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ロメイン・ピロン(Romain Pilon) インタビュー

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このところ急激にファンが増えているフランス出身のギタリスト、ロメイン・ピロン(Romain Pilon)氏。氏に関する情報が少ないこともあり、Jazz Guitar Blogがインタビューを申し込んだところ快く応じて下さいました。スケールの大きいリリシズムあふれるメロディを現代的なアプローチで紡いでいくピロン氏はどんなことを考えているギタリストなのか。過去の影響や即興演奏時の意識、私達ギタリストへのアドバイス、来年春に発表予定の新作について等々、大変貴重なお話をお聞きすることができました!

Fred Pasqua, Romain PIlon, Yoni Zelnik, Walter Smith III and Ben Wendel – Photo © Pauline Pénicaud
Fred Pasqua, Romain PIlon, Yoni Zelnik, Walter Smith III and Ben Wendel – Photo © Pauline Pénicaud
 

AC/CDやガンズ・アンド・ローゼスが好きだった。15歳でジャズに感染

JGB: あなたに影響を与えた音楽を教えていただけますか。ギターはどのようにはじめたのか、ジャズとの出会い、どんなギタリストやプレイヤーを聴いてこられたのか…

RP: 僕がギターをはじめたのは10歳の時。AC/CDやガンズ・アンド・ローゼスとかが好きだったからなんだ。その後にブルースを発見した。ロベン・フォードやスティーヴィー・レイ・ヴォーンといったギタリストたちだね。そこからゆっくりとジョン・スコフィールドやパット・メセニーを聴くようになったんだ…15歳の頃で、ジャズのウィルスに感染してしまったんだ!

すっかりコルトレーンやマイルス・デイヴィス、ハービー・ハンコックに恋してしまった。パット・マルティーノやウェス・モンゴメリー、ジム・ホール、ジョージ・ベンソン、ジミー・レイニーをよく聴いた。あとビリー・ビーンの大ファンなんだ…

勿論、僕の世代の多くの人達と同様、バークリーで学んでいる時は一時期、ピーター・バーンスタインやカート・ローゼンウィンケルの音楽に取り憑かれていた。その後ニューヨークに移ってからはマイク・モレノやラーゲ・ルンドを可能な限り聴きに行くようにしていたよ。今でも彼等の音楽をよく聴くし、インスピレーションをもらっているよ!

JGB: あなたにとって重要なアルバムを何枚か挙げていただくとしたら、何でしょう? ジャズでもジャズ以外でも。

RP: ジャズ以外の音源だと、レッド・ツェッペリンの「聖なる館」、ホセ・ゴンザレスの「ヴェニア」、ニール・ヤングの「ハーヴェスト」、エリス・レジーナ&トム・ジョビンの「エリス&トム」、ミッドレイクの「ザ・トライアルズ・オブ・ヴァン・アキュパンサー」は一時期そればかり聴いていたよ。

ソロがストーリーを語ってくれるように、シェイプやロジックに気を配っている

JGB: 即興中はどんなことに注意を払っていますか?

RP: 多くのいろんなことさ! まず曲のフォームとメロディを心の中でキープする。そしてリズム・セクションで何が起きているかを集中して聴くようにして、それとインタラクトする。彼等に合わせたり、反対のことをするとか。自分のソロのシェイプも意識するようにするよ、ダイナミクスや、密度、ムードといった点でどの地点から開始するかとか、何処に着地するのか、ということを意識する。ソロが展開するにつれて良いシェイプやロジックを持つように気を配るんだ。別の言い方をすると、ソロがストーリーを語るようにしていくんだ。

JGB: 作曲はどんな感じでやられているんでしょうか。どんな時に作曲したくなるんでしょうか。

RP: 大体いつもスタジオを予約して、ミュージシャンを手配してから書きはじめるんだ。なぜか僕にはそれがいちばん良い、どうも締切日みたいな何らかのプレッシャーを感じる必要があるみたいなんだ。あと心の中でレコード全体のイメージを持ちたいというのもある、バランス良いアルバムにするためにどんなムードやテンポ、フィール、カラーが必要なんだろう、とかね。作曲はギターで下書きして、メロディを声で歌ってそのあとコンピューターで仕上げる。ライブで試す前にドラムを入れたりしてね。

作曲は僕にとって即興演奏と同じように自分自身を表現するためのベストな方法だ。どのアルバムも僕の人生の1チャプターみたいなもの。そして完全なミュージシャン、アーティストになるためには、作曲しなければならないとずっと感じてきた。結果が良くても悪くてもね。少なくとも試してみることだね!

自分のテイストや個性を信頼して、頭の中のその音を勇気を出して追求することが大切だ

JGB: おすすめの練習方法を教えてください。あと日本の若いジャズ・ギタリストへメッセージをいただけませんか。

RP: 辛抱強くあること、そして集中すること!

