノ、ラーゲ・ルンド等々、サキソフォン的表現のミミックを意識する人は多いと思うのですが、トランペットのような金管楽器的なニュアンスが感じられる人は決して多くないような気がします(私が知らないだけで実はわりといたりするのかもしれませんが…)。

メセニー自身は、Roland GR300で弾く時のフィールはギブソンのフルアコES-175を弾く時と変わらないとも言っているのですが、コンプレッサーやサステイナー系のエフェクトなしでアンプに直にES-175のような胴厚なフルアコを繋いで、こういう表現をできるか。出てくるか。というと、まぁかなり難しいんじゃないかなという気がします。

こうした「金管楽器」に強い影響を受けているらしい点でも、パット・メセニーは特異なプレイヤーではないかと思ったのでした。元々の喋り方が実は管楽器、しかも金管、トランペットだった人だったのかもしれない。そう思うとなかなか面白いです。

1周回ってカッコ良いと思えるもの

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1周回ってカッコ良いと思えるもの、があります。最初、それはカッコ悪かった。魅力的ではなかった。バカにされることもあった。だから、避けてきた。でも気が付くとそれらに新鮮な魅力を感じている自分が。例えば…

カウボーイ・コード

例えば、こういうコードたち。フォークやロックで多用されるオープンコード、別名カウボーイ・コード。必然性なく重ねられた音を持つトライアド。最近流行のダッドシューズのような魅力を感じます。

カウボーイ・コード

参考:ダサいダッドシューズ。これがいまカッコいい。郊外の靴流通センターなどで手に入るという。洗練を拒否する荒々しい魅力。ダイエットを拒否し今日もビールを飲み続けるお父さんのようなシューズだ!

 

V7上でのミクソリディアン

4度進行するドミナントコードの上では、オルタード・テンションを弾くのがジャズの常。ジャズっぽいサウンドを狙うにはまずオルタード、みたいなことも言われます。特に反論はしないのですが、V7上であえてオルタードテンションを弾かず、ミクソリディアンを使う。言い換えれば、ナチュラルテンションだけを使用する。奇をてらわない。ドラマを拒否する。川の流れのように… Be water, my friend.

ルートから弾きはじめる

フレーズを弾く時、例えばCm7と書かれていたらCの音からはじめる。これは最も簡単で直感的な方法である反面、退屈であるとも言われてしまいます。そればっかりやっているからうまくならないのだ。アプローチノートからはじめてみたまえ、コードなら転回系を覚えなさい! などといった小言が飛んでくることも。

しかし、そこをあえてルートから。反抗的にルートから。ルートで何が悪い。文句あるか! ドーンとルートを弾く。そしてベーシストと目があってしまったら「エヘヘ…」と照れくさく笑ってみる。

スペイン(チック・コリアの曲)

ジャムセッションで必ずと言っていいほどコールされる有名曲。ライブで客席からリクエストが入る頻度も高い。その華麗なリフを何度となく弾いているうちに「おらもうこんな曲イヤだ!」とうんざりしてしまうギタリストも少なくないという。だがこれも数年に1度は必ず「うおおーっスペイン、カッコいいわ!」と興奮する瞬間がやってくる。そんな時は静かに目を閉じ恍惚としてひたすら16分音符を弾こう。

アンプ直結リバーブゼロ

エフェクターがほしい。ほど良いリバーブがほしい。ディレイがないなんて考えられない。でないと自分の音楽にならない。そんなふうに思っていても、アンプにシールド直挿し、リバーブゼロの完全デッドなセッティングで弾くと、その化粧っ気のない音に己の真の姿を感じる。そこにあるのは、本当の自分との出会い。鏡に映し出されたその自分は、美しくとも、美しくなくとも、感動的だ。

ラリー・コリエル

ラリー・コリエルというギタリスト。ジャズにロックギター的要素を持ちこんだギタリストの1人としてファンだった方も多いはず。そしてファンの方々には申し訳ないのだが、私はこの人の音楽にはあまり魅力を感じたことがなかった。こういうふうには弾きたくないと思ってさえいた。しかしこの「枯葉」での彼のソロ(2:02-)はどうだ。完全に浮いている。ジョンスコとアバークロンビーの視線もどことなく冷たい。

でもこの演奏は、1周回ってカッコ良く思えてきました。でっかいギターを歪ませて、速く弾く。熱くなってきたら、立ち上がる。この「枯葉」は全員の演奏が素晴らしいと思うのだが、いろんな意味でコリエルが全部持っていった感じがする。

勿論、この後に順番が回ってきてしまった不幸なアバークロンビー氏もいつもの演奏ができていてカッコいい。誰もがその時その時の自分の音楽をやっているから、カッコいい。飾ることなく、剥き出しにされた己の姿。最終的に、人はそこに戻ってくるのである…

優秀と感動のあいだの超えられない壁

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肉野菜炒めを食べたい、と思ったのでした。自宅では扱えない高火力でパリッと炒められた、シャキシャキもやしやキャベツの入った肉野菜炒め。中華料理店を探さないといけない。

家の近くには2軒の中華屋があるのですが、どちらも行きたいと思いません。いわゆる「町中華」なのですが、とんでもなくまずい。まずいのに、その界隈にはその2店しか中華屋がないせいか、何年も潰れずに経営できている。まずいけど近くの中華屋はそこしかないから食べ行く、という人々が少なからずいる。

その2店にはやはり行きたくなかったので、歩きながら中華屋を探すのですが、これがなかなか見つかりません。「町中華」のお店、減ったんじゃないだろうか。前はもっと簡単に見つかったような気が…

そのうちに日高屋というチェーン店を見つけました。日高屋自体は10年ほど前に入ったことがあり、その時食べた「唐揚げ定食」の唐揚げがやたらと固くてまずく、もう2度と来ない、と決めたほどだったので、普段なら入らなかったと思うのですが、その時はどうしても肉野菜炒めが食べたかった。そして他に町中華が見つかる可能性も低い。ので、入ってみました。

すると単品で税込み520円という安さのこの肉野菜炒めが、予想を裏切り、結構おいしかったのでした。

超優秀とまでは言えないにしても、チェーン店で520円で食べられる肉野菜炒めとしてはかなり頑張っている感じ。家の近所の町中華の750円するまずい肉野菜炒めよりは、はるかに格上。なるほど、こういうお店があちこちにあるなら、中途半端な町中華は淘汰されてしまうのかもしれないな、と思いました。

料理を表現とするなら、平均的の高い表現。野菜が妙にしなっとしているとか、しょっぱすぎるとか、味が薄すぎるとか、そういうことはなく、素材も鮮度が低いものを使っているようには思えない。最高、とまでは言えないとしても、合格ラインを確実に超えてくるような野菜炒めでした(何様ww)。

しかし店を後にしながら私はこんなふうに心の中で呟いていました。

だが… こんなんじゃねぇ。俺が本当に食いたかった肉野菜炒めは、こんなんじゃねぇんだよ… もっとこう、その店でしか食えないような、突出した何か…そういうのがある肉野菜炒め、俺が本当に食いたかったのは、そういうやつなんだ…

平均点を高く持ってくることは必要条件だとしても、十分条件ではない。それだけでは感動には至らない。では感動をもたらすためにはどんな要素が必要なのだろう、ということをこの肉野菜炒めには考えさせられたのでした。

Steinberger Spiritの弦交換

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先日久しぶりにSteinberger Spirit GT-PRO Deluxeの弦を交換しました。久しぶりすぎて手順を忘れていたので、記事で紹介しようと思って写真を撮っておきました。この素晴らしいギターについては過去に2本の記事を書いているので、ご興味のある方はどうぞ。

Steinberger Spirit GT-PRO Deluxe
思い出せ…思い出すんだ…あの夜…俺は何をしていた…そう…インターネットを…眺めていた…デジマート…amazon…ウッ、頭が! 
Steinberger Spiritのチューナーを滑らかにしてみた
先日レビューしたばかりのSteinberger Spirit GT-PRO Deluxe(記事)ですが、良いギターだけどチューナーの動きが渋...

