近代フランスの作曲家エリック・サティ。「ジムノペディ」が有名ですが、同じくらい有名な「グノシエンヌ(Gnossienne)」という組曲(1890)があります。むかしよくテレビでも流れたのでご存知の方も多いはず。
下はGnossienne No.3の演奏。何を考えて作曲しているのかさっぱりわかりませんが、聴きこんでいると不思議と瞑想的な精神状態というか、頭が空になっていくような気がします。サティの音楽は、巨視的にはモーダルなのかもしれませんが、微妙に機能感もあるのが面白いです。
このGnossienne No.3で使われているスケールを、YouTubeの”Jazz Duets“というチャンネルが解説していました(このチャンネル、かなりためになる内容が多くオススメです)。
解説によるとこれは6音から成るスケールで、マイナー・トライアドと全音上のメジャー・トライアドの組み合わせ、と考えると覚えやすそうです。1, 2, b3, #4, 5, 6 という並び順。Cを基音にするなら、CmとDのトライアド。コードネームで言うと、Cm6(9)#11という感じでしょうか。謎です。マイナー・シックスの拡張的なものとしてポケットに入れておくと面白そうです。
ジャズでもやっている人がいました。フラメンコ風味。シモ・テバール(Ximo Tebar)というスペインのギタリストらしい。
音使いは同じではないのですが、ジョン・ゾーンの音楽に近くなってきているような気が…
ハーモニック・マイナーとの関係も考えてみたのですが、どうもこじつけになりそうでした。これはやはりサティ独自の合成スケール、「グノシエンヌ・スケール」と呼ぶしかないものでしょうか。19世紀西欧の東洋趣味、シノワズリーも関係があるのかもしれませんが、それだけでは説明がつかない不思議な感じがします。合理的な説明を拒否している感じがまたサティっぽい。