コンディミにはトライアドが隠れていてそれをゴニョゴニョするとカート・ローゼンウィンケルやジョナサン・クライスバーグみたいなカッコいいサウンドになるらしい。でもその「ゴニョゴニョ」が難しそうなので、諦めた。という方は少なくないと思います。本記事はその「ゴニョゴニョ」をなるべくわかりやすく解説することを目標とします。
コンディミのおさらい
一応コンディミについておさらい。半音-全音…のパターンを規則正しく繰り返す8音スケールで、主にドミナント・モーションするセブンス・コード上で使われます(勿論モーダルに使っても問題なし)。例えばC7の上で弾くとこんな感じ。フィンガリングは最後のコード周辺で弾く場合を想定してみました。私なら最初薬指から開始します(譜面は全て拡大できます)。
次にC7コードの上でコンディミを弾いた時、どんなテンションが現れるのか見てみます。伝統的なオルタード系フレーズでは省略されることも多い#11thと、ナチュラル13th。この2音が特徴的。誰かのフレーズを分析していてこういうテンションが並んでいたらその人はコンディミで発想している…かもしれません。
(注:上記譜面中ではテンションをわかりやすくするため異名同音表記を変えました。「お前何言ってんだ」という方は気にしなくて平気です)
コンディミから採れる4つのメジャー・トライアド
コンディミからは4つのメジャー・トライアドが得られます。覚え方は簡単で、ルートから短三度おきに発生しています。CのコンディミならC, Eb, Gb, A。これらを素材としてゴニョゴニョするわけです。
参考までにテンションとの関係について。例えばC7上でEbトライアドを弾くと#9を表現できます。Gbトライアドならb9, #11。Aトライアドならb9, 13。
1つのポジションで全てのトライアドを弾けるようにする
まずトライアドを弾けるようになるのが大前提。そこで1つのポジションに限定し、各トライアドとその展開形を弾く練習をします。ここでは6弦8Fを人差し指で押さえるC7フォームのあたりで弾くことにします。まずCのトライアド。ポジション内の下から上まで。
次にEbトライアド。最初にC7のコードを鳴らしてから弾いてみると、コードに対してそのトライアドがどんなふうにサウンドするかを感じることができます。
次、Gbトライアド。下行も勿論練習します。
次、Aトライアド。最後、遊んでみました。
2つのトライアドを組み合わせる
お好きなトライアドをV7中に1つだけ投入しても良いと思いますが、4つあるトライアドから2つを選んで組み合わせる(カップリングする)とさらに効果的なサウンドが得られます。例えば同一ポジション内のCとEbのトライアドを組み合わせてみます。様々な転回形で組み合わせ、反対から弾いたりします(C→EbができたらEb→C等)。
ところで上の2つのトライアドは短三度離れていて、音が1つかぶっています。Cトライアドの構成音はC-E-Gで、EbはEb-G-Bbと、G音が重複しています。下は増4度離れた組み合わせです。例えばCとGbは、C-E-G、Gb-Bb-Dbと重複がなく、並び替えると6音スケールになったりします。
そして「コンディミにおけるメジャー・トライアド」が「短三度間隔」で離れていることをあらためて思い出すと、こうやってトライアドをカップリングしたフレーズは短三度づつずらしても完璧にサウンドします。短三度で平行移動するならポジション移動の手段としても役立ったりします。
組み合わせの種類
4つあるメジャー・トライアドのうち2つを組み合わせる場合、全部で12のパターンがあります(順番が変わるものもカウントした場合)。真ん中の列は増四度離れた組み合わせです。
C Eb | Eb G | Gb A | A C |
C Gb | Eb A | Gb C | A Eb |
C A | Eb C | Gb Eb | A Gb |
こういう理解を利用してフレーズを作る・弾く練習をします。あとは複数ポジションで同じことをできるようにします。転回系もあるので網羅的にやろうとするとかなりの時間がかかりますが、自分の好きなもの・実践的なものは自ずと限られてくるので、少しづつ自分の演奏に取り込んでいくのが良いのではないでしょうか。またこういう理解があると、コンテンポラリーなギタリストの耳コピー時にも役立ちます。
トライアドを含め、より現代寄りの表現に興味がある方には「NEW YORKジャズギター・スタイルブック」という有名な本をおすすめします。コンディミ以外のトライアドについても紹介されてます。小さくて秀逸な本で、勉強になります。
ヤマハミュージックメディア
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