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夕食会のために銀の食器を磨く

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Greg Fishmanというアメリカのサキソフォン奏者がいます。有名な方なのかどうか知らないのですが、この方のフレーズ集と英文のエッセイを持っています(サックス的表現にはやはり興味があるので色々チェックしています。いつか記事で触れたいと思いますが、サックス奏者の方のライブにもよく行きます。誰にも会わないけど…)。

エッセイは“The Lobster Theory: (And Other Analogies for Jazz Improvisation) “という「譬え話」の本なのですが、”Polishing the Silver”(「銀を磨く」)という印象深いチャプターがありました。私たちは毎日同じコードのアルペジオを練習したりするけれど、それは銀の食器を磨くようなものだ、というお話です。

シルバーの指輪などをお持ちの方は容易に想像できると思うのですが、銀製品は使っていないとすぐに黒ずんできますよね。不思議なことに毎日身に着けていればそうでもないのですが、使わずにしまっておくと酸化して黒ずんできます。

夕食会を開くとして、いろいろな友達がやってくる。彼等のために銀のフォークやナイフを準備しておかないといけない。引き出しを開けてみる。すると全部真っ黒!みたいなことがないように、私たちは日々、F#Maj7だのEbm7だのC#7だのを練習しておかないとね、と、そういう話です。

その夕食会には、コード3つのブルースがやってくるかもしれない。3つ程度の食器ならなんとかきれいな状態で用意できる。では循環の曲がやって来たらどうだろう?すぐ出せますか? なかなか説得力のある譬え話です。日本語だと「棚卸し」という言葉が近いでしょうか。

自分が習得した全てを毎日全部チェックする時間はないとしても、定期的に「あれはできるかな」とチェックするのは大事ですよね。これも不思議なことですが、例えば三ヶ月ほど死ぬほど練習して身体に入ったものは、ちょっと復習するとすぐに取り戻せたりします。誰でも”Donna Lee”を練習するけれど、自分のドナリーを維持するために毎日永遠に練習する時間も必要もない。でも時々磨かないと。というあたり前のお話。

久しぶりにセッションに行くと、「あっ!!」と思わされる時があります。やばい、俺はこの曲のこのセクションで、真っ黒なフォークしか出せない… セッションはそういう確認が出来る場でもありますね。

私の場合で言うと、すぐ黒くなっちゃうのはディミニッシュ系かな(笑)。そんなにしょっちゅう使わないし、曲の中で使っても頻度的にはメジャーやマイナーやドミナントにははるかに及ばないし、1度も使わずに1日を終えることも珍しくありません。こういうものはすぐに黒ずんできますね。磨けば光るならまだ良いのですが、炭化して使い物にならないよう気を付けたいところです。たまにしか使わなくても、使う時は最高の切れ味で使いたい。

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