練習中は「考える」作業が多くなることがあります。考えるというからには、言語で、言葉で考えます。コピーしたフレーズの、この音のつながりは何だろう、とか、それをこのポジションで弾くとしたらこの運指のほうがスムーズだな、とか。このパターンは他のコードの上でもサウンドするんじゃないか、等々。
そういうことを(私は)練習中によくやるのですが、ではその反対の状態というのは、何だろう。
ブルース・リーの有名な言葉に、”Don’t think. Feel!”(考えるな。感じろ!)というのがあり、恐らくその「感じる」が正解なのだと思いますが、少し抽象的な感じがします。もっと具体的に、何を感じるのか?
答えは端的に「聴く」ではないか、と最近あらためて思ったのでした。「考える」の反対は「聴く」。頭の中の音を聴く。聴き取る。言語的思考は捨て、何が鳴っているか、鳴ろうとしているのか、集中して聴き取る。自分の頭の中の音だけでなく、「場」で発生しつつある音の総体を聴き取る。
お前はいまさら何を当たり前のことを言っているんだ、と言われそうですが、もう何十年も生きてきて、真に学ぶべきこと、気付くべきことは既に一通りは通過してきているに違いなく、これからはそれらの理解をより深いものにする、新たに気付きなおしてみる、というサイクルに入ったのかなという気がします。
そういう理解っていくらでも深くなると思うんですよね。そして何かが上手になるということは、その理解が深まるということではないかと思います。もう何回でも同じものに取り組む。すると何か別のことに気付くことがあります。このブログでも、同じようなテーマに何度となく戻ってきて、その都度自分では新しい発見があることに気付きました。
というわけで、そうか、「考える」の反対は「聴く」だな、へ〜、でもまぁ、そうだよね…などと、一人で勝手に納得したりしているのでした。