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Tony Monaco, Yosuke Onuma & Gene Jackson at Cotton Club

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2016年10月初旬、コットンクラブでのトニー・モナコ、小沼ようすけ、ジーン・ジャクソンのトリオライブを観に行ってきました。

圧倒・圧巻のステージでした。一言で言うと3人は、音楽的原始人、音楽原人でありました。スーツは着ていても、裸でした。身体から「歌」と「リズム」が滲み出てくるような演奏でした。

Tony Monaco, Yosuke Onuma & Gene Jackson at Cotton Club

この3人による演奏は、”Live At Cotton Club Japan” という2013年リリースのCD(Amazon Prime Musicでも聴けます)で何度か聴いていたのですが、生で見るのははじめてでした。そのCDもすごいのですが、ライブはその100倍すごかった。

小沼ようすけさんは、ものすごいグルーヴマスターでした。これはもう言葉で説明できません。ジャズも色々あります。ハーモニーが極度に進化したもの。複雑なポリリズムのもの。実験的なもの。ある意味「理知的」とも言える、そうしたタイプの「現代ジャズ」にも、最高に刺激的なものはたくさんあると思っています。そういうのも本当に大好き。

しかし、小沼氏のギターと音楽は、そういう地平とは関係がないのだろうと思いました。ひたすら自然体。考えるな、感じろ、の極地。眉間に皺を寄せて悩むようなこともなく、まるで波や風の動きを読み、それに合わせて自分の音楽を奏でていくような、他の何処でも聴くことのできない演奏でした。

一体どんな練習をすればこの境地に近付けるんだろう。ひょっとして練習じゃなくてサーフィンが必要なのだろうか、と真剣に思いました。

機材的にはGIBSON ES-275を使われていましたが、そんなことを話題にすることさえバカらしいような演奏でした。コンセプト的に難しいことはしていないのに、全てが最高な瞬間になっていました。むかし、ジョン・スコフィールドが、音楽は最終的に自然なものでなくてはならないんだと語っていたのですが、その極地を見た、という気がしました。

最新アルバム “At One” からのナンバーが中心でしたが、グラント・グリーンの曲も1曲。小沼氏はグラント・グリーンの影響を強く受けたらしいのですが、「自然・感じる」というキーワードはグリーンにも共通して感じられるものです。

オクターブでボン、ボン、と1小節に1回刻むだけで、小沼氏はもう神でした。勿論テクニックも素晴らしいのは言うまでもないのですが、ハーモニーとかフレーズとか、もうそういうのはどうでも良くて、とにかく弾くものが全て「自然」で、何というかエゴがない感じで、それでいて最高のグルーヴになっていました。煩悩とか雑念がないというのかな。すごいです。

3人ともそんな感じでした。原始人です。音楽の原始人。音楽原人。東京の丸の内というモダンな空間に、そういう人々が集って演奏しているのが不思議でした。観ている私達も、キャンプファイヤーを囲んで焼いたイモを食べながら3人の演奏に聴き入ってトランスしている、みたいな感じでした。みんなパンツ一丁の裸で踊っている、そんな感じのすごいライブでした。


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