Jazz Guitar Forumにはこのギターについてのスレッドもあるのでこちらも是非。Steinberger愛好家が集っています(笑)。

スタインバーガー純正のダブルボールエンド弦

では早速弦交換の様子を。今回はスタインバーガー純正のダブルボールエンド弦を使うことにしました。一応普通の弦が使える「GL6ストリングアダプター」も持っているのですが、純正弦のストックがいくつかあるので使い切ってしまおうと。.010からのセット(.010, .013, .017, .026, .036, .046)。こんなふうに1弦が2つ入っているので(親切!)、2弦を張る時に間違えないよう注意したほうが良いです。

スタインバーガー純正のダブルボールエンド弦

箱には3弦が.017wと書かれているのですが、巻き弦ではなく、プレーンです。

チューナーを緩めてボールエンドを露出

ブリッジ下部にあるチューニング・ノブを緩めていくとボールエンドが姿を現します。あとは簡単、外すだけ。弦をセットする時はまずヘッド側に入れてから、このブリッジ側に入れてクルクルとノブを回していきます。ダブルボールエンド弦はこれだけで弦のセットが終わるので マジ感動 です。ちょうどいい長さになっていて、ニッパーも不要。弦高調整・オクターブチューニングはこの記事をご参考に。

スタインバーガーのトレモロユニット

早すぎて感動。これがあるからできればダブルボールエンド弦を使い続けたい…

チューニングはロッキングレバーを上げてから。その後レバーを下げて再調整

弦を張り終わったらチューニング。ここで「あれ、どうやるんだっけ」となりました。まず下の写真、左下の「ロッキングレバー」というものをカチッと音がするまで上に持ち上げます。するとトレモロユニットが固定されます。この状態で普通にチューニングします。その後、トレモロアームを使わない方はそのままでOK。使う方は、ロッキングレバーを下に押し下げます。

スタインバーガーのロッキングレバーとマスターチューニングノブ

ロッキングレバーを下に押し下げた状態で、どの弦でもいいので1つ弾いてみて、チューナーで測定します。先程合わせたばかりの音が、もしフラットしていたりシャープしていたりする場合、写真上の「マスター・チューニング・ノブ」を左右に動かして調整します。これは6つの弦全てを同時に調整する作業です。ちなみにここが大きく狂っていると、ロッキングレバーを動かしにくくなるので要注意。

ダブルボールエンドではない普通の弦を使いたい場合

ダブルボールエンドではない普通の弦を使いたい場合は、アダプターを買う必要があります。この記事でも紹介してありますが、スタインバーガー純正のアダプターがあります。このパーツは一度市場から姿を消すと数ヶ月〜1年くらい手に入らないことがあるらしいので、必要な方は見かけた時にゲットしておいたほうが良いでしょう。

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ところで純正のアダプターを使っても、激しいアームアップをすると弦が解けてしまうことがあるようです。そんな場合は、もっとすごいアダプターが存在するらしく、それはJazz Guitar Forumのこの投稿で詳細に紹介してくださった方がいるので、是非参考にしてみてください。安定感がすごいらしいです。ありがたい情報に感謝。

Steinberger Spirit GT-PRO Deluxeは一時流通が途絶えていたのですが、最近イケベ楽器が大量に発注したらしく、また簡単に手に入るようになりました。私が買った時は39,000円くらいだったので、5〜6,000円ほど値上がりしたようです。ムムム…(色によっては安いものもあるようです)。ただもともと45,000円だったとしても高いとは思わない品質ではあります。今までが安すぎたのか…

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さて、弦交換後、快適に使っていますが、他のギブソンスケールのギターで普段使っている.011-のゲージを張りたくなってきました。ダブルボールエンド弦はダダリオからも出ているのですが、.011-のセットは見つかりません(.009か.010のものしかないっぽい)。というわけでそろそろ買っておいたストリングアダプターの出番かもしれません。

本当にいいギターです。極端な話、このギター以外使ってはならぬ、と言われたとしても、多分困りません。ヘヴィメタルから、やろうと思えばジャズの歌伴まで対応可能でしょう。これくらい見た目と出音のギャップが違うギターも珍しいです。

無人島に一人取り残されたら、音楽をやる余裕はたぶんない

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音楽をやれているというのは、本当に贅沢なことです。食べるものがあり、着る服があり、住む家があって、はじめて音楽を楽しむことができる。生存が脅かされていたり、生活や健康に不安があったら音楽どころではないでしょう。

そういうことを、最近ある漫画を読んで痛感しました。

サバイバル(さいとう・たかを著)

夏休みに、気分転換で「サバイバル」という漫画(全11巻)をKindle版で読みました。この漫画の著者は「ゴルゴ13」で有名なさいとう・たかを氏で、実は中学生か高校生の頃に一度全部読んだことがあります。そして先日、唐突にまた読みたいと思ったのでした。

さいとう・たかを「サバイバル」

ネタバレになるようなことは書きませんが、大地震がきっかけで突然、無人島で独りで生き抜くことを余儀なくされた中学生、鈴木サトルという少年が主人公です。東日本大震災を超えるような規模の自然災害、そしてそれに伴う人災に巻き込まれます。少年は、生きているかどうか定かではない家族に再会することだけを目標として、頑張って生きていく、というストーリーです。

この漫画を急にまた読みたくなったのは、最近日本全国で豪雨災害が続いていて、私が住んでいる東京もいつ洪水で水没してもおかしくないし、そういえば自分が生きている間にはほぼ間違いなく東京を超巨大地震が襲うんだよな、と思い当たったからかもしれません。

「サバイバル」というこの漫画は、1976〜78年頃に週刊少年サンデーに連載されていたらしいので、今からおよそ40年前の作品になります。40年前というと大昔のように思えますが、この漫画、読んでいて1mmも古さを感じません。現代でもほぼすべての表現が違和感なく伝わってきます。この作品には時代を超える普遍性が備わっているのでしょう。つまり、名作です。

もし超巨大地震が発生して、私達もサトル少年のように無人島での生存を強いられたなら、やらなければならないことは、ほぼ同じです。自分で食べ物を探す。住まいをつくる。動物の皮から、靴をつくる。同じことをやらないと生きていけない。スマホもインターネットもない。全部自分でやらないといけない。そして、それはものすごく時間がかかる。

無人島でのサトル少年の生活を見ていると、本当に時間がいくらあっても足りないように見えます。よく「無人島に行くとしたら、どんな音源を持っていきますか」みたいな質問がありますが、いやいやいやいや、音楽のCDを持っていくどころではない。そんなものを持てるのなら、かわりに針と虫眼鏡を持たないと。フルアコとセミアコとクラギ、どれか1本だけ持っていけるとしたらどれ? あっはっは。

音楽なんかやる余裕は、まったくないでしょう。「サバイバル」という全11巻の漫画の中で音楽が登場するのは、片手で数えられる程度です。クマに遭遇しないために大声で歌う歌とか、あとは大事なシーンでビートルズも登場したりしますが、やはり音楽がいかに贅沢なものなのかを痛感させられます。

とにかく飢えと寒さ、喉の渇きに対応しなければいけない時に「今日は酒バラをAbでやってみようか…」などという贅沢はもうありえない。なんかうまく弾けないなぁ…などと悩むのも贅沢の極地。音楽をやれているだけでなんてラッキーなんだろう、と思わないといけないんだ、と痛感します。

だから、やっぱり自分は恵まれているんだな、と思ったのがひとつ。私は、裕福な人間では決してないのですが、幸いとりあえず明日何か食べられるだろうか、と心配することはないし、1日に4時間前後、音楽に取り組む時間も持てている。こんなに贅沢なことはないよ、とあらためて思いました。

勿論サトル少年も、夜に自分でこしらえた穴蔵の中で、焚き火の前でウトウトしながらゆっくりした時間を持っていることはあるのですが、自分がその立場だったら、音楽をやろうと思うだろうか。歌を歌い、口笛を吹く体力はあるか。どうも、そんな気にはならないんじゃないかという気がします。

もうひとつ、この漫画には隠されたテーマがありました。それは「狩猟・採集」と「農耕」というテーマです。どちらも環境の持続可能性、サステイナビリティに関わるテーマです。この漫画には、とにかく獲っちまえ、略奪してしまえ、という人々と、持続的に生きられるために育ててみよう、という人々、2種類が登場します。サトル少年は、最初は狩猟採集民なのですが、やがて農耕に目覚めます。

以前もこのブログで書いたことがあると思うのですが、音楽的な能力を身につけようとする営為は、農耕に近いものだと思っています。それは、狩ってきて、喰らい、自分の血肉にするものというよりも、自分の内側に種をまき、毎日様子を見ながら必要な養分を与え、育てていくことに近い営為だと思っています。

そういう意味で、サトル少年の生き方は、非常に音楽的にも思えるのでした。いつか彼は、音楽を楽しむ日が来るのかもしれません。いや、絶対に来るに違いない。そう思わせるようなエンディングでした。サトル少年の苦難の全ては、私達楽器演奏者が何かを身につけようとする時の苦心にとても似たものがあります。

もし明日、東日本大震災を超えるような大地震が発生して、電力の供給が停止して、非常用発電機さえ破壊されて、インターネットのインフラも死んでしまい、AMラジオをどの曲に合わせようとしてもノイズしか聞こえない、そんな日が来たら、私は、あなたは、ギターやトランペットやサックスやフルートを持って、旅に出るでしょうか。

音楽をやれているのは、本当に贅沢なことで、感謝しないといけないな、と思います。だから、つまらないことに時間を費やしてはいけない。いま音楽できることの特権を、十分に謳歌しないといけない。そう思ったのでした。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

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Squire by Fenderの安いストラトを使っています。詳細は下の2つの記事に書いたので併せて是非!

