Musicradarが伝えるところによると、ドイツのトロニカル社がギブソン社に5000万ドルの賠償金を求めて提訴しようとしている模様です(ソース)。
このトロニカルという会社はギブソンの(大変不評だった)G-Forceという自動チューニングシステム(かつてはMin-ETuneとも呼ばれていた)を開発・ライセンス供給していた企業。この自動チューニングシステムについては独占的な権利を有していると主張しています。
トロニカル社はギブソンとの契約上、2300万ドルのライセンス料を得られるはずであると主張。またギブソン社との独占的R&D(研究開発)契約が破棄されたことによる損害2700万ドル、合計5000万ドル(本記事執筆時点のレートで54億円相当)の賠償金を要求したい考え。
G-Forceは2015年、ギブソンの様々なモデルに搭載されたものの「こんなもんいらねーよ!!」という声が大きく、現在ではほとんど姿を消しています。ギブソン社からすると、ユーザーが歓迎しないシステムはやめてしまいたい。トロニカル社からすると、話が違う。ということなのでしょう(両社は2026年まで研究開発を共同で行う契約を結んでいた模様)。
ギブソンは既に5億2000万ドルもの負債の返済に迫られているため、この追加の5,000万ドルの支払いを命じられた場合かなりきついはず。契約書の中身を見ないと何とも言えませんが、仮にギブソン社が一方的な契約不履行をしていた場合は相当の痛手になるでしょう。
ちなみにジャズ・ギタリストではカート・ローゼンウィンケルがトロニカル・チューンの愛用者です。私も実際に彼のライブで、曲と曲のあいだでトロニカル・チューンを便利そうに使うカートの姿を見ました(武蔵野スイングホールだったかな?)。セット内でチューニングが異なるギターを必要とする曲がある場合、ボタン1発で調弦してくれるこのシステム、カートはかなり気に入っていたようです。
しかし、一般受けはあまり良くなかったようですね。