音楽理論解説が面白いアメリカのベーシストYouTuber、アダム・ニーリー氏。視聴者から「インストゥルメンタル・メタルのスコアを書いたんだけど、プロの意見を聞きたい」とアドバイスを求められ、「このEb11は僕だったら変えるかも」と回答しています(6:05〜)。この曲はFm11ではじまっているのですが、途中Eb11というコードが登場するのです。
ニーリー氏は「一般的には(common practice)これは美しくない、でもやりたいことはわかるから単に3度で積むんじゃなくてボイシングをこう変えたらどうかな」とテンションを内声に移動するアイデアを紹介した上で、「これは僕の個人的な意見だから眉唾物として受け止めてくれ。最終的に君が本当にこのEb11が好きなら、それを信じて使うといい」とアドバイスしています。
これはすごく真っ当で良い回答だと思いました。一般的にこれはこういうふうに受け止められるだろう、でもそれを本当に使いたかったら使うべき、と。この動画のタイトルは「Please don’t use Eb11 chords! (そのEb11は使わないで!)」ですが、動画の中では「使うな!」と言っているわけではないんですよね。
ここで面白い出来事が発生します。この動画のコメント欄にマルチ・インストゥルメンタリストのジェイコブ・コリアーが登場。それに対してニーリー氏もコメント。こんな感じです。
Jacob Collier
– Freakin’ love Eb11.(Eb11、俺は最高に好き)Adam Neely
– f*** you.(く◯ばれ)
いやー面白いですねー(笑)。この後コメント欄には「俺もEb11は好きだ、この動画はスノッブでダメだ」等の「ドミナント11th擁護派」が続出します。でも、ニーリー氏は別にこのEb11がダメだと言っているわけではなく、使い方を気をつけようねと言っているだけで、ジェイコブ・コリアーのコメントはちょっと意地悪かなと個人的には思いました。
もしかするとジェイコブ・コリアーは「微妙に荒れる」のを見越してわざとこういうコメントをしたのかもしれません。ニーリー氏のファック・ユーが冗談なのか本気なのかはやや不明です(笑)。
でもコリアーのコメントはちょっとマウンティングっぽいかなぁ。俺はもっと自由だ、みたいな。でもEb11がダメなんだという内容ではないし、質問者によるそのEb11の用法は私の耳にもそんなにサウンド・グッドには聞こえないし、アドバイスを求められたら当然そこは指摘するところでしょう。コリアーさん、動画見ずにコメントしたのではないかと推測します。