高級ヘッドレスギターで有名な.strandbergが、YouTubeチャンネルで4つの木材の音響特性比較をしているコンパクトな動画をアップしていました。アルダー、コア、スワンプ・アッシュ、ゼブラノの比較で、個人的にはかなり違いがわかりやすい内容でした。木材以外の電装部品は同じにしてあるようです。
コアとゼブラノは独特な音がするなー、という印象。特にコアは低音の抜け方がパコン、パコンという感じでウクレレなどに良さそう。さらに高音部は密度の高い音でギター材としても面白いそうです。日本製ディアンジェリコのセミアコやアイバニーズのフルアコにもコア材を使用しているものがありますよね。
ところでこの動画、コメント欄を見ると過去にやや炎上した痕跡があります。やはり木材によってギターの音は変わるよね、という意見。いやこんなものはマーケティングだから騙されるな、という人々。これは科学的でいい実験だねという評価。この実験には様々な欠点があって信用できない、という批判。みんなでワイワイやりあったようです。
個人的に面白いと思ったコメントを抄訳でピックアップしてみます。
コアはとってもピアノ的だね
アルダーは本当にいいベース音がするね :)
木材は間違いなくトーンに影響するよ。しかしその違いは本当に最小限なので、木材のことは最後に心配すればいい。良いピックアップと弦のほうがもっとずっとずっと重要だよ。
弦が全部、正確に同じ量の力とアタックで弾かれているとは保証できないだろう? それは信号反応に大きく影響するよ。
同じ種の中の違う個体で実験しても面白いかもしれないね
これはとてもいい科学実験だね。いくつか提案すると、
- 同じタイプの木のたくさんの種類を使って、その材の一貫性を調べてみる
- 可聴領域に限定してFFT(高速フーリエ変換)してみる。より正確な結果を調べるためにスペクトラム・アナライザーを使用する
- 倍音の減衰を調べるために周波数の反応を動画にしてみる
僕が思うに、音の変化は純粋に木材の硬さによるものだと思う、それがどの周波数を吸収するかを決定している。クルマとサスペンションのことを考えてみるといい。材は弦が振動している時、特定の周波数を吸収するんだ。
もしかして私達が日常的にメイプルは…、スプルースは…、バスウッドは…、などと口にしている時、実際はボディ・マス(質量)と周波数の吸収特性について語っている部分が大きいのかな、などとも思いました。クルマとサスペンションの例はわかりやすく、なるほどという感じ。
しかし忘れてはいけないのがこの意見。
あまり話題に上らないことがあるのに気付いた。それは僕たちがみんな生物学的に違っているということだ。僕たちの耳はぜんぶ違うふうに成長してきている。ある人には聞こえないものが聞こえる人たちもいる。人によっては音の波形を感じたり、見えたりすることさえあるだろう。
実験の正確性をいくら詰めていったとしても、結果を受容する側の知覚の問題があります。そのため基本的には永久に終わらない議論です。個人的には、現実的で面白い動画だと思いました。