セッションではピアニストやギタリスト等のコード楽器プレイヤーがイントロを弾く場合が多いですが、学生の頃はこのイントロというものを不思議に思ったのを覚えています。というのも私が聴いていたジャズの音源では、イントロのない演奏、いきなりカウントインではじまる演奏のほうが多かったからです。
またピアニストはイントロを弾くことがあっても、ジャズ・ギタリストはそれほどはイントロを弾かない。パット・マルティーノなどを聴いていても、やはりあまりイントロを弾かない。学生時代の私は、先輩ギタリストたちがどんな曲でも自在にイントロを繰り出せるのを不思議に思ったのでした。どうやって学んだのだろう、と。
イントロ練習は百利あって一害なし
先輩たちの演奏を聴いているとイントロにも大体パターンがあって、曲の最後の8小節くらいかな、循環で8小節とか弾けばいいのかな、とわかってきます。でもピアニストが上手にイントロを弾けるのは当然としても、かなり凝った華麗なイントロを弾けるギターの先輩がいたりする。小さい対位旋律とかペダルポイントを使ったものとか。
多分私が知らない「奥深きイントロの世界」のようなものがあって、どうも先輩たちはそれを知っているらしい。その後教えてもらったのが「イントロ&エンディングの技法」という本。ギタリスト加藤泉氏の著書で、潮先郁男先生が監修の超有名な本。何年もジャズギターに取り組んでいる人なら多分知らない人はいない本でしょう。
この黒い本には先輩たちが弾いているようなカッコ良くて華麗なイントロ例がたくさん詰まっていたのでした。みんなこれから学び、改造したりしている。この本はハーモニーの解説が充実している点も素晴らしく、なんだ、みんな澄ました顔でイントロ出しているけど、こういう本でこっそり練習していたのか、と感心した思い出が。
この本、いま調べるとamazonでは売っていないですね。絶版だとしたら勿体無い。最近は「ジャズギターイントロ虎の巻」という池元隆通氏の著書がジャズギターでのイントロ本としては有名らしいです。こちらは和声的な解説はほとんどないのですが、百科事典的に大量のイントロが掲載されていてこれもとても便利な本です。
イントロは弾きたがらない人も多いと思うのですが、いずれバラードなどでは弾かないわけにはいかなくなりますし、取り組むと良いことが多いと思います。運指が難しいので入門者にとってはチャーリー・パーカーのテーマと同様、テクニック・ビルダーになると思います。音楽的な充実感も大きい。
代理コードも多いのでハーモニーの理解も進む。コードソロを弾くことにもつながっていく。ソロギターも上手になる。そして作曲の入口にもなる。イントロ練習は百利あって一害なし、と私は思うのであります。
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