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ジャズギター診療所にて vol.1

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ぼくはとても調子が悪い。どんなに頑張っても、アドリブがジャズっぽくならないのだ。

このままでは死んでしまうので、ぼくは「ジャズギター診療所」に行った。亜波黒先生という、立派なカイゼル髭を生やしたおじいさんが一人でやっている、町に一軒だけの小さな診療所だ。

「ふむ。アドリブがジャズっぽくならない、というのだね?」
「そうなんです」
「おかしいな。『コードトーン』と『スケール』は服用しているということは、別の原因がありそうだ。ちょっと弾いてみてくれるかな」

少し恥ずかしかったけれど、ぼくは抱えてきたギターで、弾けるものを弾いてみた。

「なるほどわかった!」と亜波黒先生。
「きみに足りないものは『クロマチック』だ。『クロマチック』を処方しよう。これできっと良くなるはずだ」
「ありがとうございます! ところで先生、どのタイミングで服用すれば良いのでしょう?」

「そうだな」と亜波黒先生は立派なカイゼル髭をいじりながら言った。

「服用タイミングは、最終的には人それぞれなんだが、とりあえず1時と7時の間、6時と5時の間、4時と2時の間を試してみなさい。4時と2時の間というのは、まあ、11時と9時の間と同じことなんだがね」

『クロマチック』を服用するようになってから、ぼくのアドリブは前よりジャズっぽくなった、と友達に言われるようになった。亜波黒先生どうもありがとう。


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