Squier by Fender Bullet Strat 2万円の安ストラトを買ってみた
友達から10万円くらいのFender Japan製ストラトを借りていて、楽しく使わせてもらっているのですが、そろそろ返してくれ、みたいな話が...
これはオカルトではない 1700円でストラトの音が激変するRaw Vintage Tremolo Springs
最近、スクワイアの安いストラトの記事を書きました。記事中でも書いたのですが、アームダウンするとチューニングが大きく狂うのが悩みの種でした。こ...

このたびサドルを交換することにしました。Raw Vintageの”Pure Steel Saddles”という製品です。だいぶ前に買ってあったのですが、ようやくこの夏休みにインストール。その様子を写真付きでご紹介。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

まずSquire Bulletの純正サドルはこんな感じです。モダンなデザインですが、ゴトーのような高級品では当然なくて、韓国製か中国製でしょう。弦が接しているパーツだけにこういうところが音に与える影響は決して小さくないはず。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

今回導入するRaw Vintage Pure Steel Saddlesがこちら。重さを測るのを忘れましたが、肉抜きされていて見た感じは軽量そうです。”Raw Vintage”という刻印が入っていて、凝ってます。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

元々のサドルとは形状と厚みが全く違います。これは横から見たところ。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

弦高やオクターブチューニングの問題があるので、なるべく元々のサドルに近いセッティングでまずは入れたい。というわけで、1つ外して隣のサドルとの関係を見ながら1つ入れる、という作業を繰り返します。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

全部入りました。ギターのサドル、こういう位置関係になるのが面白いですね。1弦 > 2弦 > 3弦と下がっていって、4弦がまた上がって4弦 > 5弦 > 6弦と下がっていく感じになりますね。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

弦を張りました。2本のイモネジで弦高調整。大きいプラスネジで前後に動かしてオクターブチューニング。写真を撮りながらだったのもありますが、最終調整まで1時間半ほどかかりました。大仕事。こういう作業は練習する気になれない日のために取っておきます(笑)。

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

真上から見るとこういう感じです。amazonのレビューには、Fender Japanのストラトでこれを使うとサドルとサドルのあいだに隙間ができるので音の分離が良くなる、という興味深い感想が書かれているのですが、このSquire Bulletでは隙間ができません。むしろちょっと窮屈なほどです。特に入れづらいということはありませんでしたが、余裕ゼロ。よく入ったな…(※私が買ったのはゴトー互換のミリサイズ)

2万円のSquire Bullet Stratに5000円するRaw Vintageサドルを付けてみた

さて、肝心の音はどうかというと… 違いがよくわからない。というのも、同じタイミングで弦をElixir Nanowebからダダリオのフラットワウンドに換えてしまったからです(笑)。ただ、しばらくフラットワウンドで弾き倒した後、やはりこのギターはラウンド弦のほうが楽しいかなと思い、前と同じエリクサーに再交換(フラットワウンドもったいなかったけど…)。

その結果。おお…イイ! なんというか カドが取れた感じの音 になってます。固さが取れて枯れた感じの音になった印象。ずいぶん変わるものです。まぁ2万円のギターに5000円のパーツを入れるというのも何かおかしい気はしますが、これ、安い楽器ほど効果がわかりやすいんじゃないでしょうか。

自分はやはりギブソンスケールと平たい指板でギターをはじめたこともあり、フェンダー系のギターがメインになることはないと思うのですが、このストラトをLINE6 DL4に突っ込んだりするといつもとは違うインスピレーションを得られるので、頭の切り替えでたまに弾くことが多いです。ストラトは音響で遊ぶのがとにかく楽しい楽器です。

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リズムギターを極める

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誰が言っていたか思い出せないのですが、ジャズには「リードギター」と「リズムギター」のような概念はない、という言葉を目にしたことがあります。ロックだと華麗なテクニックでギターソロを弾く人と、安定したバッキングで「補佐」する人、2人のギタリストがいるバンドは珍しくありません。ボーカルが「リズムギター」を兼ねていることも多い。

だがジャズにそんなものはないのだ。ジャズギタリストたるもの、リードギターもリズムギターも1人でこなせなくてはならない。そんな言葉を、どこかで読んだ。読んだ当時は、なるほどなぁと思いました。その通りだろうとは思います。パット・マルティーノの昔のアルバムでバッキング専門のギタリストが参加していたことはあったけど…。

ところで下の画像はマイルス・オカザキのインスタグラムから。この記事を書いている時点で、自己紹介欄に彼は”Rhythm guitarist”と書いています。赤枠で囲ってあるところ。カッコいいねぇ!と思いました。

From Miles Okazaki's Instgram

これは特殊な意味が込められていそうです。バッキングだけやるギタリスト、という意味では勿論なく、俺はリズムについては人一倍うるさいぞ、すごくリズムのことを考えているんだ、という表明でしょうか。

確かにマイルス・オカザキのMy Music Masterclass教則動画は「リズミックな即興」がテーマでした。チャーリー・パーカーの「コンファメーション」を素材に様々なリズムの冒険を扱っています。興味のある方は是非御覧ください(フルバージョン)。

世の中に出回っている教則本でも、YouTubeの動画でも、ネットのいろいろなサイトでも、音の選び方に関する内容が8〜9割を占めていて、リズムの話はほんのわずかなことが多いです。説明が難しかったり、手間がかかるせいもあると思うのですが、その結果リズム、リズミック・フィギュア(リズムのかたち)について意識的になる時間が自然と少なくなる傾向はあるので、気をつけないといけないなと思います。

俺は、リズム・ギタリストだ。

カッコ良すぎて痺れる!


マイルス・オカザキがセロニアス・モンクの70曲をカバー。全ジャズファン必聴の超絶音源

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マイルス・オカザキがギター1本でセロニアス・モンクの楽曲70曲を演奏している音源が先の8月に出ました。”Work (Complete, Volumes 1​-​6) – The Complete compositions of Theloniuos Monk”というタイトルで、bandcampから購入可能です。28ドル、日本円で3200円ほど。主要なクレジットカードかPayPalアカウントを持っていれば購入・ダウンロードできます(CD等のメディア販売なし)。

マイルス・オカザキがセロニアス・モンクの70曲をカバー。全ジャズファン必聴の超絶音源

最高かよ。マイルス・オカザキというギタリストがさらに好きになりました。私にとってセロニアス・モンクは10代の頃にいちばん聴いていたピアニストだったこともあり、自分にとっては決定的に大事な人です。ここ数年、スティーブ・カーディナスの”Thelonious Monk Fake Book”を頼りに、モンクの曲をソロギターで弾いて楽しんだりしていました。このアートワークもいいなぁ…

モンクの曲はギターではなかなか再現が難しい部分もあるのですが、それもギターで可能な表現に置き換えて色々実験していると、音楽的な喜びがあるのは勿論、テクニック的にかなり挑戦的なものに遭遇するので(特にリズム!!)、勉強にもなるのです。なので、マイルス・オカザキ氏がモンクの70曲をソロギターで録音したと知った時には飛びつきました。

これはすごい。何よりもまず「リズム・ギタリスト」を自称するマイルス・オカザキの真骨頂というのもあります。そしてギターでどんな表現が可能かという指標になります。何曲か既に自分でソロギターで弾いていた曲などを聴くと衝撃を受けました(このブログでモンクの曲のギターアレンジ譜を載せようとよく思ったのですが著作権の問題で諦めたことが多かった…)。

