ギターという楽器には習得すべきポジションがたくさんあって大変です。音楽以前に楽器の特性を理解するためにかなり時間が必要なものだという気がします。そして使えるポジションが増えて行けば行くほど、指板の理解が進み、メロディーを紡ぎやすくなる。
垂直(vertical, perpendicular)ポジションだけでも入門者はまず2種類覚える必要があるし、4〜6弦の各弦をルートとして、ネックをヘッド側に下っていくもの、ブリッジ側に上っていく基本的なもので6種類もあります。加えて横方向(horizontal)ポジション。しかしポジションは重要なのに、学習方法が十分に標準化されてないと感じます。
あるラインやフレーズをそうした様々なポジションで弾けるように誰でも必ず練習すると思います。これは勿論すごくいい練習で必要なことだと思います。複数のポジションで弾けないとそれは本当に弾けているとは多分言えない。ギター以外の楽器の人に「ギターでは同じ音域のフレーズを数カ所で弾けるし、弾けないといけないんだよ」と話すと、大体顔が固まります(笑)。
それと同時に、あるポジションでは「いい感じ」にサウンドするライン、フレーズ、リックが、別のポジションではどうもうまくワークしないことがある。無理矢理弾こうと思えば弾けないこともない。しかし半音の移動時に弦移動するとニュアンスやアクセントが変わってしまうことがある。担当する左手の指やピッキングの順番が変わると音色も変わる。
そのニュアンスの変化を積極的に利用するのも一つの手。同じフレーズがちょっと違う雰囲気になったりする。反対に、あるポジションには独自の個性が備わっていると言えるのだから、そのポジションに相応しいフレーズ、音型、ラインがあるのではないかと考えることもできる。
ある種のラインを平準化し、指板上の何処でも見渡せて使えるようにしておくのも大事だし、そうすることでギターの特性に縛られない表現を手にすることができる。反対に、ポジションの個性を意識することによって、ある意味でギターならではの表現に至ることもある。どちらも面白い現象で、どちらも良いなと最近思います。どちらも追求したほうが良いのでしょう。