GuitarThaiが2017年1月にアップしたマイク・モレノとのロングインタビュー。その中で彼は「テンポの速い曲の時、どうやってリラックスしていますか」と聞かれるのですが、これに対する回答も「おっ、そういう話になるのか」と意外な展開を見せる内容だったのでご紹介します(7:22〜)。
ギターは音を出すために、強く弾く必要がある楽器じゃないんだ。ソフトに弾いてもいい音を出せる。(演奏デモ。エコノミー・スウィープを取り入れたピッキングで)
多くの人が本当に強くピッキングする、速いテンポで弾く時、こんな風に弾くだろう(実演。抑揚のないフルピッキング)。僕にはこういうサウンドはいつもひどいものに感じられる。
どうやってこういうふうに(ソフトに)弾けるかがわかってしまえば、何もかもがリラックスした状態になる。だからアップテンポの曲でも、耳がちゃんと追いついて聞こえてさえいれば身体はその速度に反応する。手は関係ない。耳なんだ。
マイク・モレノは独特のスウィープ・ピッキングをするのですが(その詳細な方法は教則動画で解説されています)、これはサックス的な流れるようなアーティキュレーションを実現するために彼にとっては絶対に必要なテクニックだったようです。この「流れるような」ピッキングスタイルは、すなわちリラックス状態と直結したものであり、それを体得していればテンポが速くなったからといって妙に力む必要がない、という話なのでしょう。
もともとのプレイスタイルが、リラックスしたものである。それを体得してしまえば、あとは「聞こえていれば」弾ける。モレノ氏は教則動画の中でも、「本当に頭の中で聞こえているなら、身体は自然とそれをやるようになる」と語っていました。手をどう動かすか、どう脱力するかという話ではない。その前の「どう聞こえているか」が大事。
手をどう動かすかではない。ちゃんと聞け。そうすれば手が自然とそれを再現するようになる、ということでしょうか。ちょっとカンフーの先生みたいで面白いですね。モレノ氏のインタビューは、何を聞かれても「そもそも話の前提が違う」という感じです。本当に普通の人ではありません。