株式会社チブソンジャパンは2月25日、一般社団法人日本ジャズ著作権協会(JAZZRAC)の新演奏権料徴収システムに対応したセミアコースティック・ギター、Chibson ES-335JRを発表した。テールピース下部のJAZZRACロゴが特徴。発売予定日は2027年3月1日、メーカー希望小売価格は335,000円(税込)。
Photo by Federico.Gallerani / CC BY-SA 3.0, remixed for critical purpose by Jazz Guitar Blog.
ブリッジ下部に独自開発のピエゾ式ピックアップを搭載。演奏データをMIDI信号化し、リアルタイムでライブハウスの専用アクセスポイントにWi-FiまたはBluetoothで送信する仕組み。専用APからはJAZZRACの専用サーバへ専用線経由でデータが送信される。これにより全てのジャズ系ギタリスト個人が直接JAZZRACに楽曲使用料を支払うことが可能になる。聴衆数は内蔵Webカメラにより自動算定が可能だ。
ボディにはAIによる「演奏解析モジュール」を内蔵。弾かれたフレーズがJAZZRAC管理楽曲の一部でないか、引用の範囲を越えていないかをリアルタイム解析。転調やリズミック・ディスプレイスメント、メロディの逆行や反行といった高度な脱法行為にもきめ細やかに対応する。このギターを使用することによりジャズ系ギタリストは、演奏後にJAZZRAC管理楽曲をどの程度使用したかを自己申告する面倒な作業から解放される。セッションを楽しむアマチュア・ギタリストにとっては朗報だ。
2027年3月1日施行の新JAZZRAC法では、JAZZRACマークが刻印または印字されていない楽器の公的空間での使用が一切禁止される。違反者にはAKB48の音楽を最高級ノイズキャンセリングヘッドフォンで24時間聴き続ける3年間の懲役が課されるため事実上の死刑適用と言って良い。ジャズ系ミュージシャンはギタリストに限らず今後このJAZZRACマークの付いた楽器の使用を義務付けられる。
Cibson ES-335JRは演奏が4分59秒を超えそうになると自動的に全ての弦が切断される「エコノミーモード」を搭載。経済的に余裕がないギタリストの演奏活動を支援する便利機能となっている。またJAZZRAC管理のどの楽曲にも似ていない演奏を心がけても統計的に一定の類似性が認められると自動的に課金される仕組みとなっており、申告漏れによる冤罪を防ぐ。なお類似性算定アルゴリズムは公開されていない。
搭載されている演奏解析モジュールはマイナンバー制度にも対応。本機購入時にマイナンバーを提出すれば楽曲使用料を銀行口座またはクレジットカードから自動引落しができるだけでなく「やよいの赤色申告クラウド」ともデータを連携できる。また楽曲使用量に応じてポイントが貯まり、円天Eddieカードなどでコンビニで買い物ができる。
なおJAZZRACはこうした「完全従量制」以外にも、JAZZRAC管理楽曲を好きなだけ演奏しても毎月一定金額での利用が可能になる「包括契約コース」を準備。使用楽曲数・フレーズ類似量・聴衆数に応じて、5,000円/月、10,000円/月、20,000円/月の中から選択可能。聴衆の多い公的空間での演奏機会が多いプロ・ギタリストにとってリーズナブルな価格設定となっている。購入時に従量制か包括契約を選べるが、JAZZRACは包括契約を推奨している。
包括契約によって徴収されたJAZZRAC管理楽曲使用料の著作権者への分配方式は明らかにされていない。
新潮社 (2017-02-24)
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