Quantcast
Channel: Jazz Guitar Blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

rabbitoo, or another shape of jazz to come

$
0
0

「ジャズ」や「ジャズギター」とはほとんど関係ないかもしれないのですが、個人的にハマっているあるバンドのことを書いてみたいと思います。ギタリストの市野元彦氏を中心に2010年に結成された “rabbitoo”(ラビット)という不思議なバンドです。

構成メンバーは(敬称略)市野元彦 (Guitar) 藤原大輔 (Sax) 田中徳崇 (Drums) 千葉広樹 (Bass) 佐藤浩一(Key)。日本のジャズシーンで大活躍されている方ばかりです。これまでに2枚のCDがリリースされています。デビューアルバムの “national anthem of unknown country” (未知の国の国歌) にまずハマりました。聴いたことがないタイプの音楽でした。


national anthem of unknown country (2014)

どんな音楽かと聞かれて、ミニマルな… とか、テクノの… みたいなことは言えなくもないのですが、いや、そういう説明って正確じゃないな、という気持ちになります。rabbitooの曲名は「架空の何か」をテーマとしたものが多いのですが、それを踏まえて言えば「架空の何かに似た音楽」なのかもしれません。何かに似ているような気はする。でもそれが何なのかわからない。

かつてのパット・メセニー・グループの音楽は、強力な映像喚起力を持っていました。誰もがアメリカやブラジルの広い空、広大な土地を夢想したのではないでしょうか。rabbitooの音楽の不思議なところは、(私にとっては)同じように何かが喚起されそうになるのですが、具体的な映像というよりも、よく思い出せない夢、みたいな感じです。

実際にどんな空間で、自分が誰と一緒にいて、何をしていたかは思い出せない。それでいて、その時の気分、雰囲気だけが残っている、という感覚です(そういえばCDジャケットは2枚とも、夢の中で見た映像のような感じがします。いい写真!)。

こういう全く新しいタイプの音楽がCDリリースされるだけでも有り難いことなのですが、今年の春にはセカンド・アルバムが出ました。”the torch” (松明) というアルバムです。普通のジャズとは違い、誰がリーダーというわけでもなく、テーマと変奏がある音楽でもないのですが、それがかなり気持ち良いのです。ジャズ・マスターたちによるジャズから距離を置いた音楽。


the torch (2016)

私が特に好きな曲をあえて1曲づつ選ぶなら、”national anthem of unknown country” 収録の “subliminal sublimation”、”the torch” 収録の “やがて星は泥の眠りから醒める” です。どちらも、何か存在しない映画のエンドロールに流れそうな音楽です。というか、そろそろ自分で何を書いているのかわからなくなってきました。言葉はもうこれくらいにしておきます。

とにかく「何か普通のジャズばっかり聴いていてなんとなく脳が疲れた」という方には是非おすすめしたいバンドです。「ジャズ」ではないけれど、「来るべきジャズ」に様々なかたちがあるとしたら、rabbitooの音楽はまさにその一つと言えるはず。そしてrabbitooはライブもすごい。興味を持たれた方は、是非。何て、気持ちがいい音楽なんだ! と思われることでしょう。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 927

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>