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シェイプの研究(伍)ロメイン・ピロン様の場合

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最近「シェイプの研究」というテーマでシリーズ記事を書いていますが(理論カテゴリーにあります)、個性的なボイスを持つフランスのスーパーギタリスト、ロメイン・ピロン氏がこれに近いコンセプトで、もっとずっと高度なことをされている動画が3日前にアップされていました。

まず下準備として、Major 9thコードから3度の音を抜いたもの(omit 3)をDrop 2で弾きます。普通の「Drop 2のMajor 7thコード」を弾ける方は、コード中の3度を2度に下げる、という考えがわかりやすいと思います。4つの転回形を1234弦、2345弦で練習します(余裕があれば3456弦も)。

ピロン氏がやられているのは、この「Maj9(omit3)」というコードだけで「枯葉」を弾くというアプローチ。スーパーインポーズの1種です。コードの転回形があるのためシェイプは1つではないのですが、「同じインターバルとその転回形」で全部弾くという意味で、「シェイプの追求の拡張版」とも言えるでしょう。インターバリック・ストラクチャーの1種とも言えそうです。

この動画のタイトルは”One chord – Many Colors”(ひとつのコード、たくさんの色)となっており、基本的な考え方は下の記事で紹介した内容と似ています。

シェイプの研究(壱)それだけでジャズブルースをコンプできるあいつの件
ギターはシェイプに縛られた楽器である、と言われることがあります。音型を視覚的に把握しやすいというメリットはあるものの、その視覚性に縛られるあ...

結果は大体下のような感じに。私達の知っている枯葉とはもう全く違うサウンドですね。Am7(b5)でb5の音が聞こえずナチュラル9thが聞こえたり、Gmに6が入っていないともう「あの枯葉」には聞こえません。でもこういう実験ができるのが枯葉というシンプルな曲の魅力。なんとも夢幻・幽玄的なサウンドですね(そういえばベン・モンダーに”Yugen”という曲があったような…)

EbΔ9(omit 3) over Cm7 = Cm9(11)
GbΔ9(omit 3) over F7 = F7(b9, #9, b13)
FΔ9(omit 3) over BbΔ7 = BbΔ9(#11, 13)
BbΔ9(omit 3) over EbΔ7 = EbΔ9(#11)

CΔ7(omit 3) over Am7(b5) = Am9(11)
EbΔ7(omit 3) over D7 = D7(b9, #9, b13)
BbΔ9(omit 3) over Gm7 = Gm9
AbΔ9(omit 3) over G7 = G7(b9, #9, b13)

ところでロメイン・ピロン氏、メインギターはヴィクター・ベイカーなのですが、この動画ではどこかで見たようなギターを使用されていますね。生徒さんの持ち物をちょっと借りているらしいですが、渋谷からパリにワープしたような不思議な気持ちになりました(笑)。

ロメイン・ピロン氏には以前、当ブログでインタビューさせていただいたことがあります。大変ためになる内容なので、未読の方はぜひご一読ください。

ロメイン・ピロン(Romain Pilon) インタビュー
このところ急激にファンが増えているフランス出身のギタリスト、ロメイン・ピロン(Romain Pilon)氏。氏に関する情報が少ないこともあり...

ピロン氏の最新アルバム”Copper”はAmazon Music Unlimitedの他、CDも発売中です。素晴らしいですよ。おすすめです。メセニー、ラーゲ・ルンド、マイク・モレノあたりが好きな方にはたまらないと思います。

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