アメリカのYouTuberにリック・ビアートという面白い方がいて、たまにチェックしているのですが、だいぶ前の”The SECRETS of the Lydian #9 Mode – The Undiscovered Scale!”という動画を発見しました。このスケール、個人的にとても好きなのですが日本語で紹介しているサイトが何故かほとんどありません。
このスケールはハーモニック・マイナーの第6モードで、私は”Lydian #2″という名前で覚えています。これはややこしいところがあって、下の記事で紹介した「ハーモニック・メジャー」というスケールに出てくる”Lydian b3″とは音の並びが違うので注意が必要です。
さらにちょっと似ているのに「Lydian ♯2 ♯6」と呼ばれているものがあります。併せて考察すると効率的かもしれません。
このLydian #2というスケール、何が特徴かというとやはり#2。Lydianなのに#2。メジャーなのに#2なのです。例えばCΔ7コードの上でEmΔ7のアルペジオを弾いてみます。これはC Lydian #2と E harmonic minorの関係ですが、長三度のEと短三度のD#が混在しています。マイナーとメジャーのミックス。ラーゲ・ルンドを思わせるサウンドですね。
マイナーとメジャーのミックスと言えば、私達がすぐに思い浮かべるのはブルースでしょうか。のX7(#9)というやつ。ジミヘンコード。マイナーかメジャーか、という西洋的な二元論を超えた感じの、フレキシブルでいい加減で神秘的なスケールですが、このLydian #2というのもそんな感じのヘンなスケール。
メジャーコード上でリディアン(#11)やオーグメント(#5)を使うのはもはや常套手段で、現代ジャズに慣れている方にとってはさほど目新しいサウンドではないかもしれませんが、このLydian #2はもうちょっと新しいサウンドかなと思います。
上のリック・ビアート氏の動画では最初のトライアドだけでも3つ登場しています(彼のトライアドの作り方はダイアトニックの3度積みでなくちょっと特殊なのですが)が、このスケールの理解のための好材料かもしれません。サウンドパレットを拡げるアイデアとして興味深い動画でした。
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