Quantcast
Channel: Jazz Guitar Blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

生き残るために工夫する雑誌 ギター・マガジン5月号がすごい

$
0
0

Guitar Magazineの2018年5月号を買いました。「ニッポンのジャズ」という特集が全体の3分の2くらいを占めています。これ、「Jazz Japan」とかじゃないんですよ。ギター・マガジンなのです。普段ならクラプトンや布袋寅泰や斉藤和義やジミヘンが表紙になるような、ロック・ポップ寄りのギターの雑誌なのです。

生き残るために工夫する雑誌 ギター・マガジン5月号がすごい

今号に限ったことではなく、Guitar Magazineは最近こういうムック的な特集をやっています。Electro-Harmonixの”Big Muff”というエフェクターだけで特集を組んだり、ジャズ・ファンクの特集を組んだり。これまで通りの、毎月こういう記事が◯ページあって、インタビューが◯ページがあって、ライブレポートが◯ページあって、新機材紹介が◯ページあって…という「テンプレート」を捨てたかのような紙面作り。

ジャンルを問わず雑誌の売り上げがずっと低迷しているわけで、各出版社・編集部は生き残りをかけた工夫をしていると思います。そのひとつの回答がこれ、Guitar Magazineのスタイル。たぶんこれは成功しているんじゃないでしょうか。こういう特集をするとかなり売れると聞きます。実際、私はこれ買いました。Jazz Lifeの5月号は買わなかったのに。

雑誌で今までもったいないなと思っていたのが、紙媒体オンリーだと増版が効かなかったり、絶版になるとそれで終わりじゃないですか。でも最近のギタマガは電子版(Kindle版)も出しているので、半永久的に手に入るんですよ。これはいいなと思います。読者にとっても、出版社にとってもいい。掲載している譜面の著作権や広告の問題で難しいこともあるようですが…

さて今回の「ニッポンのジャズ」特集、すごいです。大友良英氏のインタビューとか素晴らしい。師匠のお葬式でそんなことされるって何があったんだよ… とか、高柳氏から受け継いだES-175の写真とか、かなりガチな歴史的資料。

Jazz Guitar Bookでいつも読み応えのある記事を書いて下さっている久保木靖氏の文章や、石沢巧治氏による採譜もあります。超ハイクオリティなのです。和田陽介さん率いるLibstemsのピアニスト・沢田俊祐氏のお父様、沢田駿吾氏のお話。角田孝、高柳昌行、中牟礼貞則氏のお話…ガッツリ読めます。まぁよく調べたなぁと。「ジャズ批評」掲載の高柳氏の批評とかこんなにひどかった(笑)のかとコーヒー吹きました。

中牟礼さん曰く、日本でジム・ホールの人気がないのが不思議らしいです。ただこのブログで去年人気投票をやった時、彼はダントツのトップだったのでした。

いまレスペクトされている海外ジャズ系ギタリスト(2017)・投票結果発表
2017年2月17〜25日の1週間、当ブログを読んで下さっている皆様にレスペクトしているジャズ系ギタリストをお伺いしました。435名もの方々...

思うに、ジム・ホールは聴くのは好きだけれど、ジム・ホールのようなスタイルで、つまりリックではなくモチーフ展開を、伝統的なスタイルの洗練よりも音響的な発見に重きを置くようなスタイルは「手っ取り早くジャズギターを楽しみたい」という層には難易度が高いせいか、そういう意味ではよりわかりやすいグラント・グリーンやパット・マルティーノのようなスタイルが好まれるのかな、などと思ったりしました。

さて、この記事で最後に書いておきたいことがあります。それは最近のJazz Lifeです。もうずっとお世話になってきました。大学生の頃から読んできました。サキソフォンの三木俊雄氏、太田剣氏の連載とかずっと楽しみで読んでました。今でも楽しみにしている特集はあります。

でも最近は、正直「こんなに薄くなったのか。この薄さで950円か」と思うようになりました。そして内容は、必ずしも悪くはないとしても、上で紹介したギタマガが捨てはじめた「テンプレート」に沿った構成です。イントロ・ABAA’・エンディング。そんな感じ。

このジャンルの存続を望むファンならつべこべ言わず買い支えたまえ、という声もあるかもしれません。でもそうしたからといって、このままの紙面作りではいわゆるジリ貧というやつで、そう遠くないであろう廃刊の運命を先送りにするだけでしょう。Jazz Lifeが生き残りをかけるのなら、ギタマガのような工夫が必要じゃないのかな…(もしかして普通に売れているようであれば、余計なお世話ですが)

Jazz LifeはKindle版がないんですよ。様々な事情があるのだと思いますが、せっかくのコンテンツも雑誌が売り切れればアクセスできなくなり、その雑誌も割高になってきた。あまり良い方向じゃないような気がします。小さいジャンルだし、人口も多くはないようだし、ゆるやかに消失する以外の選択肢はないのだろうか。電子版があればだいぶ違うような気がするのですが、どうなんですかね。

ギター・マガジン 2018年5月号
リットーミュージック (2018-04-13)

ところで私はKindle本を読むのにFire HD8を愛用しています。タブレットとしてはiPadよりも利便性は劣ると思うのですが、amazonのコンテンツ(プライム・ビデオやKindle本)を楽しむ場合はかなり便利で、オススメです。過去にレビューを書いたので宜しければご一読下さい。

動画を見る用に入手したFire HD 8 タブレットが思いのほか便利
主にギターの教則動画を寝ながら見るためにFire HD8タブレットを買いました。iPhoneでは画面が小さすぎる。型落ちのiPadだと重すぎ...

Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>