2016年10月10日、某音楽出版社が発行した若者向けギター雑誌が、ジャズギター取締法違反に当たる恐れがあるとして警察庁が調査に乗り出した。
問題の雑誌はYOUNG GUITAR (ヤング・ギター) 2016年 11月号。通常は高崎晃氏やSlipknot、Guns N’ Roses、ポール・スタンレー及びイングヴェイ・マルムスティーンらを扱う同誌は、問題の11月号において “THE INCREDIBLE JAZZ GUITARISTS SPECIAL〜ジャズ・ギターの無言歌” と題した特集記事を掲載。この記事が大きい波紋を呼んでいる。
同特集ではチャーリー・クリスチャンからカート・ローゼンウィンケルに至るジャズ・ギターの歴史を久保木靖氏・石沢浩治氏という本格派ジャズギター・ライター諸氏が手抜きのないスタイルで紹介している。「ヤング・ギターでジャズ・ギターを軽く紹介してみました」という水準を遥かに越えており、この異常事態に警察庁も重い腰を上げた格好だ。
さらに問題視されているのが同梱DVDとの連動企画「素晴らしき “ハコモノ” の世界 〜高品質フルアコ&セミアコ徹底試奏!!〜」というコンテンツだ。ギタリスト田辺充邦氏が5ブランド・10本のアーチトップ・ギターを実際に弾いて紹介する姿がDVDに記録されている。
紹介されている全てのギターが同氏の手によって素晴らしい音色を発しており視聴者の購買意欲を強くかきたてるだけでなく、全てのギターが何らかの意味でおすすめであるとされている点が、未成年者への安易な箱物ギター販売を禁じたジャズギター取締法に抵触する恐れがあるとして懸念されている。
さらにこのDVDには天野丘・井上銘両氏による “All The Things You Are” や “Just Friends” の演奏記録が確認されてもいる。通常、純粋無垢な心を持つ健全な若年層向けにソリッド・ギター及びヘヴィ・メタルとハード・ロック、そしてBABYMETALの魅力を中心に紹介している同誌が今回唐突にジャズ及びアーチトップ・ギターを推奨した点が不可解とされている。
当誌の取材に対し警察庁は「そこには興味深い仮説がある」と回答したが、詳細には踏み込まなかった。警察庁側は数名の逮捕者が出る可能性も示唆したが、法律に詳しい有識者は「本件は起訴が見送られる可能性が高い」という見方を示した。公益性が高い、というのがその理由だ。
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