セロニアス・モンクの音楽が好きな人で、なおかつギタリストなら絶対に聴かなければならない音源です。昔なら3枚組みCDとかになるボリュームですが、これが28ドルはあまりに安い。これ全部録るのにどのくらい時間かかったんだろう。むかしジョー・パスの”Virtuoso”を聴いて感動した、ジョナサン・クライスバーグの”One”もすごく好きだった、などという方には激しくオススメできます。生々しい…

技術的にも1つ上のレベルに行きたいという人にもいいはず。超絶技巧的な部分も、あるにはあるけれど、それよりもデッドな音でソリッドかつタイトにいい音をいい場所で弾くっていうのはこういうことなんだよ、ということを学べるアルバム。これ、こっそり聴きはじめたほうがいいですよ。これは本物の音楽。聴いたか聴かなかったかで「ギター基礎体力」が違ってくるような作品。

やっぱりね。ギター1本、アンプにシールド直結でこういうふうに弾けないと。ちょうどこの記事を書いている時期、マイルス・オカザキ氏はライブで中央ヨーロッパを訪問中ですが、共演はメアリー・ハルヴァーソン。ハルヴァーソン氏とオカザキ氏の組み合わせ、すごくいいだろうと気が、このアルバムを聴いていて、しました。あんたら結婚してもいいんじゃないの、と思うくらい相性が良い。

あとモンクの曲を自分なりにソロギターで弾いてみたいという方にはこの本がとにかくオススメ。スティーブ・カーディナスの”Thelonious Monk Fake Book”。もう誰でも持っているかもしれないけど、モンクの音源を聴いて、これを読む。ギターで全部は弾けないとしても大事な音が書かれているんです。モンクの曲に関してはどれも「黒本」より断然深い。メチャいい本です。

ゆっくり続けて、最終的にやりとげる。それが僕の強みだ - Miles Okazaki

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ソロギターによるセロニアス・モンク全曲演奏作品“WORK”で話題になっているマイルス・オカザキ氏。marlbank.netというジャズブログでミニインタビューに応じています。

Work – The Complete compositions of Theloniuos Monk

Q: これほど壮大な仕事をすることになったきっかけは?

Miles Okazaki: ライナーノーツで詳しく書いたんだが、手短に言うと一定期間、集中して研究するためだ。ソニー・ロリンズのウィリアムズバーグ橋風に(訳注:ロリンズは一時演奏活動を中断し、橋の下で1年ほど孤独な秘密練習をしていた。その場所がニューヨークのウィリアムズバーグ橋で、復帰後の作品は”Bridge”というタイトルになった)。スティーヴ・コールマンも時々そういうことをやっている。

Q: ハーモニーに関するこれまでの深い研究は今回の演奏にどのように反映されたのでしょう?

M.O. ハーモニーの研究はこのプロジェクトでは多く役立ってはいないんだ、ハーモニーは素材自体によって提供されている。僕による曲の解釈で大事なところはハーモニーではなく、リズムに関するものだ。

Q: なぜモンクはあなたにとってそれほど重要なのですか?

M.O. 彼の音楽は、僕の音楽生活の初期から心に響くものがあったんだ。深いところまで論理的で、ソウルフルで、リズミックで、内的に一貫性のある世界だ。その世界は、中に入っていって、住むことができる。

Q: 今回使ったギターと弦、アンプなどは?

M.O. 1978年製のGibson ES 175 チャーリー・クリスチャン・アーチトップ・ギターと、トマスティックの14からのフラットワウンド、フェンダー・ツインリバーブだよ。ステレオマイクを1組使った、1つはアンプに、1つはギターボディーに向けて。20年間このセットアップなんだ。フラットワウンドを使うのは、ギターのすぐそばにマイクを立てるから。その距離でラウンドワウンドだとノイジーすぎると思って。

Q: このアルバムの制作過程で最も困難だったことは?

M.O. 難しくはなかったよ、ただ長い時間がかかった。長い時間にわたって集中を維持することが大事なんだと思う。でも僕の主な強みがそれなんだ、ゆっくり続けて、最終的にやりとげるのさ。

“WORK”のライナーノーツで、マイルス・オカザキは次のようにも語っています。

少年時代はモンクのアルバムから12曲ほど弾いていたが、当時は、曲の最も基本的な形式以上のことを立派にやるだけの言語を持っていなかった。20代では、語彙は増えたが、テクニックがまだ追いついていなかった。30代になると僕のチョップはより強固になったが、このプロジェクトをただの演奏や模倣以上のものにするためのヴィジョンを持てていなかった。ようやくいま僕はこれをやることにしたが、たぶん後になれば、これらの素材をきちんと扱うための十分な経験と成熟を得るまで、もっと待てば良かったと感じるかもしれない。とにかく、時は熟した、そして、ボツになったモンクの曲のタイトルを借りるなら、それが「今の僕の気持ち(that’s the way I feel now.)」だ。

マイルス・オカザキ氏には”Fundamentals of Guitar”という著書があり、これがまた精緻かつ精密な内容で、一生使えそうなものなのですが、何でも粘り強く時間をかけて取り組んできたギタリストなのだろうとあらためて思わされました。ゆっくり続けて、最終的にやりとげる(“going slowly and eventually getting there.”)。マイルス・オカザキ、それはジャズギター界のサグラダ・ファミリアなのか…

面白いことに取り組んでいるギタリストだな、という印象はあったのですが、最近になって彼が思い描いている音楽の姿が前よりもクリアに感じられるようになりました。精密なリズムの追求と、熱いパッションの融合。魅力的なギタリストです。最新作”WORK”は手に汗握る本当にいい録音なので、興味を持たれた方は是非。この美意識には、惚れます。入手方法などは下の記事をご参考に。

マイルス・オカザキがセロニアス・モンクの70曲をカバー。全ジャズファン必聴の超絶音源
マイルス・オカザキがギター1本でセロニアス・モンクの楽曲70曲を演奏している音源が先の8月に出ました。"Work (Complete, Vo...

マイルス・オカザキ氏の著書です。最初は何を考えているのかいまひとつわからない感じだったのですが、最近の仕事にすべて結実してきた感があり、楽しく読み返しています。

Fundamentals of Guitar (English Edition)
Mel Bay Publications, Inc. (2015-06-23)

オカザキ氏は今回の録音にあたって基本的にはモンクの演奏だけを頼りにしたそうですが、一部の曲の解釈についてはギタリスト、スティーヴ・カーディナスによるモンク譜を参考にしたそうです。これはすごくいい本で、モンク好きにはオススメです。

ジャズ系ギタリストに人気の弦セットのテンションを比較する

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弦は太ければ太いほど良い音がする、と言われる一方で、太い弦はテンション(張力)が高く、押さえるのに力がいる、と言われます。また同じゲージ(太さ)でもメーカーによってテンションが異なるという話があります。有名なのは「トマスティックの弦は太くてもテンションが低くて押さえやすい」という話。へーそうなんだ、と何となく納得していましたが、それは本当なのか。

というわけで実際に数字を集めて、比較してみることにしました。

今回調べてみたメーカーはダダリオ・エリクサー・トマスティックの3社。参考にしたサイト(数字のソース)は以下の3つです。弦セットの合計テンションは自動計算しましたが、1本1本の数字は手入力なので細かい間違いはあるかもしれません。あらかじめご了承下さい。

ダダリオの主な弦セットの合計テンション

まずダダリオの主な弦セットのテンションを見てみます。ラウンドワウンド、フラットワウンド、ハーフラウンドの順に表にしてあります。

各表の表頭にあるのは、製品名。左側の列は、どの弦か。数字の単位は、kgf(重量キログラム)です。フラット弦とハーフラウンドでは.010〜のセットは省略しました。「TOTAL」とある部分が、6本の弦の張力の合計kgfです。この数字が大きければその弦セットのテンションは高く、小さければ低いことになります。

さて…よくお店で見かける弦セットを調べてみたのですが、EJ20とEXL115だと意外なことにEJ20のほうが合計テンションが高い! 3弦と4弦がちょっと太いのかな。このことから「.010のセットは.011のセットより軽い」とは一概には言えないことがわかります。

