2017年6月7日〜11日にかけ、ブルーノート東京でマリア・シュナイダー・オーケストラの来日公演がありました。皆さんは観に行かれましたでしょうか。私はここ数年間自分にとって最も重要なギタリストであるベン・モンダーの姿を見るために、だいぶ前から予約を入れてこのライブに臨みました。
6月7日の公演の一部が早速YouTubeにアップされています。
私は勿論、生で観ました。ベン・モンダー本人を至近距離で見ることもできました(通路でちょっとすれ違ったりもしましたw)。背が高かったですね。バンドメンバーの中で最も長身だったと思います。
今回ベン・モンダーはマリア・シュナイダー・オーケストラの一員としての来日であり、本人は「仕事人」に徹している印象がありました。その様は本当に誠実で心に残るものがありました。
開演までまだ20分もあるのに、ただ一人ベン・モンダーだけがステージに現れ、「予習」をしていたのです。そんな人、ブルーノートやコットンクラブで見た事は過去にありません。
その時の彼はいつものヨレヨレのパーカーを着ていました(そして恐らくその下には、ヨレヨレのいつものTシャツを着ていたのだと思います。こうしたファッションは現代のニューヨーク・ジャズ・ミュージシャンにとっての「サードウェーブ・ファッション」なのだ、という話も耳にします)。ギターを抱え、譜面をめくりながら本当に「予習」していました。
俺はこの人のためになら死ねる、と改めて思ったのでした(※別に死ぬ必要はないw)。
そしてライブ開始。現れたベン・モンダーは、驚いたことにヨレヨレのパーカーではなく、ちょっと立派な襟付きのシャツを着ていました。こんなどうでも良さそうなことにも全私が感動。多分本人はヨレヨレのTシャツが好きなんだろうけど、仕事人としてこのシャツを着たのだろう、と思ったのです。
1曲目はいきなりベン・モンダーの長いフリー・ソロをフィーチャーした曲で、私などには本当にたまらない選曲でした。しかしそれよりもまず、13人もの管楽器奏者がいるバンドを聴く機会というのはそうそうなく、とにかくこのアンサンブルの力、マリア・シュナイダーのオーケストレーションの妙を堪能することができました。
指揮者としてのマリア・シュナイダーもすごく良かった。強いグルーヴと、プレイされるべき音を強烈にイメージしていることが感じられる指揮でした。マリア・シュナイダーのリズム感覚、この人がどういうグルーヴを身体の中に持っているのかが伝わってきました。
作曲家としても面白い人だなと思いました。”Migration”という、鳥が南半球から北半球へと旅することがテーマの曲が演奏されたのですが、「この場面では是非こういう情景をイメージして聴いて下さい」という本人による曲の解説があり、楽しく聴くことができました。ダニー・マッキャスリンのプレイも良かったなー。
ゲイリー・ヴェルサーチが弾くアコーディオンからはパタパタという指ノイズが聴こえてくるのですが、それも良かった。
本当に楽しめた公演でした。たしか1時間30分以上の長丁場だったと思います。ちなみにベン・モンダーの使用機材や会場の様子など、写真をJazz Guitar Forumのこのスレッドにアップしてあります。登録メンバーの方、お時間のある時に是非ご覧いただければ幸いです。