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種を蒔いて育てるということ

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よく「狩猟と農耕」という便利な二項対立で文化が語られることがあると思います。鳥とか猪をハントして喰らう文化と、土に種を植えて、育てて、実を喰らう文化。

音楽を学ぶことに限ったことではないと思うのですが、何か新しいことをはじめようとする時、「ハントする」ような気持ちではまずうまく行かないことが多いように感じます。でも人はどうしても早く「成果」が欲しいから、ハンターのように焦ってしまう。あれが欲しい。Bang! ゲットした。羽根をむしって、さばいて、焼いて喰らう。

でも何らかの音楽スキルがそんな感じで得られたことは、私の場合ですが、一度もありませんでした(才能のある人は違うのかもしれない)。どんな些細なことも、そんな簡単には運ばなかった。狩猟的な態度ではなく、むしろ農耕的な態度で取り組んではじめて、かなり長い時間を経た後に少しだけ何か得られたという気がします。取り組んだ翌日とか、翌週とかに、一応芽は出る。でも収穫できる実がなるのはもっと先。というか結実しないこともたまにある。

主要スケールの全てで4度積みボイシングを完璧にマスターするぞ!と思っても、そんなもの1日2日で身に付くわけがない。種を植えて、毎日水をやって、光をあてて、雨風から守って、枯れないように育てないといけない。勿論、過保護にしても枯れてしまう。いろいろな意味で大事に育てないといけない。The right thing at the right time.

抗生物質と化学肥料を与えると早く育つかもしれない。でも基本は有機。昨日、3ヶ月くらい前から取り組んでいるあるコンセプトで、少しだけ自分らしくアドリブできるようになりました。人前でそれを使えるようになるには、あと3ヶ月はかかると思います。でもそれが苦しいとは全く思いません。愛情を持って育てる。愛情なく育てても、良い結果にはならない。


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