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カート・ローゼンウィンケル、エリック・クラプトンを語る

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2013年4月、カート・ローゼンウィンケルはマジソン・スクエア・ガーデンで開催された「クロスロード・ギター・フェスティバル」でエリック・クラプトンと初共演。その後昨年リリースされた最新作”Caipi”でも共演することになりましたが、カートがクラプトンとの出会いなどをあれこれ語っているインタビュー(2015)を発見。大体次のようなことを言っています。

影響としてのエリック

僕はずっとクリームが大好きだった – “Strange Brew”がお気に入りの曲だったんだ! 僕はロックが好きだし、個人的にクリームとエリックはロックの革新者だったと思う – 彼等がいなければレッド・ツェッペリンも、ザ・フーも、ストーンズも、キンクスも存在しなかっただろうね…

エリックとの出会い

彼の知人が電話をくれて、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードにラス・ティテルマンと一緒に会いに来てくれたんだ。会ってみると彼はスーパークールで本当にフレンドリーだった。それから連絡を取り合うようになって、ネットで音楽を交換するようになった。ある日iTunesからエリックのお気入りの曲が40曲もギフトとして届いて、僕も同じように音楽を贈った。彼がくれた曲の中にはものすごいお宝があって、カーティス・メイフィールドの”Let’s Not Forget”とペギー・リーの”The Folks Who Live On The Hill”の2曲は本当にヘビーローテションで聴いたよ。僕は彼に、ビリー・ホリデイの曲を贈った。”Deep Song”と”Crazy He Calls Me”が入っているあのデッカのアルバムとか、リー・コニッツとマイルス・デイヴィス、ソニー・ロリンズの”Deep Cuts”(コンピレーション)とか。

クロスロード・ギター・フェスティバル

ある日エリックがクロスロードに出てみる気はあるかって聞いてきたんだ。エリックのクールなところは、音楽を分かち合おうという熱い気持ちが感じられるところ。名声を活用して自分が好きなものに多くの人が熱狂するように仕向けるところ。ブルース全体のために舞台を提供することもあれば、僕みたいな誰だかわからないような人にも場を提供してくれる。

僕はマジソン・スクエア・ガーデンで演奏したことはなかったし、行ったこともなかった。あの場所で僕のどんな曲が合うのか、時間をかけて視覚化し、想像した。選んだ曲はこれでいいと思ったし、ワクワクした。あの日はクレイジーなことがあくさんあって、怖気づいたりナーバスになったりもしたけれど、そんなことで時間を無駄にしたくなかったし、楽しもうって思ったんだ。

エリックは僕に、誰とプレイしたいかって聞いた。それで「僕はあなたと演奏したい、あとジェフ・ベック!」って言ったんだけど、ジェフは僕のことを知らなくて、「何を演奏する、チャーリー・パーカーか?」って言われた(笑)。パーカーの曲をやるのは大歓迎だったけれど、最終的に彼は自分のステージはシンプルなものにしたいという風になったから、僕はアラン・ホールズワースはどうかって言った。ホールズワースのことは前から知っていたし、ライブにも何度も通っていたからね。一緒に演奏したことは一度もなかったからスリル満点だった。

エリックからプレゼントされたフェンダー・ストラトキャスターについて

長いあいだずっとストラトキャスターを弾いてみようかなって思ってたんだけど、僕のギターとは全く違う楽器だし、そのうち見つけよう、と後回しにしていた。そのことをエリックに話したら「この俺のギター使ってみなよ、どう思う?」。翌日エリックから「フェラーリ・グレーとポルシェ・グリーンのどっちがいい?」というテキストメッセージが来て、な、なんだと!? ってビックリした。どうもエリックは新車を買うたびにそのクルマの色をフェンダーに送ってその色のギターを作ってもらうことがあるみたいだね。

それで僕はサイトで色を調べて、フェラーリ色にしてもらった。後日マジソン・スクウェア・ガーデンでそのギターをくれた。特別な瞬間だった、彼はそのギターにサインしてくれたよ。

*****

この日カートは”Big Road Blues”でクランプトンと共演。何とも独特な雰囲気です。アウェイ感が半端ないのですが、人は自分の言葉でしか語れないのだし、語るべき、だからこれでいいのだ、と思いました。結果が微妙だったとしても。ブルースって何だろう、ジャズって何だろう、と考えさせられる演奏です。

カートはこのフェスティバルでアラン・ホールズワースとも共演しています。でもなぜかホールズワース絡みのこの日の演奏は「クロスロード・ギター・フェスティヴァル2013」のDVDやCDには収録されていないようですね。この演奏もいろいろ考えさせられます。特に聴衆の静けさが不思議な感じ。完全にアウェイな2人。でもこういう場をセットアップしたクラプトン、器が大きいなぁ、と思いました。

曲はカートの”Star of Jupiter”収録の”Gamma Band”ですが、ホールズワースのイントロはサウンドチェックだったという噂もあります(直前にエフェクター回りのトラブルがあったとの話あり)。

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