ここ数年、いちばん愛用しているピックは自作です。自作というか、ゼロから作るのではなく、既存のピックを改造して使っています。なぜそんなことをしているかというと、自分が理想とするピックは市販品として流通していないからです。
これが現在、私が愛用しているピックです。D’Andrea Pro Plec PRO-351という既成品(写真右下)をベースにしています。厚みは1.5mmですが、縦の長さは大体20〜22mmになるように削っています。
ちなみにJim Dunlop JAZZ IIIシリーズが実測で縦25mm、BlueChip BC JAZZ 60が24mmくらいなので、このピックはそれらより2まわりくらい小さい感じです。
自分が求めているピックがどんなものかは具体的にイメージできています。ピックの形状による音色や弾きやすさの違いは下の記事でも触れましたが、私はダンドレア351の音色が好きだということがわかっていました。同時に、351は自分にはでかすぎることもわかっていました。大きさはJAZZ IIIくらいがいい。
しかしダンドレアにはJAZZ IIIくらいの大きさのティアドロップがラインナップされていません。この時、私は悟ったのでした。そうか、ならばつくればよいのだ、と。
右側のダンドレア351を、左側の大きさくらいまで削ります。これはやや使い古いした個体ですが、新たに「改造ピック」を作る時、過去に作ったこれらの個体を「型」として利用します。
まず下のように、新品のダンドレア351の上に、「型」を重ねます。そしてはみだした部分を、ハサミでカットします。ジョキッ。というか、バチン!
左側もバチン。この時点でひし形のような形状に。
上辺もカットします。全部で3回、ハサミを入れます。左側にある「型」に大きさが近づいてきました。右側にあるのはカット前のダンドレア351。
このまま使ってもいいのかもしれませんが、私は指にあたる部分はなめらかなほうが好みなので、ヤスリで削ることにしました。まずこういう金属製のヤスリでガリガリ削ります。
ダンドレア351はそれほど硬い材質ではないので、ガリガリというより、ゾリゾリ、という感じで簡単に削れてくれます。力は要りません。むしろ削りすぎに注意が必要な感じです。右側の部分をまるく削った様子。
左側も同じようにまるく削ります。大体できました! この後、エッジが気になる個体はさらに目の細かい紙ヤスリで切断面を軽く磨きます。
手間暇かけて作ったピックなので、専用ケースに大事に保管します(笑)。使う時はこの中から使用頻度が少なそうな個体を選び、ローテーションして使います。どれも同じ摩耗具合にしたいからです。1回の作業で10枚くらいまとめて作ります。年に1〜2回。これが私の普段使いのピック。気分に応じてBlueChipとかJAZZ IIIとかDAVAとか色んなピックを使いますが、いまのメインはこれ!
さて、先日とある親切な方が、ダンドレアからJAZZ IIIシェイプのピックが出てるよ! と教えてくださいました。これは朗報! もしそうなら、もうピックを改造する必要はないかもしれない…と思い、買ってみました。D’Andrea Pro Plec PRO-651。下の写真の真ん中のピックがそれです。
で、実際どうだったかというと、写真で見てもわかるように、私の自作ピックよりだいぶ大きかったんです。351よりは小さいですが、縦の長さが27mm弱。JAZZ IIIよりもひとまわり大きいくらいなのです。弾いてみても、私には質量が大きくて速く弾く時にひっかかりを感じます。そんなわけで、自分にとって理想のピックは、まだ売られていないのでした。
理想のピックがなかったら、自分でつくればいいじゃない。