D’addario Round Wound
EJ20(10-49) EXL115(11-49) EJ21(12-52) EJ22(13-56)
1E 7.36 8.90 10.60 12.44
2B 8.10 8.10 10.57 11.93
3G 10.73 8.43 12.71 14.86
4D 11.22 9.58 12.53 15.39
5A 9.51 9.51 11.61 13.67
6E 8.60 8.60 9.59 11.44
TOTAL 55.52 53.12 67.61 79.73

フラットワウンドのセットは、ラウンドワウンドのセットよりも合計テンションが高くなっています。プレーン弦は同じゲージならテンションは同じですが、製法が異なるフラットの巻き弦は、例えば同じ.056の6弦用でもラウンドの.056よりテンションが高いようです(EGC26の.056は12.04kgf、EJ22の.560は11.44kgf)。

D’addario Flat Wound
EGC24(11-50) EGC25(12-52) EGC26(13-56)
1E 8.90 10.60 12.44
2B 9.29 10.57 11.93
3G 11.32 13.41 15.68
4D 11.48 13.00 15.62
5A 11.47 12.18 14.33
6E 9.58 10.22 12.04
TOTAL 62.04 69.98 82.04

ラウンドワウンドとフラットワウンドの中間的な性質を持つハーフラウンドは、合計テンションも中間的になっています。ラウンド弦よりは高いけれど、フラット弦よりは低い。6弦の.056は10.62kgfで、同社のラウンド用・フラット用.056よりもテンションが低いようです。

D’addario Half Round
EHR370(11-49) EHR350(12-52) EHR360(13-56)
1E 8.90 10.60 12.44
2B 8.10 10.57 11.93
3G 8.43 14.12 16.23
4D 10.17 12.93 15.53
5A 9.50 11.20 13.32
6E 8.60 9.19 10.62
TOTAL 53.70 68.61 80.07

エリクサーの主な弦セットの合計テンション

人気のコーティング弦、エリクサーのナノウェブのテンションです。.013-はラインナップされていないので省略しました。これだけ見てもピンとこないと思いますが、後で別の比較をするために掲載しておくことにします。

Elixir Nanoweb
Light(10-46) Medium(11-49) Heavy(12-52)
1E 7.26 9.07 10.40
2B 6.80 8.16 10.40
3G 7.71 8.62 12.70
4D 8.16 9.53 12.70
5A 9.07 9.98 11.80
6E 7.71 9.07 9.98
TOTAL 46.71 54.43 67.98

トマスティックの主な弦セットの合計テンション

太いわりにテンションが低い、押さえやすい、と評判のトマスティック・インフェルト社の弦です。フラットワウンドのJazz Swing、ラウンドワウンドのJazz Bebopの2種類を表にしてみました。フラットには.010ではじまるセットがあるかわりに.014のセットはなく(※)、ラウンドは.010のセットがないかわりに.014からのセットがあります。

(※追記:トマスティックのフラットワウンドにGB114という.014〜.055のジョージ・ベンソン・モデルがあるようです)

Thomastik Jazz Swing (Flat wound)
JS110(10-44) JS111(11-47) JS112(12-50) JS113(13-53)
1E 7.80 9.00 10.30 11.70
2B 8.30 9.30 10.30 11.40
3G 8.60 9.80 11.20 12.40
4D 8.20 9.70 10.90 12.40
5A 8.20 9.20 10.30 11.30
6E 8.50 9.60 10.60 11.80
TOTAL 49.60 56.60 63.60 71.00
Thomastik Jazz Bebop (Round Wound)
BB111(11-47) BB112(12-50) BB113(13-53) BB114(14-55)
1E 9.00 10.30 11.70 14.10
2B 9.30 10.30 11.40 13.10
3G 9.30 11.00 12.10 13.60
4D 9.30 10.80 11.80 13.30
5A 8.90 10.00 11.20 12.10
6E 9.20 10.20 11.60 12.60
TOTAL 55.00 62.60 69.80 78.80

.011〜のラウンドワウンド弦のセットだけを比較した場合

さてここからが面白いところ。.011〜ではじまるラウンド弦セットだけを横並び比較してみるとどうなるでしょう。合計テンションが低いものを左から並べてみました。すると意外な結果に。.011〜の場合、一般にテンションが高いと言われているダダリオのラウンド弦が実は最も合計張力が低く、トマスティックのほうが高い。弾きやすいイメージのあるエリクサーもダダリオよりテンションが高い!

.011〜のラウンドワウンド弦セットのテンション比較
D’addario Round Wound
EXL115(11-49)
Elixir Nanoweb
Medium(11-49)
Thomastik Jazz Bebop
BB111(11-47)
1E 8.90 9.07 9.00
2B 8.10 8.16 9.30
3G 8.43 8.62 9.30
4D 9.58 9.53 9.30
5A 9.51 9.98 8.90
6E 8.60 9.07 9.20
TOTAL 53.12 54.43 55.00

.011〜ではじまるラウンド弦セットについて言えば、「トマスティックはテンション低い」という言葉が当てはまらないことがわかりました。

.011〜のフラットワウンド・ハーフラウンド弦のセットだけを比較した場合

次は同じ.011〜ですが、フラットワウンドとハーフラウンドだけで横並び比較してみます。すると…この中でハーフラウンドがいちばんテンション低いのは当然として、ここではトマスティックが軽くなっています。低音弦の太さが違うので当然といえば当然ですが、数字を見ただけでもトマスティックのほうが弾きやすそうです。JS111の1〜2弦はEGC24とほとんど変わらないのも面白い。

.011〜のフラットワウンド・ハーフラウンド弦セットのテンション比較
D’addario Half Round
EHR370(11-49)
Thomastik Jazz Swing JS111(11-47) D’addario Flat Wound
EGC24(11-50)
1E 8.90 9.00 8.90
2B 8.10 9.30 9.29
3G 8.43 9.80 11.32
4D 10.17 9.70 11.48
5A 9.50 9.20 11.47
6E 8.60 9.60 9.58
TOTAL 53.70 56.60 62.04

トマスティックの弦セットが押さえやすいと言われるのは、3弦から下の構成に秘密がありそうです。

.012〜の全種類の弦のセットを比較した場合

次にラウンド・フラット弦の区別なく、.012〜セットのテンションを横並びで見てみます。左から軽い順に並べてあります。すると…おお、ラウンドもフラットもトマスティックのセットがダダリオより軽い!まあ、これも低音弦がより細いので当然ではありますが、ほとんどの人は低音弦が太すぎて扱いに困る、という悩みを持つことが多いので、その意味でもトマスティックのパッケージは便利そうに見えます。

.012〜の全種類の弦セットのテンション比較
Thomastik BB112(12-50) Round Thomastik JS112(12-50) Flat D’addario EJ21(12-52) Round Elixir Nanoweb Heavy(12-52) D’addario EHR350(12-52) Half Round D’addario EGC25(12-52) flat
1E 10.30 10.30 10.60 10.40 10.60 10.60
2B 10.30 10.30 10.57 10.40 10.57 10.57
3G 11.00 11.20 12.71 12.70 14.12 13.41
4D 10.80 10.90 12.53 12.70 12.93 13.00
5A 10.00 10.30 11.61 11.80 11.20 12.18
6E 10.20 10.60 9.59 9.98 9.19 10.22
TOTAL 62.60 63.60 67.61 67.98 68.61 69.98

.013〜の全種類の弦のセットを比較した場合

ついでに.013〜のセットを見てみます。これもラウンド弦、フラット弦の区別なし。エリクサーは.013〜製品がなかったのでカット。うーん、なるほど、6弦が56か53かという違いはあるけれど(4,5弦も違うはず)、ダダリオのフラットワウンド弦の合計張力がいかに強いかがわかります。トマスティックのフラットワウンド、JS113の71kgfに対して、ダダリオのフラットワウンド、EGC26は82.04kgfです。

.013〜の全種類の弦セットのテンション比較
Thomastik BB113(13-53) Round Thomastik JS113(13-53) Flat D’addario EJ22(13-56) Round D’addario EHR360(13-56) Half Round D’addario EGC26(13-56) Flat
1E 11.70 11.70 12.44 12.44 12.44
2B 11.40 11.40 11.93 11.93 11.93
3G 12.10 12.40 14.86 16.23 15.68
4D 11.80 12.40 15.39 15.53 15.62
5A 11.20 11.30 13.67 13.32 14.33
6E 11.60 11.80 11.44 10.62 12.04
TOTAL 69.80 71.00 79.73 80.07 82.04

勿論、テンションが低いからと言ってその弦が優れているというわけではないでしょう。テンションが高いほど弦振動がよくギターに伝わるという人もいるし、実際にそういうギターもあるはず。テンションが低いということは、より少ない力で弦を押さえられる、ということ以外の意味はありません。でも様々な理由で、より少ない力で押さえたいケースがあるわけで、そういう場合はトマスティックの弦は有利そうです。

同じ太さの弦はメーカー・モデルによって違う?

