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ある種のジャズが「ジャズではない」と言われるのはどんな時?

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一口に「ジャズ」と言っても表現のレンジは幅広く、何がジャズで何がそうでないのかを簡単に説明するのはもはや難しい。よく「あんなものはジャズではない」という批判を見聞きすることがありますが、そういう時、批判者にとってその音楽の何が「ジャズではない」と判断されているのだろう。

ジャズって何だろう。例えば、ぱっと思いつくだけで、次のような要素のいずれかを(多くの場合複数)持っている音楽かなと思います(私感です。皆さんはどう思われるでしょう…)。

  • 即興演奏をする部分が含まれている
  • ロックやポップスよりもやや複雑化した和声進行を持っている
  • スウィングと呼ばれる独特のノリを持っている
  • ブルースをルーツに持っている
  • 何かの再現よりも何かの自発的な発生に重きが置かれている

そして人によってこれらの各要素への「重み付け」が違ってくるため、あんなのジャズじゃないよ、いやそんなことない、という話になってしまう。悪い酒になっているとその後「なんだこのやろう」と続く。やめましょう(笑)

例えば即興演奏をあまり重要視しないけれど、セブンスコードとテンションのある美しいハーモニーとメロディが好きだ、という人にとって「スムーズジャズ」と呼ばれる音楽は必ずしも軽蔑の対象にはならない。

反対に、その場での発生・生成を重視しない音楽、同じものを再現するだけの音楽は、ハーモニーがジャズっぽくてもジャズではない。だからKenny Gは認めない。という主張をする人も出てきてしまう。

そもそも「スムーズジャズ」などというネーミングに問題がある。「ジャズ」という単語を撤去してはどうか。他の名前で呼べばいい。例えば「スムージー」とかどうだ。という意見もありそうですが、「スムージー」を演奏している人にとって彼らの音楽は彼ら基準でジャズ度が高いのかもしれない。そして「ジャズ」という形容詞があったほうが売れやすい、という大人の事情もあるでしょう。

あんなのジャズじゃない、という言い方は、私はあまりしません。むかしこのブログでそういうことを書いたことはあるかもしれないのですが、もうそういうものの見方をしなくなった。現在は「いい音楽だな、つまらない音楽だな、よくわからない音楽だな」の3つくらいしか基準がないので、表立って「スムーズジャズはジャズじゃない!」などと決定したがる人々には違和感しか覚えません。

BGMも立派な音楽。何かと何かを分けないと気がすまない純粋主義が何かを生み出すのは難しいのではないか。王道と邪道、主流と亜流、聖と俗。パット・マルティーノの陰陽理論のように、どちらもお互いを必要としているんだ!(笑)

「悪」をもはや消し去るべき何かとは考えないことです、なぜなら「我々に必要なのは善であり、悪ではない」と言うことは、「私は昼が好きだから夜を消してしまおう」と言うようなものだからです、しかし我々はそんなことはしません、それらは1枚のコインの表と裏、両面だからです。…あらゆる種類の批判、何が善で、何が悪なのかということについて、決めつけるような批判(a judgemental critique)を超越すること…

– Pat Martino


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