ぼくはジャズギ・タブログ、1997年からやってきたタイムスクープハンターだ。20年後の現在、2017年のジャズ状況を調査しにやってきた。この時代、人々はどんなジャズを演奏するのか。ジャズ語はどのように進化したのか。それを調べにやってきたのだ。
とりあえずはセッションだ。適当な店にぼくは入り、ギター・ベース・ドラムの3人と一緒にボサノバを演奏した。ぼくもギターだ。ベースとドラムはセッションホストでおじさんだが、ギターはまだ大学生だという。しかし彼の演奏は何かおかしい。極端に音数が少ないのだ。
バース交換でも、たとえばぼくがこんなフレーズを弾くとする。
すると彼はこんなふうに応えるのだ。
ぼくがこんなふうに弾くとする。
すると彼はこんなふうに弾く。
ぼくはなんだか腹が立ってきた。演奏が終わってからその大学生にの首根っこをつかんで、ぼくは怒鳴った。
「もっと真面目にやれ!」
大学生は言った。
「りょ」
りょ? 意味がわからない。こいつはふざけているのか。ぼくはもう一度怒鳴った。
「真面目にやれって言ってるんだ、わかったか!」
「じゅ」
後でわかったことだが、その大学生は特に不真面目な男ではなかったようだ。その証拠に、彼は逆循環進行におけるコモントーンを把握していたし、コード進行を通じて半音で上昇するラインも感じ取っていたのだ。
2017年では、どうやらあらゆるメッセージが省略されているらしい。あーね。とりま、ここで調査を終了する。