基本的に同じメーカーの同じ太さのプレーン弦は同じテンション。同じメーカーの巻き弦は、同じ太さでもラウンドかフラットかでテンションが異なる。また同じ太さの弦でもメーカーが違えばテンションは異なる、が、プレーン弦においては極端な差は出ないという印象。フラット弦の場合は少し差が出ている模様。

下の表を見ると、プレーン弦の.011はダダリオとトマスティックでほぼ同じような数字と言えるでしょう。しかしエリクサーはコーティングという製法上の違いがあるせいかちょっとだけ高いのかな… そして.015と.050という太さの弦はエリクサーにはないので、6弦の.050(フラット弦)をトマスティックとダダリオとで比べると、結構違いがあります。しかも、なぜかトマスティックのほうがテンションが高い!

弦1本ごとのテンションの違い
Thomastik D’addario Elixir
.011(E) 9.00 8.90 9.07
.015(B) 9.3 9.29
.050(E) 10.6 9.58

ということは、トマスティックの弦セットの「テンションが低い印象」は、弦1本1本が他社製品よりもテンションが低いからではなく、3〜5弦に他社より細いゲージが使われているから、つまりバランスが工夫されているから、と言えるのでしょう。また「ダダリオのフラットワウンドは固い」と言い切ってしまうのも誤解を生みそうです。フラットの6弦、.050だけを見るとトマスティックより軽い数字なので。

調べてみて気づいたことのまとめ

  • 同じ太さのプレーン弦なら、メーカーが違ってもテンションは極端には違わない
  • 製法(プレーン・フラット・コーティング)が違うと同じ太さの弦でもテンションはだいぶ違ってくる
  • テンションが低い弦セットは、3〜6弦のゲージを落として合計テンションを低くしているらしい

調査後の感想

私自身、むかしトマスティックの弦をよく使っていました。特にフラットワウンドの.012〜のセット、JS112はフルアコでよく使いました。やはりダダリオの弦より押さえやすかった記憶があります。その後に好みが変わり、エリクサー・ナノウェブやダダリオ・ハーフラウンドの.011〜をフルアコでもセミアコでも使うことが多くなりました(フェンダースケールのギターでは.010〜を使ったりもします)。

現在愛用中のダダリオのハーフラウンド、EHR370(11-49)の合計テンションは53.7kgf。これはElixir Nanoweb Medium(11-49)の54.43kgfよりも低いんですね。どうりで弾きやすいわけだ… 参考までに、この2つの弦セットは、全ての弦が同じ太さです(.011 .014 .018 .028 .038 .049)。

弦の太さが同じなら、基本的には同じナット溝にはまってオクターブチューニングもほぼずれないので、フラット系の音とラウンドの音を気軽に切り替えられる意味でもこの2つは私にとって便利なセットです。

この記事を書いていて、トマスティックのフラット弦をまた使いたくなってきました。巻き弦の頭に赤い毛糸みたいなものがついていて、面白かったな…そういえばマイルス・オカザキはトマスティックの.014〜のフラット弦を使っているとインタビューで答えていたのですが、ぱっと調べた感じそういうセットはないので、トップだけBebopの.014〜のセットを混ぜているのかもしれません(追記:またはGB114というジョージ・ベンソン・モデルなのかも)。

各社の弦のテンションはこんな感じでネットで調べることができるので、自分好みのテンションを求めてブレンドしてみるのも面白いと思います。マイク・モレノは、メーカー不明ですが1〜3弦は.013〜のセット、4〜5弦は.011〜のセットをマルキオーネのセミアコに張っているそうです(ソース)。Gibson ES-335なら.012〜がちょうどいいが、マルキオーネはトップが.013〜が好みらしい。

ここ数年、細めの弦を使ってきているのですが、太い弦を張ったギターできっちりいい音を出す練習をやりたくなってきました。ピックギターでもいいかもしれない。マイルス・オカザキ、メアリー・ハルヴォーソンの演奏を聴いていると、なんというか「原始的ないい音」で心が揺れます。「太めのフラット弦」にちょっと回帰してみようかな…

Jazz meme #4 : リズムによる脳の活性化

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単純なリズムにも魅力はあるものの、脳の活性化を図るならシンコペーション。次にポリメーター。そしてマイルス・オカザキの世界へー

Jazz meme #4 : リズムによる脳の活性化

魅惑的なリズムに取り組んでいる限り、私達にボケの2文字はない。

Jazz meme #5 : スーパーインポーズによる脳の活性化

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基本をさんざんやった上で…その大切さを理解した上で言うが…CΔ7を見て、いつもCΔ7を弾く、というのは、もう飽きた…!つまらない…!C, E, G, Bの分散…アイオニアン…それは…退屈だ!脳が、働かない…そそられない…!

Jazz meme #5 : スーパーインポーズによる脳の活性化

なんとか脳が動き出すのは…11thテンションが入る頃から…これがもう…初期状態だと言っていい…何かをはじめるための…ごく当たり前の…スタートライン!繰り返すが…基本の大切さ、を理解した上での話だが…

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今度は13thテンションまで導入する…導入はする、が…GΔ9で考えるのは…あまりおもしろくない…ここは…マイナーペンタトニックという、それ自体独特な色を持ったものを、載せる!発想の転換…違うコンセプトのものを…持ってくる!ここでようやく…脳が真に創造的になり…光を放ちはじめる!

Jazz meme #5 : スーパーインポーズによる脳の活性化

ラーゲ・ルンドくらいのレベルになると…CΔ7を見て、EmΔ7さえ、想像できる…聴こえている…メジャーコードのアイデンティティを揺るがせかねない…増2度!D#!それはつまり…Eb…ハーモニック・マイナー…東洋との出会い…ゾーンへの突入…目指すべき領域は、ここ…!

Jazz meme #5 : スーパーインポーズによる脳の活性化

このミームはここで作りました。Jazz memeを作った方はJazz Guitar Forumに発表場所があるのでネタのご紹介、お待ちしています。

ジョン・スコフィールドと歌えないラインの魅力

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デンマーク出身で現在はオランダに活動拠点を置くギタリスト、イェンス・ラーセン氏。YouTubeに10分前後のレッスン動画を精力的にアップされていて、たまに見るのですが、最近ボイスリーディングの動画がありました。まずこの動画。ボイスリーディングの基本的な考え方、その拡張方法が説明されています。

あるコードからあるコードに移動する際、最短距離で滑らかに各声部を動かしていくことをボイスリーディングと言うのですが、様々なコード進行を練習しているうちにある程度の規則性があることがわかります。例えばIIm7としてのCm7コードの7度のBb音は、次にF7が来るとしたら3度であるAに降りる、といった具合。テンション入りの不完全ボイシングでやると面白い発見があるよ、というのが上の動画。

さてラーセン氏、上の動画の直後にジョン・スコフィールドのフレーズ分析動画を出されていました。パット・メセニーと共演した”I can see your home from here”というBbブルースでのフレーズを紹介しているのですが、これがためになる内容(4:45〜)。この2本の動画、氏の頭の中ではセットになっているのではと思いました。

上でも書いたように、Cm7の7度のBbから、普通はF7の3度であるAに移動するわけです。耳はそれを予感する。西洋音楽の歴史がそれを要求する。自然でなめらかなライン。でもジョンスコ先生、まさかの1オクターブ+増4度上のEへとジャンプ!ジャンプどころか、背負ったジェットエンジンが火を吹いて次の瞬間には空へ…みたいなレベルw

増4度というのは歌手にとって最も歌いにくい音程として有名らしいですが、それをさらに1オクターブ上へ!しかもF7でE音て何なんだ…学校ではドミナント上でそれ使ったら軽くビンタされる音じゃないのか…これはラーセン氏が言うようにブルーノートなのでしょう(Bb blues scaleで大きく考えているのかな。理屈はわからなくても、とにかくカッコいい)。

ジョン・スコフィールドのフレーズにはこういう「歌えない」もしくはとても歌いにくい、インターバルの大きいラインがたくさんあるのですが、なら彼のギターは歌っていないかというと、いやとんでもない、むしろ歌いまくりじゃないか、とみんな思うわけですよね。ここがジョン・スコフィールドの最大の謎であり、魅力の1つではないかとあらためて思いました。

以前、下の記事で「音楽は最終的には自然なものでなくてはならないんだ」というジョンスコ先生のお言葉をご紹介しました。普通のボイスリーディングを無視した大跳躍のあるラインは、ある意味で不自然極まりないのかもしれませんが、私達はあの大跳躍に手に汗握り、うおーっとなるわけですよね。

音楽は最終的には自然なものでなくてはならないんだ - John Scofield
ジョン・スコフィールドの興味深い洞察を紹介します。DVDのLive in Montreal (1992・海外版) にボーナス収録されている1...

