右手のテクニックについてアドバイスを下さい、とMusicradarの読者にインタビューで聞かれたジョン・マクラフリンは、次のような興味深い回答をしています。
右手のテクニックか。本質的に、2つの異なるアプローチがある。1つは、右手を支えるアプローチ。もう1つは、右手を支えないアプローチだ。私はブリッジの低音側で右手を支える流派なんだが、少し浮いている感じではあるんだ。自分に合った方法を見つけないといけない。ピッキングの仕方のせいでひきつりを起こすようになった生徒もいたからね。
リラックスしないといけない。それと同時に、ある程度の緊張も持つ必要がある。音はアタックしないといけない、だが攻撃的にではなく。ピックを使って、音を引っぱり出すんだ。バランスを取る練習をすること。右手はフラフラしていないが固く静止した状態でもないような、ミドル・スポットを見つける必要がある。
パット・マルティーノと並ぶフルピッキング原理主義者のような人のアドバイスなので、大変参考になります。脱力と同時にある程度のテンションも維持し、バランスの取れた中間地点を見つける、というアドバイス。イメージはできるのですが、その状態を長時間持続させるのはなかなか簡単なことではありませんよね。
楽器や奏法は異なりますが、マクラフリンの先生でもあったラヴィ・シャンカールのシタール演奏をあらためて見ると、音の「引っぱり出し方」がマクラフリンそっくりに思えました。
ジョン・マクラフリンはインドで長年修行していたせいか、東洋哲学や禅のような矛盾を孕んだおもしろい洞察を口にすることが多く、インタビューなどは読んでいると大変参考なります。「音はアタックしないといけない、だが攻撃的にではなく。」といった表現も、わかる〜! という感じですね。