パーカー・マイルスの名曲”Donna Lee”のテーマはテクニックを向上させる上でとても良いフレーズが満載だと思うのですが、高速で弾くのはどうも苦手という方も多いと思います。今回は先日下の記事で紹介した「スプリント練習」を使って実際にDonna Leeのテーマを高速で弾けるようになるための練習法を書いてみたいと思います。
まず”Donna Lee”の下の部分を征服したいとします(倍速で記述してあります。譜面は拡大できます)。ポジションはお好みで。3連符の箇所、私は1回プリングを使います。
これは長いですよね。いきなりこの長い部分を繰り返す練習をしてもあまり効果は上がらないと思います。
下のEx-2では最初の5音を切り出しています。最初の4音をひたすらループするのも効果的だとは思いますが、5音にしてあえて休符を入れて終わらせます。短距離スプリントみたいにします。耐久走ではなく、短距離の無酸素運動のイメージ。
できるようになったら、次の5音グループ(Ex-3)をやります。小指スタートで弦移動もあるこのEx-3のほうが私にはEx-2より難しいので、これはさっきより多めに頑張ります。小さい部分に切り出すことで、自分の指の動きが良くないところが判明します。弱点が分かったらこっちのもの。あとはひたすら気合い入れてやるだけです。格闘家が正拳突きをやる感じで5音目に「ハーッ」と叫んでみましょう(私は叫びません)。
5音くらいの部分が弾けるように思えてきたら、2つの部分を結合して弾きます(Ex-4)。そしてだんだん大きくしていきます(Ex-5)。この積み重ねで最終的にDonna Leeのテーマ全体を高速で弾けるように練習します。
「スプリント練習」の記事にあるように、メトロノームで速度を調整します。現在の自分の限界が150bpmだとしたら、しばらく170bpmで挑戦します。最初は全く無理だと思えても、5分や10分やっていると意外に「もしかして…全く無理というわけではないかも…」と思えてきます。そして粗はあっても、だいぶ弾けてくるはず。
170bpmできれいに弾けるようになるのは、でもまだだいぶ先のことかもしれないな。そう思えてもOK。何故ならこの時、150bpmに戻ればだいぶ余裕が生まれているからです。それは自分の限界値が上がったことを意味します。これの積み重ねで、少しづつ自分の速さを上げていけると思います。
ゆっくりした練習を繰り返すのもかなり良い練習だと思うのですが、自分の限界値を上げるにはこうやって脳を追い込むのが効果的だと思います。私もテクニックを向上させたいのでこれからもこういう練習を続けていくつもりです。
この練習は無駄になることがまずないところが気に入っています。仕事で疲れていて脳が知的活動を拒否しているような時でもできる練習で、やっているうちにアドレナリンが出て元気が出たりもします(笑)。もし試してみて面白いと思われたら、是非教えてくださいね。
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