なめらかなボイスリーディングは「普通の音の流れ」としてごくあたりまえに聞こえてこないといけない(そして何年もやっていれば聞こえてくる)ものだとは思うのですが、もしIIm7の7度からV7の3度へ移動することが、自分にとって気持ち良いものではないとしたら、気持ち良いと思えるものをやればいい。たとえそれが声では歌いにくい、あるいは歌えないものであっても。ある意味で、歌から逃れる。

それでいてジョン・スコフィールドの演奏にはなんともいえない自然な流れがあります。ボイスリーディングの普通のルールが破られても、音楽の流れは破られない。ボイスリーディングが生み出す自然な美しさとは別の次元に、新しい美しさを彼は描く。それがジョンスコの魅力。それをものすごい高みにまで持っていける。スコフィールド氏、唯一無二だな、と思います。

そういうことを考えさせてくれたイェンス・ラーセン氏に感謝。チャンネル登録されていない方は、是非。

スマホから逃げようとしても無駄だ。もう諦めろ!Fender Mustang GT 40

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練習前にスマホをマナーモードにするじゃないですか。電源を切ってしまえば、さらにいい。電源を切った上で引き出しの中に隠してしまえば、もっといい。

だがその瞬間はやってくる。

この曲、何かバッキングトラックでやってみよっか。よしiRealを…スマホで…

とか、

40bpm以下でメトロノーム鳴らしたいな。そうかあのアプリがあったっけ、スマホに…

とか、

このチェンジ、ピロンさんがすごい格好いいフレーズ弾いてたよなぁ、何だっけ、そうだYouTubeに…スマホを…

などということが起こり、気が付くとギターを置いてソファに深々と座って「ちょっと休憩しながらスマホでも見るか、ついでに炭酸水を…ヘヘへ…よしYouTube登録チャンネル巡りだ、スマホゲット・電源オン!かわいい動物動画を見まくるぞ…」というようなことが私以外にあなたの身にも起こってきたと思うのだが結局のところ我々にはもうスマホから逃れる術はないのかもしれない。

スマホなくして完結しないFender Mustang GT 40という最新鋭アンプ

Fender Mustang GT 40という最新鋭アンプを使いはじめました。詳細な感想は別途記事にする予定ですが、とりあえずこのアンプ、スマホがなくても使えなくはないですが、スマホとの併用が前提のアンプなのです。スマホとBluetoothで接続することでアンプの全てをコントロールできます。アンプはWi-Fiでネットワークに繋がり、単体でファームウェアをアップデートしたりトーンをゲットしたりします。

Fender Mustang GT 40

いわゆるデジタル・モデリングアンプで、’65 Twin Reverbといった歴史的名アンプのプリセットがたくさん入っています。スマホアプリで例えばトレブルのツマミを下げれば、アンプ本体の液晶パネルのツマミも同期してキューッと下がります。リモコンみたいな感じです。

iRealの音も、YouTubeの音も、Bluetoothでアンプに流すことができます。もはやスマホ三昧、スマホまみれなのであります。Jazz Guitar Forumのスレッドで3人使われている方がいて、読んでいたらいつの間にか買ってました。

もはやスマホから無理に逃れようとしても無駄なのです。むしろスマホの呪縛から真に解放されるためには、このスマホという娯楽の悪魔と徹底的に向き合う必要があるのではないか。逃げても無駄なら、付き合ってみる。さあスマホよ、煮るなり食うなり、好きにしろ!俺はもう、お前から逃げない!だからといって練習中にかわいい動物動画を見まくるようになると思ったら、大間違いだ。本当の俺を見せてやる。

って何の話を書いているのわからなくなってきましたが、いじっていて楽しいアンプです。弾く時間は、増えますね。しかしアンプに液晶画面があって、そこにSSIDがずらっと並んでいるのを見ると何とも不思議な気持ちになります。もはや我々は、スマホから、インターネッツから逃れることはできないのだ…コソ練中でさえも…

プリセットがFenderアンプ博物館みたいで楽しいです。しかしこの値段は凄まじく安い(まさかの2万円台)。このアンプはベストセラーになりそうな予感がします。

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情のトランプ、知のオバマ

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ドラマーのアントニオ・サンチェスが、9/11(アメリカ同時多発テロ事件)についてのドナルド・トランプとバラク・オバマ両氏のツイートを比較して、「同じ事柄に対する、微妙に違うアプローチ」(Slightly different approach to the same thing)と揶揄していました。メキシコ出身のサンチェス氏、トランプ大統領への憤りを一時たりとも隠しません。取り上げられていたのは、この2つのツイートの違い。

トランプ: 9/11から17年!

オバマ: 我々は9/11に失った1人1人を忘れまい、我々を安全にしてくれる第一応答者に感謝し、この国と、我々を1つに束ねる様々な理想とを擁護する人々全てに、敬意を払い続けるだろう。立ち直ろうとする我々の力と決意が克服できぬものなど何もない、そしていかなるテロ行為も我々を変えることなど決してできぬ。

ソウルの女王、アレサ・フランクリンが亡くなった際も、この2人のツイートが比較され大きく話題になりました。

トランプ: ソウルの女王、アレサ・フランクリンが、亡くなった。彼女は神から素晴らしい声を贈られた、グレートな女性だった。寂しくなるよ!

オバマ: アレサはアメリカン・エクスペリエンス(アメリカで生きること)の定義に貢献してくれた。彼女の声に、我々は自分達の歴史を、その全てを、あらゆる陰影 ー 我々の力と我々の苦痛、我々の闇と我々の光、我々の贖罪への模索と、我々が苦労の末に得た尊敬 ー の中で感じることができた。ソウルの女王が永遠の平和に休息されんことを。

語りのスタイルがまったく違う2人です。多くの人々は、世界的な不況も手伝ってか、辛抱強さを失い、簡潔で直接的なものを好むようになった。こういう長そうなブログ記事なども、冒頭に「ざっくり言うと」などといった親切な見出しを置いておかないと、読まれないことが多い。そういう状況では、トランプ氏を支持する人が多くてもあまり驚きません。

話が長いと、要点をまず言え、などと言われたりします。効率よくやれ。能書きはいい、結果を出せ。理想はいい、現実だ。細かい表現はいい、踊らせろ。3年後じゃない、今だ。

何か映画「バード」で見たビバップの衰退の時期を思い出します(チャーリー・パーカーがR&Bの台頭にガクッと肩を落としていた姿が目に浮かびます)。音楽における「感性と理論」の対立にも似ているような気がします。人々は、地道に何かを積み上げることに疲れているのか…

ドナルド・トランプのフレージングは、ぱっと見た感じ、ジム・ホールのそれに似ているような気もします。でもジム・ホールはオバマのように語ることもできる。それにトランプの語りは、大脳辺縁系を鷲掴みはするものの、美しさはない。わかりやすいけれど美しくはない。そこは大きい違い。

時々思うのですが、オバマ氏がドナルド・トランプ的なフレージングのスキルを獲得して(というか、既に持っているとは思うのですが)戦略的に使い分けられたら、かなり強力な大統領になれるんじゃないか。

その逆はどうだろう。トランプ大統領が、頭の中は今と同じままで、オバマ的なスタイルで語るようになったら。その時はかなりヤバい。そんな時が来たら、世界はガチで存亡の危機に瀕しているに違いない(既に瀕しているという話もありますが…)。

