Quantcast
Channel: Jazz Guitar Blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

近現代音楽に学ぶ (7):アルバン・ベルク

$
0
0

全俺クラシックピアノ曲ヒットチャートにおいてアルバン・ベルクのピアノソナタ作品1(Sonate für Klavier, op.1)は長年不動の1位の座を占めてきました。今でもこの曲は人類が調性音楽の領域で残した最も美しい作品のひとつだと思っています。ブレンデル、高橋悠治さん、色々な人の録音を聴いて、どれも良かったけれどグールド様の演奏も素晴らしい。

そして何とこの難曲をクラシックギター用にアレンジして弾いている人を発見。Jorge Caballero(ホルヘ・カバレロ)というペルーのギタリストで、衝撃を受けました。この曲、ギター2本にアレンジした演奏は聴いたことがあるのですが、彼のソロギターによる演奏のほうが作品の本質に迫っているように感じました。何なんだこの超絶技巧と理解力は…

アルバン・ベルクのピアノソナタ作品1は彼が師匠シェーンベルクのもとでの修行を終え、12音技法での作曲期に入る前の1908年に作曲されたもので、トーナルセンターはBm。単一楽章形式のソナタで冒頭の3音が主要なモチーフになっています。ひとつのアイデアを全域に拡張しているような曲です。

近現代音楽に学ぶ (7):アルバン・ベルク

110年も前に1人の人間がこれほどの精神の高みに到達していたというのに、人類は未だにミサイル飛ばすぞとかアメリカ・ファーストとかアウフヘーベンとか一緒にお泊りしたけど何もやってないとか言っている。この110年は何だったんだ。人類は1ミリも進歩していないじゃないか。ついでに言うと私も人として全然進歩してないな…他人様のことなど何も言えぬ。

いや、でもそういう人類の愚かさとか、何も期待通りには行かない苦悩とか、人間や世界の儚さとか、全部ベルクのこの曲が吸い取って浄化してくれそうな気がします。それくらい底なしの美しさを持った音楽です。ベルクの曲は後年の抒情組曲や遺作のヴァイオリン協奏曲も好きですが、このピアノソナタ作品1には私の中では及びません。

作品番号1がこれって、どんな人だったんだ…


Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

Trending Articles