マイルス・オカザキがギター1本でセロニアス・モンクの楽曲70曲を演奏している音源が先の8月に出ました。”Work (Complete, Volumes 1-6) – The Complete compositions of Theloniuos Monk”というタイトルで、bandcampから購入可能です。28ドル、日本円で3200円ほど。主要なクレジットカードかPayPalアカウントを持っていれば購入・ダウンロードできます(CD等のメディア販売なし)。
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最高かよ。マイルス・オカザキというギタリストがさらに好きになりました。私にとってセロニアス・モンクは10代の頃にいちばん聴いていたピアニストだったこともあり、自分にとっては決定的に大事な人です。ここ数年、スティーブ・カーディナスの”Thelonious Monk Fake Book”を頼りに、モンクの曲をソロギターで弾いて楽しんだりしていました。このアートワークもいいなぁ…
モンクの曲はギターではなかなか再現が難しい部分もあるのですが、それもギターで可能な表現に置き換えて色々実験していると、音楽的な喜びがあるのは勿論、テクニック的にかなり挑戦的なものに遭遇するので(特にリズム!!)、勉強にもなるのです。なので、マイルス・オカザキ氏がモンクの70曲をソロギターで録音したと知った時には飛びつきました。
これはすごい。何よりもまず「リズム・ギタリスト」を自称するマイルス・オカザキの真骨頂というのもあります。そしてギターでどんな表現が可能かという指標になります。何曲か既に自分でソロギターで弾いていた曲などを聴くと衝撃を受けました(このブログでモンクの曲のギターアレンジ譜を載せようとよく思ったのですが著作権の問題で諦めたことが多かった…)。
セロニアス・モンクの音楽が好きな人で、なおかつギタリストなら絶対に聴かなければならない音源です。昔なら3枚組みCDとかになるボリュームですが、これが28ドルはあまりに安い。これ全部録るのにどのくらい時間かかったんだろう。むかしジョー・パスの”Virtuoso”を聴いて感動した、ジョナサン・クライスバーグの”One”もすごく好きだった、などという方には激しくオススメできます。生々しい…
技術的にも1つ上のレベルに行きたいという人にもいいはず。超絶技巧的な部分も、あるにはあるけれど、それよりもデッドな音でソリッドかつタイトにいい音をいい場所で弾くっていうのはこういうことなんだよ、ということを学べるアルバム。これ、こっそり聴きはじめたほうがいいですよ。これは本物の音楽。聴いたか聴かなかったかで「ギター基礎体力」が違ってくるような作品。
やっぱりね。ギター1本、アンプにシールド直結でこういうふうに弾けないと。ちょうどこの記事を書いている時期、マイルス・オカザキ氏はライブで中央ヨーロッパを訪問中ですが、共演はメアリー・ハルヴァーソン。ハルヴァーソン氏とオカザキ氏の組み合わせ、すごくいいだろうと気が、このアルバムを聴いていて、しました。あんたら結婚してもいいんじゃないの、と思うくらい相性が良い。
あとモンクの曲を自分なりにソロギターで弾いてみたいという方にはこの本がとにかくオススメ。スティーブ・カーディナスの”Thelonious Monk Fake Book”。もう誰でも持っているかもしれないけど、モンクの音源を聴いて、これを読む。ギターで全部は弾けないとしても大事な音が書かれているんです。モンクの曲に関してはどれも「黒本」より断然深い。メチャいい本です。