リツイート数だけ見ると、オバマ元大統領のツイートのほうが人気。でもかりにいま大統領選があってこの2人が戦うとしたら、どちらが勝つだろうか。私が米国人だったら、勿論オバマに投票するけれど、最終的にトランプが勝ってしまいそうな気がしています。この世界に希望は、明日はあるのかーー

レイクALSAのCMがいろいろと面白い

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レイクALSAという消費者金融のCMが流れるたびに、見入ってしまいます。4パターンほどあって、設定や演出がかなり凝っています。ウィリアム・ギブスンやフィリップ・K・ディックといったSF作家の世界を想起させます(映画「ブレードランナー」的な世界)。後半で聞こえる音楽のメロディーは、マイナーセブンスの分散だと思うのですが、シンプルで独特な寂しさがあっていいです。

「あ、新時代」という文字の後に続く、不気味な沈黙、その後に唐突に頭からはじまる4つ打ちのビートもいい。この沈黙にドキッとします。

上の女性が出てくるバージョンでは「開始します」と「レイクALSAが完了しました」というセリフが、台湾の観光名所のヘッドセットから聞こえてくる数十年前の日本語のようなイントネーションで、こういうレトロ感へのこだわりがすごい。最後の「レイクALSA」という文字は、恐らくこのロボットたちが起動した時のイメージなのだと思いますが、昔のテレビのブラウン管を想起させます。

(ブラウン管…もう知らない人もいる時代か…)

このCMは何か作品としていいなと思います。他の消費者金融のものより断然いい。ただ不思議なのが、もはや生身の人間は存在せず、電子化された人類の記憶を頼りにAIが人間的な環境を模倣・生産している感じの世界らしいのですが、こうした世界であってもなぜ人間の形状や顔にこだわるのか。カードなんかとっくにないだろうし、そもそもロボットは人型ではないような気も。などと想像力をかきたてられる内容です。

ギターを通していい人になる

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フェンダー・ジャパンは今年になってから日本でのマーケティングにかなり力を入れているらしく、日本の様々なギタリストをフィーチャーした動画を発表しています。この動画ではトモ藤田氏が登場。藤田氏がジョー・パスに大きい影響を受けたのは著書でも紹介されていてご存知の方も多いと思いますが、そのお話も少し聞くことができます。興味深い内容です。

この動画の最後のほうでトモ藤田氏、こんなことをおっしゃっていて、大変共感いたしました。

僕の、なんていうかその、目標は、もっとなんていうの、基礎的なことをやってもらって、で、ギターがもっと楽しくなる、で、楽しいから、やってたらもっと人間性が良くなる、辛抱強くなって、優しくなって、努力するようになるから、なんていうのかな、それが他の人にいい影響を与えるというか。なんで、僕は反対を言ったら、ギターを通して、いい人になってもらう。それがいちばんの目標やと思っています。

三年近く前に、このブログで似たようなテーマで記事を書いたことがあります。

良い練習を続けていると、良い人間になる
良い練習を続けていると、良い人間になる。そう私は思います。

やっぱりそうですよね。ジャズはとにかく辛抱強さが要求されるジャンルで、ギターという楽器もそうだと思います。そんなにすぐに色々なことが思い通りになったりしない。苦労する。だから他人の苦労もわかる。頑張って練習している人でイヤな奴に会うことは、ほとんどないです。これは何らかの訓練や、習い事をやっている人に共通していることだと思います。

トモ藤田氏の16年前のこの著書、読まれた方も多いと思います。私はDVD版を持っていますが、今はAmazon Prime Videoになっていました。

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こうして名著が廃盤にならないのはありがたいです。私はファンクやR&Bを通ってこなかったため、トモ藤田氏のビデオでカッティングを勉強したのは良い思い出です。

睡眠も大事な練習

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不眠症なのか練習時間に削られているのかは不明ですが、パット・メセニーはショートスリーパーだそうです。アインシュタインはロングスリーパーとして有名です。私は眠るのが大好きですが、ここ数年、入眠まで時間がかかるようになり、寝入っても3〜4時間くらいで目が覚めるようになってしまいました。

睡眠のあいだ脳は昼間のインプットを整理整頓し、しかるべき場所に格納する作業をしているわけで、その意味で睡眠は大事な練習の一部。睡眠の質が良くないと定着が悪くなるし、毎日ギターを練習している前提で言えば、うまくなるかならないかは「何晩よく眠ったか」による、とさえ言えると個人的には感じています。焦ってもはじまらない。毎日意識的な練習をして、何百晩か、よく寝る。それが大事。

記憶と定着という意味では、寝る前の練習に大きい効果があると感じています。朝起きてすぐは脳がカラカラに乾いているいい状態なので、植物が水を吸うように脳は新しいサウンドを吸収してくれます。だから朝は新しいインプットのために素晴らしい時間なのですが、夜は日中のあれこれのせいで脳はもう疲弊しているので、最後のひと押しで日中にやったことを復習して寝る。すると定着が早い。

しかし、ここで問題が。寝る前の練習のタイプによっては、交感神経が優位になってしまい、私は眠れなくなることがあるのです。ただでさえ加齢とともに睡眠時間が短くなってきているのに、入眠まで時間がかかると結構きつい。まぁ眠れない時はブログ記事の下書きを1つか2つ書いたりするのですが、すると余計に眠れなくなります。そこでYouTubeでかわいい動物動画の探索をはじめてしまい、気がつくと3時とか4時!

という悩みがあったのですが、最近「凄十マックスエナジー」という精力剤を飲むようになってからよく眠れるようになったのです、というのは嘘で、「グリシン」というものを飲むようになりました。アミノ酸の一種で、抑制性神経伝達物質だそうです(Wikipedia)。

睡眠も大事な練習

作用機序はよくわからないのですが、これは効く!寝ながら「うう、フェンダーのテレキャスターが欲しい…」といった妄言を口にすることもなくなり、わりとすぐに眠れるようになりました。睡眠時間の長さ自体は変わらないのですが、短くてもタイトに眠れる感じです。睡眠は量より質。あとはお酒を飲まない日のほうがやはりよく眠れます。平日は炭酸水にして、お酒は特別な機会のために取っておきます。

ギブソンの2019年モデルからフルアコが消滅

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ギブソンの2019年モデルからフルアコが消滅しています。米国公式サイトの”Product”タブから”Electric Guitars”, “Archtop”→”2019″とソートをかけていくと、空白に。今度は”ES”から”2019″とソートすると、ES-335が4本、ES-275が1本、ES-235というギターが1本現れます。

なんだ、小沼ようすけさんが愛用する名機の呼び声高いフルアコ・ES-275がまだあるじゃないか。と思ってスペックを見ると…

Gibson ES-275 Thinline 2019

Image from ES-275 Thinline 2019, Gibson.com

Featuring a thermally engineered chambered maple centerblock and thermally engineered quarter-sawn Adirondack spruce bracing, this guitar offers lightweight semi-hollowbody characteristics in a timeless archtop package.

センターブロック…セミホロウボディ…だと!? なんとあの名機ES-275がまさかのセミアコに変更…これは…ギブソンの日本サイトではどうなっているんだろう。

ギブソン・ジャズギターの新機軸として打ち出されたES-275が、センターブロック装備のセミホロー・シンボディとなり、リファインされました。ハイエンド・モデルのアポイントメントである、サーマリー・エンジニアド加工(木材の強度、弾性を高め、軽量化する熱処理による木材改質)とチェンバー構造のセンターブロック、同加工を施した高級トーンウッドのアディロンダック・スプルースのブレイシングで鳴りを高め、…

ああ…これは…やっちまったなぁ、という気がします。倒産のわかりやすい影響ではないでしょうか。高級フルアコの制作コストがセミアコのそれよりかかりそうなのは想像に難くありません。だいぶ前にフルアコ職人が大量解雇されたという話もあります。これは…これまでにES-275を買われた方、貴重なものですから、大切になすってください(開運!なんでも鑑定団の中島誠之助風に)。

このES-235という新型ギターも、フルアコではなくセミアコのようです。見た感じ、ホロウボディのES-135を思わせるデザインなので期待しましたが、やはり。

ES-235 Ebony 2019

Image from ES-235 Ebony, Gibson.com

これから中古市場でギブソンのアーチトップ、ホロウボディモデルの人気が高くなりそうな気もします。ES-175さえ2019年モデルにはラインナップされていません。L-5のような高級ラインも当然ありません。ジャズギターの歴史の一部が消えていくようで、ちょっと寂しいですね。

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