以前も紹介したことがあるかもしれないのですが、ベン・モンダーがIbanez AS153のプロモーション動画に登場しています(3年前のYouTube動画)。
0:56秒頃から(動画は初回だけその位置から再生できます)、無伴奏ソロ・ギターでガーシュウィン作曲の “Embraceable You” を弾いています。途中、インタビューで遮られてしまいますが、あまりに美しい演奏で「この人のためなら死ねる」と思ってしまうほどです(別に死ぬ必要はないw)。
何でしょうね、この超絶な美しさ。そもそもベン・モンダーのリーダー作でジャズ・スタンダードが取り上げられること自体本当に少ないので、貴重な演奏です。もし彼がソロ・ギターでスタンダードばかりを弾いたCDが出たら100枚買ってしまうかもしれません。
こんな感じで弾いているのでしょうか。下は脳内補正が入ったアバウトな採譜です。コード進行表記はiRealBのもの。1小節目、開放弦がきれい。2小節目、ディミニッシュのテンションが鼻血ブーな美しさ。4小節目はBm7(9)-Bb7に変えてベースラインをきれいにAm7に繋げています(IIIm7-bIII7-IIm7の定番進行)。
6小節目のCm6、こんな感じだと思うのですが、Am7(b5)11的なフォームで弾いているように推測(採譜間違ってたらすみません)。続くGMaj7はDrop2の7度ボトムのフォーム。そこからのベースラインがまた素敵。随所に4度堆積を使い、音数も少なめでスペイシーな雰囲気に。
この人はボイシングの「響き」に一切の妥協がないようです。こういう音楽は、機能和声という仕組みで出来ているけれど、「機能」以外に「ソニック(音響的)」な要素が重要視されている。何でこんなすごいギタリストが生まれてしまったのか。ベン・モンダーはあるインタビューで、正しいのか、間違っているのかの判断を他人に委ねないと語っていました。自分で良い響きだと思ったら、それを弾く。そして他人にも伝わるように練習する。
どんなに響きが良くても、きちんと押弦できなかったら意味がない。教則動画を見ても思ったのですが、この人は弾きたいと思ったボイシングを弾くために普通では考えられないような練習をしてきた人なのだと思います。曰く、「(難しいコードでも)弾く方法は、必ず何かある」とのこと。