2016年3月に公開されたBOSSchannelの動画で、マイク・スターンが少しマイルスのことを話しています(0:12〜)。NYで骨折する4ヶ月前ほど前でしょうか。
マイルスは僕にロックを求めていたんだ、彼は僕がビバップのラインを弾くのが好きだったんだけど、ひと捻りしてロックっぽくしてほしかったんだ、彼はジミ・ヘンドリックスが好きで、ウェス・モンゴメリーのことはあまり語らなかった。
「Yeah…ウェスはクールだった…だが、ジミだ…」
不思議だけれど、それがマイルスの好みだった。だってさ、ウェスを嫌いになれる人なんかいやしないだろう、ウェスはいつだって僕のお気に入りなんだ。
マイク・スターンの魅力を端的に現している言葉だな、と思いました。ウェス+ジミ+マイルス=スターン。ビバップ、ロック、そして融合による革新。
そしてマイクは「音色」について次のように語っています(1:30〜)。ここでも彼はとても良い言葉を残してくれているように思いました。
僕にとって音色(トーン)とは、クリエイティビティの邪魔をせず、かつそれを強化し、僕をインスパイアしてくれるものだ。それは音楽の基礎 (the bottom line with music) であり、僕がいつも言っているように、心の言語なんだ。それは当たり前のことだと思うし、どんなギターやアンプやエフェクターであれ…役に立つならそれらを使って、自分の心をプレイするんだ。
“it’s a language of the heart, as I always say.” 「僕がいつも言うように、トーンは心の言語なんだ」。これがマイクにとってかなり大事な言葉らしいですね。すごく良い言葉だと思いました。
ちょっと前に「人は見た目が9割」という言葉が流行ったと思うのですが、「プレイヤーは音色が9割」とも言えるのではないでしょうか。トーンに魅力がなかったら、次の約束もデートも何もないんじゃないか。
ギタリストは、そして恐らくピアニストもそうだと思うのですが、管楽器奏者のようにロングトーン練習をすることはまずないと思います。セッションに行って同じピアノから最高のトーンが聞こえてくることもあるし、これは同じ楽器なのかという音が聞こえてくることもあります。楽器以前、フレーズ以前にこだわるべきものがある。それが音色、トーンということなのでしょう。
BOSSのエフェクターの宣伝動画でこういうことを語るマイク・スターン、そしてBOSSという会社もそうですが、みんな誠実な人たちだな、と思いました。
なおマイクのお気に入りのBOSSペダルはDD-3とDS-1だそうです。これらを最初に使って、以後ずっと使い続けているそうです。