僕は大体、6ヶ月程度にわたって3つか4つの課題を練習することにしている。6ヶ月経ってそれができたと思ったら、他の課題に取り組みはじめるんだ。1日中練習するのはある時点では良いことだけれど、とても集中して3〜4時間練習することのほうがたぶんもっと効果的だよ!

僕はギターを手に取る時、改善しないといけない要素に集中する。言い換えれば、自分の弱点に集中する。指に馴染ませたいものや、頭の中で鳴っているギターのサウンドやフレージングなど、自分が求めているものにもね。自分の弱点に直面するのは重要なことだ。でも自分のテイストや個性を信頼して、頭の中のその音を勇気を出して追求することも大事だと思う。ある時期は模倣でもいいけれど、その後は自分の頭の中のそれを追求すること!

あとは好奇心を持って、様々なスタイルをたくさん聴くことだね。YouTubeにある曲の2分間だけ聴くとかじゃなく、レコード全体を聴くこと!名盤にどっぷり浸かって聴くこと!

JGB: 愛用のギターやアンプ、弦、ピック、エフェクターのことなどを教えていただけますか?

RP: 友達から買った中古のヴィクター・ベイカーを弾いているよ。15インチのモデルだよ。大体80年代製のオールド・ポリトーンに繋いでいる。ピックはダダリオのPro Plec。エフェクターは、この方面ではあまり独自なことはやってないけれど、Strymon El Capitan, Bluesky, Riversideを使っている。広いレンジのサウンドを得るのに良い組み合わせだよ。あとEarthQuakerのエフェクターも好きで使ってきた。たとえばThe Palisadesはすごくいい歪みだ。弦はしょっちゅう変えるんだけど、最近はトマスティックの.013からのラウンド・ワウンドを使っている。

ロメイン・ピロン(Romain Pilon) インタビュー
 

パリは生活と音楽のバランスが取れた街

JGB: パリに拠点を置かれていますが、ジャズ・ミュージシャンとしてパリはどんな街だと感じますか?

RP: パリは勿論美しい街だけれど、ヨーロッパの様々な国から多くのミュージシャンが来ているから、その意味でも良いところだよ。様々な人々や文化のミックスがあって、そこからインスピレーションを得られるんだ。音楽学校がたくさんあって、毎年若いミュージシャンがやってくるのを目にするし、彼等のレベルはどんどん良くなってきているね。勿論ニューヨークみたいな感じではないけれど、パリは高い生活レベルと重要なジャズ・シーン、両方のバランスが取れているんだ。

新作”Copper”はシーマス・ブレイクが参加

JGB: 日本で演奏される予定はありますか? また次の大きいプロジェクトがあれば教えてください!

RP: いつか日本には行きたいね、まだ行ったことがないんだ! サイドマンとして行ったこともない。近い将来行けるといいね。次の大きいプロジェクトは、”Copper”という僕のアルバム。これは完全なエレクトリック・アルバムで、シンセベース、フェンダー・ローズ、ピアノ、ドラムといった編成なんだけど、テナー・サックスのシーマス・ブレイクもフィーチャーしているんだ。僕がこれまで録音してきたどの作品とも違うものに仕上がったよ。僕のジャズ以外の影響が反映されている。とてもよく仕上がったと思う、いい感じのエネルギーがある。こういう変わった楽器編成のために作曲するのは新鮮だった。2〜3ヶ月後に出るのが楽しみだよ! jazz&peopleというレーベルから2018年の1月にリリースされる予定さ。

ロメイン・ピロン(Romain Pilon) インタビュー

 
ロメイン・ピロン(Romain Pilon) プロフィール

フランス・グルノーブル生まれ。1997年シャンベリのジャズ・コンセルヴァトワールにて様々な個人レッスンを受けた後、奨学金を得てバークリー音楽大学に進学。ミック・グッドリック、ハル・クルック、デイヴ・サントロ、ジョー・ロヴァーノ、ピーター・バーンスタインらと4年間学ぶ。ボストン時代はウォルター・スミスIII世をフィーチャーするクリスチャン・スコットのデビューCDで演奏。

以後ニューヨークに拠点を移しフェレンク・ネメス、リオネル・ルエケ、シーマス・ブレイク、マット・ブリュワー、カルロス・ヘンリケス等と共演。初リーダー作は2012年の”Ny3″。現在まで他に”Colorfield”(2013)や、サックスにウォルター・スミスIII世とベン・ウェンデルを迎えた”Magic Eye”(2015)などのリーダーアルバムを発表している。

現在はパリ在住。YouTubeにて有益なミニレッスン動画を多数公開しており、Skypeでのレッスンも行っている。今年後半から来年夏頃までフランス・ドイツ・アメリカ・ニュージーランド・マルタなどで公演し、来春には新作”Copper”をjazz&peopleからリリース予定。


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